出産
今月、娘を出産した。
不妊治療中も、妊娠中も、この子がただ生きていてくれますようにと、祈るようにして暮らしていた。
妊娠中の経過は良好で、娘は成長曲線をなぞるように体内で成長していった。出産においても大きなトラブルは生じず、いわゆる「母子ともに健康」な状態で出産から2週間経った今日までを過ごしている。それでも、妊娠中の体調や心身の変化に振り回され、不安は絶えることがなく、出産は想像していた以上の痛みを伴うものであった。そして、娘が可愛い、という感情も想像以上のものだった。
今現在、娘の世話に追われ、妊娠前とも妊娠中とも変わってしまった私の心身を回復させようと努めながら生活をするうちに、あの時の痛みや苦しさは遠ざかりつつある。この子の命が今日も続いているか、という不安については今も耐えることがない。
私はいつも忘れていくけれど、娘と出会えてこうして暮らせていることは、数えきれない分岐点を経た末に微妙なバランスのうえで成り立っており、そのすぐ隣には娘と会えなかった世界があること、たくさんの人の力があって、娘がこの世界にやってきたことをこれからも覚えていたい。
最後に、精漿アレルギーあるいは精液アレルギー保持者の妊娠経過・出産について少しでも情報を入手したいというあなたに向けて。私の妊娠経過や出産においては精漿アレルギーは影響せず、妊娠前に夫の精液に接触した時以外はアレルギー症状は出ていない。産婦人科や皮膚科の主治医によれば、アレルギー体質であることはリスクになり得るが、精漿アレルギーだけが特別に妊娠経過や出産に影響する可能性は低いとのことである。アレルゲンが何にせよ、もしアナフィラキシーショックを起こした際には速やかにエピペンなど処方されている薬を使用することで、胎児が酸素不足にならないようにする必要があるとのことだ。私の文章が何かの助けになるとしたら嬉しい。