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老化を寄せ付けない習慣とは!?「70歳が老化の分かれ道」要約・所感

おはようございます。本日は和田秀樹さん著書の「70歳が老化の分かれ道をとりあげます。

長寿社会と言われて久しい現代ですので一昔前と比べて年齢に対する感覚が変わってきています。70歳というとどのようなイメージがありますか?私と同世代の方であれば自分の親くらい、まだまだ元気じゃない?と思われる方も多いのではないでしょうか。

本書の主張は端的に言うと「長寿社会において70代が分岐点である、80代がどう過ごせるかは70代で決まる」といえます。多くの高齢者を診察してきた医師の立場から70代で起こってくる健康のリスクをわかりやすく教えてもらえます。80歳を超えても健康で長く生きられるように、本書で学んだことをまとめていきたいと思います。


1. 長寿社会のカギは70代にある

日本はこれから高齢化社会がますます進みます。2060年には日本国民の2.5人に1人が65歳以上になるとも予測されています。

高齢化社会とは高齢者がマジョリティとなる社会です。それは我々がイメージするお年寄りばかりの単一的なものではなくもっと多様性に満ちた社会となるでしょう。寝たきりになってしまったり、生活に介助が必要な人もいる一方で、毎日活動的に散歩をしたり水泳やゴルフなどのスポーツを楽しむ80代の人もいます。中には現役で働く人も増えてくるでしょう。

80代をそのように過ごすためには、70代の過ごし方がカギになります。一気に老け込まない為に気をつけなければならない事、その最たる物が意欲の低下です。

意欲の低下には脳の前頭葉の老化と男性ホルモンの減少が主な原因となって引き起こされます。前頭葉の萎縮は実は40代からはじまっていて70代となると本格化していきます。そこに男性の場合は男性ホルモンの減少も進んでいくのでそれが行動意欲の低下につながります。意欲の低下こそ老化で一番怖いことなのです。

70代で意欲的に身に着けた習慣は80代まで続くものです。それはその後の人生を救うことになります。

2. 老化を遅らせる70代の生活

何事においても引退しない 

 日本一の長寿県である長野県は、高齢者の有業率が男性で41.6%、女性で21.6%とどちらも全国1位となっています。働くことは老化防止最高の薬です。
 70代のお仕事はお金や効率のために働くというよりは、これまでの経験や知識を活かして誰かの為に社会の為に役に立つということに価値をおいても良いのではないでしょうか。

・ダイエットをしない 肉を食べる

健康的な食事とはお肉を控えて野菜中心の食事であると考えてはいませんか。実はこれは特に70代食事としては間違っているのです。70代の5人に1人はタンパク質が不足していると言われています。
 
意欲の低下の原因は様々ありますがそのうちの一つに脳内伝達物質であるセロトニンの減少です。セロトニンが少なくると日々の幸福感は薄れはつらつとした感情や若々しく活動する意欲が低下してしまうのです。

お肉にはセロトニンの原料となるトリプトファンというアミノ酸が豊富に含まれています。お肉を食べる習慣が意欲低下の予防に繋ります。

・日光を浴びる

セロトニンは日光を浴びることでも作られます。昼間に外に出て作られたセロトニンによって、夜になると脳内でメラトニンというホルモンが作られます。メラトニンは睡眠ホルモンともよばれ人の睡眠と深く関わっています。メラトニンが増えればよく眠れるようになり、不安感もとれてうつ病の予防にも繋ります。

3. 70代の医療との付き合い方

・今の薬を見直してみる

高齢者になると、薬を全く飲まれていない人の方が少ないのではないでしょうか。特に高血圧や高脂血症に対して、血圧を下げる・薬コレステロールを下げる薬を服薬されている方は多いのではないかと思います。

薬の目的は血圧やコレステロールの値を正常値に近づけることにあります。これは高血圧や高脂血症の状態が続くことで起こる致死性の高い脳梗塞や心筋梗塞といった病気を予防することです。

