万年筆の情報うまい


好奇心が強い方です

いや、すみません。少し自分を取り繕いました。


興味関心が広い方です。

いやいや、やっぱり何か良いように言ってしまいますね。


軸がブレがちです。

ブレにブレています。情報社会の世の中、面白そうなコンテンツが溢れに溢れていて、3日おきにマイブームが変わってしまいます。そしてまた新たな世界を知ってしまいました。

行きつけの散髪屋では席ごとにiPadが置いてあり、好きな電子雑誌を読むことができます。自分はそこで全く知識のない分野のマガジンを読むのが好きで、「俺の選ぶ工具100選」とか「いま作りたい暖炉特集」とかを流し見するのが楽しみでした。そんな今日、目を止めたのが株式会社ヘリテージが出版する「趣味の文具箱」。

文房具。工具や暖炉に比べたら、全く話の分からない分野ではありません。いや、むしろ興味がないかと言われたら、かなりある。しかしそれは同時に、意図的に避けてきた世界でもありました。なぜなら、ドハマりするのが分かっていたから。世の中に溢れるイケてる製品が手に届く範囲に存在すると分かったら、それはもう軒並み欲しくなるに違いありません。

とはいえ気になっていた分野の雑誌が、散髪中の手持ち無沙汰の今、タダで読める。

読んじゃお。

目を通して驚いたのは、記載されている情報の比率です。実に半分くらい……いや、言ってみれば7割くらいのページが割かれている文房具がある。すなわち万年筆です。ファンが多いとは知っていましたが、ここまで力が入っているとは思いませんでした。

そして掲載されている万年筆の多様さ。万年筆というとイメージというか、なんかあの……シブい色の高級そうな……アレでしょ? という固定観念があったのですが、世の中にはそんなステレオタイプを吹き飛ばすような個性的な万年筆が溢れていました。どピンクのもあれば、レインボーなのもある。

万年筆は筆です。筆である以上、書けなくてはなりません。機能上の制約がある。そのうえで、縛りのなかで最大限コンセプチュアルにデザインされているのが見所だと感じました。軸の表面を波々にデコボコさせることで水面のきらめきを表現しつつグリップ性を向上するとか。メカニカルさとアーティスティックさが縛り合い、高め合っているところ、そしてそれが手のひらに収まるプロダクトだというところにロマンを感じます。

こんなに素晴らしい万年筆ばっかり見せられたら欲しくなってしまう! あぶなーーーーい!!

しかし。

よし、じゃあ万年筆屋さんに行って万年筆を見てこよう! というよりはもっと、もっと貪るように万年筆の特集を読みたくなりました。万年筆そのものの魅力は言うまでもありませんが、それを語る人の言葉にも魅了されています。機能について、意匠について、筆致を尽くして教えてくれ。「ラーメンの情報を食う」とはよく言ったものですが、万年筆の情報は絶品です。素材が良いのだからそこから出た情報(ダシ)の品質も良いに決まっています。実物に手が届かなくとも、万年筆の美しさを語る修辞にまみれていたい。万年筆の情報うまい。

うっかりこの勢いでKindle Unlimitedに入ってしまったので、しばらく趣味の文具箱のバックナンバーを読んで万年筆の情報だけ食っていこうと思います。くれぐれも実物を近づけないでください。絶対カッコよくて欲しくなっちゃうから……。

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