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お母さんとの時間が欲しいと、ポツリとこぼした小学生。

私は、小学校で指導教諭をしています。

教師と保護者の2つ視点から、
『家庭でもできる教育の一工夫』を発信
しています。

教育相談をしています。

先週から教育相談週間が始まっています。
休み時間に、
担任と1対1で、話をする時間です。

先週はバタバタしていて、
少しずつしか始められず、
私のクラスでは、今週も教育相談の続きをしています。

どの子とも、なるべく同じ時間だけ話がしたいと思っていますが、
困り事や悩みについての話はどうしても長くなります。

女の子Aさん

女の子のAさんと話をしている時のことです。

この子は、最近、
登校時間が遅くなり、
時には遅刻もしてしまうという
生活のリズムが崩れてきている子でした。

そのAさんが、
「家の人のことで心配事がある。」
と打ち明けてくれました。

聞くと、
お父さんも、お母さんも仕事が忙しく、
お父さんは、「腰が痛い。」
お母さんは「疲れた。」と
よく言っているのだそうです。

小学生なりに、おうちの人のことを心配しているのでした。

もう少し詳しく話を聞くと、
お父さんも、お母さんも仕事が忙しく
休みの時間があまりないとの事でした。

「ゆっくり話をしたり、過ごしたりする時間はないの?」と尋ねてみると、
「そういう時間はあまりない。寂しいけどね」と、教えてくれました。

女の子Bさん。

別の子の話です。

Bさんは、最近、
忘れ物が多かったり、
ルールが守れなかったり、
人を傷つけたりと、
心配な行動が目立っていました。

以前は、そんな様子もなかった子なので
心配をしていました。

教育相談でゆっくり話をし、
その子の良さや私の願い、
その子の思いなどを聞きました。

放課後に、電話で
お母さんと情報共有を行いました。

すると、お母さんが
「私も良くないんです。最近仕事が忙しいので、ゆっくりと一緒の時間を過ごすことができていません。それに、どうしても小言が増えてしまって。あの子にゆっくりと向き合えていないことが原因かもしれません。」
とおっしゃいました。

家族との時間。

小学校の高学年学。
自分の事は自分でできるようになり、
背丈も大きくなり、
心身ともに成長した年齢ですが、

親からの愛情は、
間違いなく必要なのだと痛感します。

無条件に愛される場=安全地帯があることで
心を落ち着けて過ごすことができるからです。

どちらの子も、
もしかすると、
おうちの方との時間が増えることで、
落ち着いていくのかもしれません。

研修会での生徒指導の話。

ずいぶん前、生徒指導の研修会で、
下のような話を聞きました。

中学生の3人の女の子が、
深夜、徘徊で補導され、
話をしている中で、万引きしていることがわかり、
警察に保護されたと言う話です。

深夜、徘徊になるいきさつは、その3家庭とも、
親が夜勤の仕事をされており、家族の時間が取れず、
夕方以降は子どもたちだけの時間となっていたということです。

家に帰っても家族がいない。

3人は、次第に、それぞれの家に入り浸るようになり、
徐々に非行が始まったというものでした。

警察署で、親が来るのを待つ。3人。

1人目の親が迎えに来ました。
「何しに来たんだクソ婆。帰れ」と親に向かって暴言を吐くそうです。

2人目の親が迎えに行きました。
親が何を話しかけても、無視の一択。
会話にならなかったそうです。

3人目の親が迎えに来ました。
その瞬間、その子はぽろぽろと涙を流し、
「お母さんごめんなさい」と謝ったそうです。

数ヶ月後、また、同じ女の子たちが補導されました。
しかし、3人目の女の子はそこにいなかったそうです

3人目の女の子は、少しずつ変わっていったのだというのです。

同じような境遇で、
同じようなことをして、警察に補導されたにもかかわらず、
1人だけ、変わろうとした3人目の女の子が気になった担任は
懇談の時に母親に聞いたそうです。

すると、
「私はあの子に対して、何もしてあげることができていません。帰ったら子供はもう寝ています。そんなあの子の頭を撫でながら、今日も1日よくがんばったね。一緒に入れなくてごめんね」
と毎日のように話しかけているというのです。

生徒指導の講師の方は、
いくら子どもが寝ていようが、
親のそういう愛情は、
子どもに伝わっているとおっしゃっていました。

私は、この話が大好きです。

ちょっとしたことかもしれませんが、
親の愛情とか、思いというのは、
伝わっているのだと思います。

起きている間に、
子どもと直接関わることができれば、
それに越した事はありません。

でも、こういうちょっとした関わりも、
子どもの心の奥底に届いているのだと思うと、
親としてできることがあるのかもしれないと思いました。

最後に…。

とは言え、やっぱり子どもです。

洗濯物をたたんだこと、
栄養バランスを考えて食事を出したこと、
親が子どもを起こすこと、

こういったものから愛情を感じ取れる子どもは少ないと思います。
(当たり前だと感じていて。)

だからこそ、
直接、子どもとの時間を取ったり、
言葉で伝えたり、
手紙に残したりと
わかりやすい形で子どもとの時間を
大切にしていきたいものです。

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