多くの人が医者の言われるがまま薬を飲んでいますが、実は日本人の死因の第1位はがんであり、そもそも心筋梗塞で死ぬ人は少ないのです。アメリカは反対に心筋梗塞で死ぬ人が癌で死ぬ人の1.7倍もいると言われます。

このように日米両国では疾病構造の違いがあります。それにも関わらず、日本は血圧を下げて血管障害を減らすというアメリカの医療原則をそのまま運用してしまっているのです。

更に日本には老化を専門とする医師は非常に少ない現状があります。日本の医療は専門領域が細かく分かれており、医師は自分の領域の臓器の専門家になっています。70代となると少なからず体の全ての臓器の能力が落ちてきます。ある臓器のスペシャリストの言い分だけを鵜呑みにして結局は身体全体のダメージを受けてしまうことも往々にしてあるでしょう。

そして薬には必ず副作用を伴います。数値は正常に近づいたとして副作用によって頭がクラクラしたり、気分が悪い状況が続いてしまいと、その方が意欲の低下を招き老化を早めてしまう恐れがあるのです。

そのような副作用がある場合はまずは、かかっている医師に正直に相談をしましょう。患者の言い分を聞かず、処方した薬の再考をしないような医師であればその病院にかかるのをやめてもいいでしょう。患者が苦痛なく生活できる事を第一に考えてくれる医師が理想的です。

・がんとの向き合い方

日本人の死因の第1位が癌です。高齢になればなるほどその罹患率は高くなります。70代は癌に対して必ずや手術をすることが良いとは言えない年代です。70代でがんの手術をすれば確実に体力は落ちますし、もし消化器系の癌であれば手術がうまく行っても栄養障害が伴うので一気によぼよぼ老人となってしまします。

つまりよぼよぼになっても一年でも長く生きるか、数年早く死んだとしても元気な状態が長く持続して生きるか、そのどちらかという選択が迫られることになります。自分の中での死生観、価値観について考えていく事もいざというときに慌てないためには必要でしょう。

・うつ病のリスク 認知症との違い

脳内物質のセロトニンや男性ホルモンの減少している高齢者はうつ病にかかるリスクも高くなっています。意外と思われるかもしれませんが、70代の前半くらいまでは認知症よりもうつ病の人の方が多いのです。高齢者のうつ病は見落とされがちであり、中々医師に診てもらえていないのです。高齢者が最近元気がなくなった、食欲がなくなった、朝早く目覚めてしまうと周りが自覚しても「歳のせい」だと片付けられてしまうことがほとんどです。

認知症とうつ病の見分け方はその症状がいつはじまったのかを確認することです。認知症は比較的長い時間をかけてゆっくりと進行していくためその症状がいつ始まったのか答えられないことが多いです。一方でうつ病の場合は「去年の3月くらいから…」というように1ヶ月単位くらいを境に症状始まった事を答えられるという傾向があります。周りの人がこのような違いを理解して早期に医者にかかるように配慮してあげることが必要でしょう。

所感

自分は仕事柄、高齢の方と接する機会が多いので学びの多い読書経験となりました。食事、睡眠、外での活動(つまり運動)いってしまえば当たり前のことですがこれがやはり大切だということです。男性ホルモンと意欲が関係しているという点は初見でした。脳内伝達物質やホルモンのことも最近では色々な研究が進んでいて面白いですね。機会があれば他の書籍でも取り上げたいと思います。

服薬の事はいろいろな事にも置き換えられると思います。立ち止まって考えてみる事を怠り、言われるがままに行動していないでしょうか。私自身反省することの方が多いです。70代であろうと私のような30代であろうと自分で考えて行動する。それを繰り返して身につけた習慣を鉄の意志で継続すること。これに尽きると思います。

より詳しく知りたいと思った方は是非、本書を手にとってお読みください。自分はまだまだ70歳までは遠いので関係ないと言う方も、ご両親にお勧めしてもらえれば幸いです。


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