LIFULLのプロマネ改善:ユーザーを主語としたプロダクトづくりを目指して
皆さん、こんにちは、こんばんは、LIFULLの吉田です。
引越し一括見積りサイト「LIFULL引越し」の事業責任者兼プロダクトマネージャー兼セールスと、もはや何屋かわからない状態ですが、Give & Give の精神で日々ユーザー・事業と向き合う仕事をしています。
今回は、本業から少し離れて、LIFULLのサービス企画職のマネージャーの立場として、LIFULLのプロマネ改善の取り組みについてお話したいと思います。
「プロマネ」改善の変化
LIFULLでは、サービス企画職のメンバー育成のために、マネージャーが主体的に取り組むワーキンググループがいくつかあり、私は「プロマネ改善チーム」に所属しています。
この記事を読む多くの皆さんは「プロマネ」と聞くと「プロジェクトマネジメント」の方がぱっと思いつくのではないでしょうか。
事実、プロマネ改善チームでも、取り組みを始めた当初はプロジェクトマネジメントスキルの向上を主目的におき、業務プロセスの型化やナレッジ集約を推進していました。
しかし、ここ1~2年LIFULLとして積極的に進めているプロダクトマネジメントの取り組みにあわせて、プロジェクトマネジメントに留まらず、「プロダクトマネジメント」に照準をあわせ、チームの活動を変化させてきました。
ただ、一言にプロマネ改善と言っても、プロダクトマネジメントそのものもかなりスコープが広いため、チームとしてこの1年取り組む重点項目を定めて取り組んできました。
※「LIFULLが取り組むプロダクトマネジメント」についてはこちらに
ユーザーを主語としたプロダクトづくり
サービス企画職の育成スキルマップには「課題解決に的確な企画を立案できる」という項目があり、その細目として以下5つの能力を定めています。
4つのリスク(価値/ユーザビリティ/実現可能性/事業実現性)を抑えた解決策を企画できる
アウトカムを重視して企画できる
定性的な手法を用いて企画できる
定量的な手法を用いて企画できる
テックリード、プロダクトデザイナーと共同で企画できる
各項目に対して、制度や体制も含めて様々な取り組みが進んできましたが、プロマネ改善チームとしては、他項目と比べて特に伸びしろが大きいと考えた「定性的な手法を用いて企画できる」を重点項目として定め、ここ1年ほど活動を推進してきました。
ここではあえて、定性的な手法とは何ぞや、という説明は割愛しますが、LIFULLには、ユーザーファースト推進ユニット(以下UFU)という、定性的なリサーチを専門的に行う部署があり、プロダクト部署と連携して、かなり以前からUXリサーチを積極的に活用してきました。
※UFUのあれこれについてはこちらに
しかしながら、未来の予測が難しい不確実な時代において、LIFULLでは仮説検証型を前提とした「ユーザー・顧客理解」「プロダクトディスカバリー」のプロセスでのUXリサーチの活用についてはまだまだ課題・向上の余地があると考えていました。
その主な課題感としては、以下2つ。
UXリサーチを積極的に活用するプロダクト・人が限られていたこと
UXリサーチを相談・依頼するタイミングが早い・遅いことがあり、リサーチ結果を適切に活かしきれないケースがあったこと
これらの課題を解決することで、人に依存せず、組織としてユーザーを主語としたプロダクトづくり習慣をつくっていくことを目指して、具体アクションを組み立てました。
UXリサーチ活用の取り組み
この1年の主なアクションを2つご紹介します。
1.重点強化プロダクトを定めてUFUによる伴走
これまではプロダクトマネージャーや担当企画が、自身や部署の経験に基づく判断によりUXリサーチャーに相談することが多く、UXリサーチを活用すべきプロダクトや案件、タイミングで適切に活用されてないケースがありました。
そこで、重点強化プロダクトを定め、これまでの相談・依頼型から伴走型へ変更しました。
相談・依頼型とは・・・各企画担当が案件単位で必要に応じて、都度UFUにリサーチを相談・依頼する形式
伴走型とは・・・各企画担当に各UFU担当が伴走しながら、企画開発サイクルに適切にリサーチを組み込む形式
