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好転していくと一気に流れることを知った
僕は体も弱くチビで得したことなんて今まで無かった。
ところが、前も少し思ったことがある。
女子には、何故か可愛いがられたこと。
高校生になると僕は女子から何かと話しかけられるようになった。
まるで前から知り合いだったみたいに。
「おさる、これ知ってる?」
「知らん」
「えぇ~マジ?」
「ねぇねぇ、これは?」
そうなると僕の口数も次第に増えて行った。
校庭で遊んでると2階の窓から
「おさるぅーーー」
と女子が手を振ってきた。
「こけてみてよ」
僕は、おどけて何かにつまづいてこけてみせた。
大爆笑が起こる。
ある日、上の学年の女子に
「あ、おさる!!」
と呼び止められた。
誰だ?
何が起きてるかわからないけど、何かが起きていた。
とにかく、小さくて可愛いのだそうだ。
嬉しいのか恥ずかしいのか複雑だけど、嫌われてないなら嬉しいと思った。
だんだん、僕はただのチビから面白い奴という存在に変わっていった。
そうなれば学校は楽しい以外のなにものでもない。
ふと、僕は小さい頃は、みほ先生に守ってもらってばかりいた。
まわりの友達がみんな大きくてやんちゃで怖かった。
だけど、今は胸をはって先生に言える。
「僕は、こんなに成長したよ」って。
つづく
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