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「さよなら、みほ先生」
僕は、幼稚園に行くといつも、みほ先生のところに行った。
「おさるくん、おはよう」
「おはよう」
みほ先生は、とっても優しい。
おばあちゃんと同じくらい大好き。
僕は、ずっと、ずっと、みほ先生と手をつないでいた。
だって、みほ先生といると
ひろし君もケンちゃんも僕を叩いたりできない。
僕は、まだ「強くないから」
でも、みほ先生がちゃんと僕を守ってくれる。
スーパーマンみたいに強い。
「みほ先生」
「どうしたの?」
「ここ、オシッコつけたら治る?」
みほ先生は驚いてた。
「誰が言ったの?」
「お父さん」
みほ先生は笑って
「大丈夫」と言ってブツブツになってる僕の首と背中をさすってくれた。
「ありがとう」
「いーえ、どういたしまして」
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布団に入ると「ゴホッゴホッ」と咳が止まらない。
首も背中もかゆい。
ブツブツは背中まで広がっていた。
でも、おばあちゃんがこれから僕と一緒に寝てくれる。
「お母さんは仕事で朝早いから」
「うん」
大丈夫。
幼稚園では、みほ先生。
家では、おばあちゃんが僕を守ってくれる。
「早く大きくなってプロレスして強くなる」
今日は朝からお母さんは忙しそう。
幼稚園におばあちゃんも来た。
いつものように、手をつなぎに行った僕の胸にみほ先生は、お花をつけてくれた。
「おさる君、卒園おめでとう」
「え?」
「大きくなったね」
僕は大きくなんかまだなってないのに。
みほ先生は泣いていた。
僕も泣いた。
「4月から小学校に行くんだよ」
ひろし君もケンちゃんも?
みほ先生は、もういないの?
涙を服で拭った。
「はい」
でも、僕は、まだ小さかったし弱虫だった。
つづく
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