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真実はいつもルーツにある「0ベース思考」要約・所感

おはようございます。本日はスティーヴン・レヴェット、スティーヴン・ダブナー氏著者の「0ベース思考」を取り上げたいと思います。

皆さんは仕事においても生活においても「本当はこうであるべきだけど…だから仕方がない」と諦めていることはありませんか。「もっと斬新なアイディアはないだろうか?」もし、自分にそれ生み出すスキルがあればうれしいですね。

本書は経済学者である著者がどんな難題でもシンプルに解決できる思考法を解説しています。ゼロベース思考とは端的にいうと「前提知識や思い込みにとらわれず、ゼロから物事を考える」ことです。以下に本書から学んだことを解説していきます。


1. 0ベースで考える これが出来ない人々

現代社会は様々な意味で複雑化しており、過去の成功体験や考え方を踏襲するだけでは、生き残っていくことが困難な時代です。著者は「もう少し建設的に合理的に考えることが必要だ」と説きます。

皆が政治的、社会的、思想的に先入観をもってしまっている。じつは賢い人ほど自分が元々もっている考えを裏付ける情報ばかり探そうとして、新しい情報を取り入れてより確かな現実感覚を磨こうとしないのです。

組織においては担当者の本能的な直感と道徳のコンパス、そして前任者のやり方を混ぜ合わせたものに決定を下していることが多い。特にこの道徳のコンパスというのは判断を狂わせやすいのです。

ゼロベースで考えるということは前提知識や先入観、道徳感情などの基礎ベースを排除して物事捉えることです。この過程を経る事で課題の本質を捉え直し、創造性の高いアイディアや課題の根本的な解決にたどり着くことができるのです。

2. あなたが解決しようとしている問題は何?真実はいつもルーツにある

目の前の問題や課題に対して、たまたま目についた気になる部分だけの取り組みをしていないか気をつけましょう。真実はいつもルーツにあるのです。

・犯罪率の低下の見落とされた要因

アメリカの殺人などの重犯罪率の低下には銃の規制や死刑の増加は影響していない。見落とされた要因は1970年初めの人工妊娠中絶の合法化であった。望まれない子があまり産まれなくなり、犯罪の温床になりやすい酷な環境で育つ子どもが減った。警官や銃規制について議論するよりも、しっかりとした愛情深い親がいかに大切かを話し合った方がずっとよい。

・アフリカの紛争

アフリカには現在でも紛争が耐えない。この根本の原因は19世紀の植民地時代の列強諸国の分割方法にあった。アフリカに生きる生身の人間ではなく陸地と海に重きを置いて国境線をひいた。同じ民族集団がある日いきなり別々の国の住民になることもあったし、反りの合わない集団が一緒の国民にさせれてしまう事もあった。前者では国民としてのアイデンティティが育たないし、後者では国内紛争が絶えないのである。

・胃潰瘍の根本原因

かつて胃潰瘍の原因は患者のストレスや刺激物の過剰摂取と考えられてきた。胃を保護する制酸薬市場は1994年までに80億ドルまで成長する。また、強酸が渦巻く胃の中に細菌が存在出来ないだろうという先入観がこの市場を後押しした。

1981年にオーストラリアのバリー・マーシャルという若い研究者が胃の中に存在する細菌の研究を始める。のちにこの細菌はヘリコバクター・ピロリと名付けられ潰瘍の根本原因であることが明らかになった。

3. 問題解決の方法 聞く耳を持たない人を説得する

人を説得することがどんなに難しいことなのかを正しく理解している人は少ないものです。もともと関心のない事柄なら尚更、長い注意を向けること自体が困難なのです。聞く耳を持たない人を動かすには以下のポイントを押さえておきましょう。

・インセンティブについて

人はインセンティブで動く生き物。金銭的インセンティブ、道徳的インセンティブ、社会的インセンティブそして群衆心理インセンティブである。残念ながら、人間はあまり道徳的インセンティブでは動かない。

口に出す希望と本当にやりたいことは違う(本年と建前)。相手の言葉を鵜呑みにせず、行動に目を向けるようにします。そうすると相手の真のインセンティブが見えてくるものです。

・ナッジ

人は操られていると思うと反発したくなる生き物。正面切って言われると反論したくなる生き物なのです。

どんな正論もこんこんと諭すよりも、さりげない後押しや新しい初期設定によって相手をひじでそっとつつくようにさり気なく誘導した方がずっと効果が高いのです。

自分の主張が完璧だと思わない。相手の主張の良い点を認める

万能な解決策などほとんど存在はしません。コスト0の儲け話などないのです。相手を動かすには主役は自分でなくて相手である。どんな名案も相手に響かなければ何にもならないのです。まずは自分の主張が完璧だというふりをやめることです。

そして、相手の主張の良い点を素直に認めること。実は反論には必ずと言って良いほど利用価値があります。そこから学んで自分自身の意見を強めることに使うことができるのです。

批判されて嬉しい人はいません。相手を罵倒したらあなたは仲間ではなく敵になってしまいます。それでも良いという人は相手を説得しようなんて微塵も思っていない人です。


所感

先入観を持たずフラットな目で問題を捉える0ベース思考を取り上げました。普段我々の目の前の課題は様々な要因が複雑に絡まり、多くの人のインセンティブも働いています。多くの場合、問題になるは相手と自分のインセンティブが異なる場合であるのかなと思います。まずは関わる人それぞれのインセンティブを把握して整理すること、そうすることで今まで見られなかった(見ようともしなかった)目線で課題を捉えることができるでしょう。

これは相手の立場になって考えてみるとも言い換えられると感じました。また、相手を罵倒して服従させるのではなく、共感を示しながらお互いの共有できる部分(共通の価値)を見出していける力とも言えるでしょう。そんな力を身につけナッジの様に自分が関わる人をさりげなく導くことができれば嬉しいですね。非常に学びある読書経験でした。

更に詳しく知りたいと思った方は是非手に取って読んでみてください。


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