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LIFULLのスキルマップをプロダクトマネージャー版にアップデート

みなさん、こんにちは。

LIFULLの船山です。サービス企画のマネージャーです。LIFULL HOME'Sの”ハツモノ”の立ち上げや仕組み作りを担当することが多いです。異職種から未経験で転職して早15年。「走りながら学ぶ」をモットーに何とかサバイブして今日に至ります。

今回の記事は、サービス企画職のスキルマップをアップデートした件。既存のスキルマップをなぜ、そしてどういう手順で刷新したのか、という流れで紹介したいと思います。最後までお読みいただけると嬉しいです!


LIFULLのスキルマップ

まず、簡単にLIFULLのスキルマップを紹介します。LIFULLには60を超える職種があり、職種毎にスキルマップを作成しています。作成しているのは、各職種のマネジャー陣。スキルマップには等級毎にレベル分けした「専門的なスキル・知見」や「業績への貢献活動」を定義しており、スキルの習熟度と昇降格を含む業績評価は連動しています。ですので、社員は自分の職種・等級の内容をマイルストーンにして、目標設定したり自己研鑽に取り組んだりしています。

アップデートの経緯

次に、アップデートに至った経緯について。この数年、LIFULLのサービス企画職では、中期的・持続的なプロダクト成長を実現するために職種ビジョン、つまり、サービス企画職の「あるべき像」を定め、重点テーマとしてプロダクトマネジメントの強化に取り組んでいます。(※1)

(※1)詳しくは、こちらを参照ください。

強化の取り組みは、たとえば全社のサービス企画職を集めて開催する「サービス企画総会」や、プロダクトから生まれたアウトカムを定期広報する「アウトカム通信」での啓発や、社外交流会、有償フォーラムやセミナーの参加費補助などですね。いろいろやっています。

スキルマップのアップデートもこうした取り組みの1つとして起案しました。なぜなら、スキルマップには評価と連動する具体的なスキルを記載しています。この具体的なスキルにプロダクトマネジメントの要素を反映すれば、サービス企画職全員の目標に組み込まれ、日々の業務にまで浸透させられると考えたからです。また、具体的なスキル定義によってプロダクトマネジメントの理解度も高められる、と。

このような経緯があり、プロダクトマネジメントの要素をスキルマップに反映することをゴールにアップデートを行いました。

アップデートの方針

今回のアップデートは、大きくこのようなステップで進めました。

(1) プロダクトマネジメントをスキルマップベースで言語化する
(2) 既存のスキルマップと比較する
(3) 同じスキルを紐づける
(4) スキル毎に等級難易度を設定する

あるべき像をスキルマップベースで言語化する

スキルマップベースに言語化するにあたって参考にしたのは、『INSPIRED』です。名著ですよね。サービス企画職の課題図書にしています。INSPIREDをもとに作成したドキュメントがこちらです。「プロダクトマネジャーってどんな人?」に答える形式で書き出してみました。これを新スキルマップ案として検討を進めます。

私なりの意訳ではありますが、3つの大カテゴリ「プロダクトにまつわる知識をもっている」「プロダクトの創出プロセスに関するスキルをもっている」「チームメンバーやステークホルダーと良好な関係を築くことができる」を軸にして10個程度のスキルを中カテゴリとして格納しています。(実際はさらに小カテゴリまで作成していますが、今回は割愛します)

既存のスキルマップと比較する

一方、既存のスキルマップはこのような概要です。

既存のスキルマップでは、課題を発見し、解決策を企て、プロダクトに実装するというグロース活動に必要なスキルを時系列に整理していました。INSPIREDをもとに作成したドキュメントと比較して、表現は異なるものの、特に開発フェーズのスキル群は遜色なく言及できているように思います。一方、その前段であるWHY/WHATの部分、ユーザーを理解し、課題を発見するパートは表現力が乏しいイメージ。INSPIREDをもとに作成したドキュメントの方がより「ユーザーと向き合うべし」というメッセージ性が強いです。大カテゴリ、中カテゴリの内容はプロダクトマネジメントにおいても大切なスキルですが、強いて言えば濃淡を感じられないところが課題でしょうか。

同じスキルを紐づける

次に新スキルマップ案の大カテゴリに、既存スキルマップを分解して同じ主旨のスキルに紐づけてみます。

結果として、ほぼ内包できることがわかりました。要件定義や仕様策定、アクセス解析など旧来のスキルは普遍ですね。しかし、プロダクトマネジメントの体系にグルーピングし直すことで、習得する動機を高められそうです。

赤字は新しく追加すべき要素。「ユーザーに向き合う」「プロダクトビジョン」「リーダーシップ」など、これまで世に存在しなかったスキルというよりも、従来のスキルに含まれてはいたものの、プロダクトマネジメントの体系において重要だからこそ個別に切り出され、しっかり言語化された内容に思えます。

実はアップデート前に、既存スキルマップの内容から大幅に変わってしまわないか懸念していました。もちろん必要であれば変更します。しかし、既存スキルマップは現役で利用されているので、大幅な変更は社内各所で混乱を生じかねません。特に気にしなければならないのは、評価基準の難易度変更です。慎重に検討する必要があります。ですので、変更のボリューム次第では段階的な複数回のアップデートも想定していました。

新規導入ではなくアップデートならではの懸念でしたが、いざこのように紐づけて整理してみると「今までのスキルをプロダクトマネジメント体系で再編成した」という方向性で進められることがわかり、安心しました。

スキル毎に等級難易度を設定する

新スキルマップの構成が定まったので、最後はそれぞれのスキルに等級に応じたスキル目標を定義していきます。

図はイメージです。実際の等級はさらに細かく分かれています。

その1つひとつを、職種マネージャー陣と協議を重ねてライティングしました。具体的には、こういう内容です。

こうしてアップデートを終え、サービス企画職向けの説明会を開催。その過程で得たフィードバックも反映してアップデート版の運用を開始しました。

おわりに

このスキルマップで数回の評価が行われ、現場からフィードバックが集まっています。使いづらいシーンやスキル解釈のゆらぎへの質問や、参考にできる過去のプロジェクト例を教えてほしいというリクエストなど。これらを収集して、次のアップデートを検討しています。

今回、数年ぶりにアップデートしましたが、時代遅れな内容も修正できました。プロダクト開発界隈は技術や手法、トレンドの移り変わりが激しい業界の1つです。たとえば、プロダクトアナリティクス1つをとっても、テクノロジーの進化でこの数年分析できることがどんどん増えてますよね。

定期的・計画的なアップデートが必要だと再認識した次第です。今回の目的である「プロダクトマネジメント強化」に対する振り返りに加えて、アップデートサイクルの仕組み化も考えたいなと思っています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
何かしら参考にしてもらえると幸いです。

おわり。


船山 康太 (ふなやま こうた)
LIFULL HOME'S事業本部 イノベーション開発室
サービス企画職 マネージャー

営業、コンサル等を経て、2009年LIFULLにほぼ未経験のサービス企画職として入社。LIFULL HOME'Sのグロース、SEO責任者や大規模開発PM、新規事業立ち上げに従事。直近はLIFULL HOME'Sのデータ戦略策定、ユーザー要望をプロダクトにフィードバックする体制構築、グロース活動のモニタリング化に奮闘中。趣味は読書。ミステリー小説をこよなく愛する。

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