これにより、UFU担当者がプロダクトづくりの企画背景や状況などをより深くキャッチアップし、タイミングを逃さず支援できるようになるとともに、プロダクトマネージャーや企画担当も活用すべき案件やタイミングを、自身の成功体験として獲得することができるようになりました。
また、伴走対象となったプロダクトや組織ごとに、UX成熟度を把握することができ、成熟度に応じた課題や打ち手の事例を収集、振り返りを行うことで、成功事例を蓄積・型化し、他部門のアクション・マインドの改善につなげる動きも出てきています。
※UX成熟度についてはこちら
2.ユーザー1on1の開始
社内でもUXリサーチの重要性は誰もが理解しており、活用してみたいと思ってはいるものの、いざ実際のプロダクトづくりでの活用状況を調べてみると、なかなか活用されてない現実。。。
その理由を聞いてみると
取り組むまでに時間がかかりそう・・・
リサーチ依頼する敷居が高そう・・・・
そもそもユーザーの話を聞いたことがないかも・・・
リサーチの予算取ってないな・・・
など様々なハードルがありました。
そこで、もっと気軽にユーザー理解・ユーザー体験理解のファーストステップを踏める機会として「ユーザー1on1」を始めました。
ユーザーインタビューよりもライトに、普段社内で行っている1on1と同じくらいの気軽さで、まずはユーザーと話してみよう!という取り組みです。
「1on1」という言葉はイメージがつきやすいように使いましたが、いきなりユーザーと1on1するのはハードルが高いので、実際にはUFUメンバーと一緒に挨拶から始めて気軽にお話する形式です。
実際のユーザー1on1実施の流れは以下。
ユーザー1on1のメリットとしては、圧倒的な気軽さとスピード感を重視しました。
ユーザーと気軽に話せる
実施までのスピード感(最短で依頼から2-3日で実施)
企画としての準備不要(話したいユーザーを伝えて参加するだけ)
費用がかからない(謝礼などのコストはUFU負担)
実際に参加した人の声からもポジティブな感想が多数集まっています。
準備がいらず、想像以上に手軽に参加できた
知らない範囲の話題がたくさんでてきた!まだまだ知る余地があるイメージができた。
業務に早速取り入れられるヒントが得られた!
企画会議の際にあの時のあの人がこんなこと言ってた、こんな行動取ってたよね、というユーザー目線の会話が飛び交うようになった
まだまだ初めて3ヵ月程度なので、Try & Learn な日々ですが、参加した人はもちろん、参加者の実施内容や気付きを社内でシェアすることで周囲の人も含めて、着実にユーザーとの距離が縮まり、ユーザー主語の会話が増えてきていることを実感しています。
今後は部署異動時のオンボーディングの一環としても積極的に活用促進していきたいと考えています。
まとめ
定性的な手法を用いるとか、UXリサーチの活用とか、言ってきましたが、そんな形式的な話ではなく、課題に直面しているリアルなユーザーを理解する意識と習慣自体が組織の文化として根付いていくといいなと思っています。
我々ものづくりをする人は皆、だれか困っている人の課題を何とかしたいと思ってものづくりに取り組んでいるはずです。
でも、日々業務をしていると、売上やKPIなど、定量的な数値や目標に追われ、誰のためにものづくりをしているのか不安になることもあります。
そういった時、実際に困っているユーザーの顔を見て、声を聞き、行動を観察することで、圧倒的な当事者意識が生まれ、自分事のようにユーザーの課題解決に取り組むモチベーションが生まれるはず。
その機会は月に何回、年に何回あればいい、というものではなく、日常的に、習慣的に、思いついたときに、迷ったときに、気軽にユーザーと向き合い、ユーザーの体験をイメージしながら、議論やプロダクトづくりをすることができれば、おのずと結果につながり、革進的な機能やサービスを世に生み出せると信じています。
今後はこれらの取り組みをさらに深化させ、LIFULL流のユーザーを主語としたプロダクトづくり、顧客体験理解文化を作っていきながら、次なる「プロマネ改善」にも取り組んでいければと思います。
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興味のある方のご応募お待ちしています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!