6/06、高血圧、処方変更
本日の実習では本日来客され、処方が大きく変わった患者さんについて注目して実習を行った。本日の処方内容の変更としてはバルサルタンを中止し、エンレストとミネブロを追加すると言う内容である。過去の実習でも扱ったが、エンレストはネプリライシン阻害薬のサクビトリルとARBのバルサルタンの配合錠であり、ミネブロはミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)である。これらは新しい作用機序の降圧薬であり、より降圧効果を示すように変更になったと考えられる。
この患者さんの背景からだが、本医には平成12年から受診されており、初期治療としては高血圧治療薬としてカルシウム遮断薬のノルバスク、高コレステロール血症治療にHMG-CoA還元酵素薬のリポバス、消化器症状のためにベンゾジアゼピン系抗不安薬のデパス、H2受容体拮抗薬のガスター、胃粘膜防御因子増強薬のムコスタが処方されていた。その後平成13年に血圧が高くなったため、ARBであるニューロタンと抗ドパミン薬のドグマチールが追加された。平成15年に血圧が下がったためニューロタンが中止され、指先が熱いという訴えからビタミンB12製剤のメチコバールが追加となった。また、平成16年に悪玉コレステロールの増加によりリポバスがリピトールに変更となった。再度血圧も上昇したため、ARBのディオバンが追加された。それと同時期に血圧が上下したため、心臓への負担軽減のための硝酸薬であるニトロペンも処方されていた。その後、平成20年に心抑制型カルシウム拮抗薬のヘルベッサーが追加となった。そしてその後は現在までヘルベッサーやノルバスク、ディオバンが1日2Tとなっていた。以上のような背景からこの患者さんはさまざまな機序の降圧薬を使用したが血圧のコントロールが難しかった。そのため、本日新しい作用機序の薬剤に変更、追加することで血圧コントロールを行おうとしたと考えられる。