僕の名前は「おさる」です。
僕は、三人兄弟の一番下の末っ子です。
体も小さく、いつも二人のお兄ちゃんには適わなかった。
「ゴホッゴホッ」
いつも布団に入ると咳が出て、お母さんが心配そうに背中をさすってくれる。
「苦しいねぇ~」
「苦しい」
先生に「この子は喘息だね」と言われた。
お母さんは
「お兄ちゃんたちは何にもなかったのに・・・」
とても不安そうに言った。
おばあちゃんも心配してくれた。
だけど、僕に、たくさんの愛情を注いでくれて嬉しかったよ。
だから、咳なんか気にせず、元気いっぱいに遊びまわって楽しかった。
いつも注射は怖かったけど・・・
おばあちゃんがいたから我慢した。
「この咳は、いつまで続くのかねぇ~」
僕が咳をして寝付かれずにいると、隣の部屋でおばあちゃんの声が聞こえたきた。
「どうだろうねぇ~」とお母さんの声。
僕もそう思った。
「ゴホッゴホッ」
みんなは、どうして咳が出ないのかな?
どうして僕だけなのかな・・・
いつも、夜に泣いた。
お兄ちゃんたちが羨ましかった。
だけど、おばあちゃんの愛情は独り占めできたよ。
お母さんは、いつも夜に背中をさすってくれた。
僕だけ。
僕は、少しずつ、少しずつ大きくなっていった。
つづく