【LIFULL×茨城県河内町】協力隊採用サポートを活用して~役場と住民をつなぐ要として地域おこし協力隊の活動に期待~
茨城県河内町は、茨城県の南端に位置し、農村地帯を中心とするまちです。自然に恵まれながらも、都心に近く成田空港や主要高速道路などへのアクセスがしやすい面もあり、利便性がありつつも程よい田舎暮らしができるまちとして注目を集めています。
2023年、茨城県河内町は初めて地域おこし協力隊の採用を行いました。廃校を活用した生涯学習分野で1名、地域魅力化コーディネーターとして2名の隊員が採用となり、活動を開始し約半年が経過したところです。
今回は移住担当の企画財政課木村さん、協力隊受入れをした教育委員会 廣住さん、まちづくり推進課 渡邊さんにお話をお伺いしました。
河内町への課題を感じていたところに協力隊募集の提案があり、募集に踏み切る
ー今回、河内町初の試みとして地域おこし協力隊の募集を決めた背景などはありますか?
企画財政課・木村さん(以下、木村):きっかけは上長からの提案でしたが、個人的にも地域おこし協力隊は地域活性化の起点になるだろうという認識を持っていて、いずれ河内町でも受け入れたいなと考えていました。
河内町は、人口減少や少子高齢化が他自治体に先駆けて進行しているまちです。住民の間でも「河内町には何もない」という意識が蔓延している、と感じている一方で、移住者の方からは河内町の風土に魅力を感じていただけることも多かったのです。そこで、河内町の魅力を掘り起こし、磨き上げ、その魅力を発信する人材を外から呼び込み、活性化のきっかけになればと募集を決めました。
ただ、私自身も地域おこし協力隊制度の枠組みは理解していましたが、現在の実務がある中でミッションを考えて、募集要項を作って、希望者に発信して…という準備をどのように進めていけばいいのか?河内町ではこれまでに地域おこし協力隊の採用実績がなかったですし、手探りで他の自治体さんの例を引っ張ってやっていくには時間もない、という課題を抱えていました。
ー初めての募集・採用活動の場合、ノウハウを集める部分も不安がありますよね。今回LOCAL MATCHの採用支援を活用してくださいましたが、LOCAL MATCHのサービスはどのように知りましたか?
木村:JOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)から届いた「地域おこし協力隊採用ノウハウ発信セミナー」の案内を目にしたことがきっかけです。ちょうど上長から地域おこし協力隊募集の話があった数日前にセミナーの案内を受け取ったことを思い出し、早速申し込みました。
セミナーの後に個別相談を受け、ちょうどいいタイミングでLIFULLの後藤さん(河内町採用支援を担当)と出会うことができ、地域おこし協力隊の採用について色々とアドバイスをいただくことができました。
ー今回、教育委員会とまちづくり推進課で地域おこし協力隊の募集を行われましたが、どのような想いを持って採用活動に踏み切りましたか?
教育委員会・廣住さん(以下、廣住):近年、生涯学習関係部局や事業を取り巻く状況が変わってきて、人員が削減されたり、このままだと事業が衰退していくのではないかと危機感を持っていました。民間を活用をしての事業展開を検討していたタイミングで、地域おこし協力隊の要望調査があり、この状況を変えるきっかけとして「ここで手を挙げておいた方がいい」と、自分の感覚と判断で地域おこし協力隊の募集に手を挙げました。
まちづくり推進課・渡邊さん(以下、渡邊):うち(まちづくり推進課)は、本当に入れたくてしょうがなかったんです。河内町の農産物や観光スポットの出口戦略・観光などの情報発信の拠点として、河内町産業観光交流拠点施設「かわち夢楽(むら)」がプレオープンしたことや、官では動きづらい分野に民の力を取り入れたいと考えていたこともあって、「入れたいなあ、でもイベント終わるまでできないなあ」と思っていたところ、移住担当者から声がかかり、「是非やらせてほしい!」と手を上げました。
地域おこし協力隊のいいところは、河内町に住んでもらって地域の人と一緒に動いてもらえる部分だと思っています。やはり外部の方がその事業・イベントの時だけ関わる、というだけだと難しい。地域に関わってもらい、地域の方が動いてくれる形を作ってみたい。官だと動きに制限が掛かってしまうケースもあり、町役場だけでは動けない部分に踏み込んでもらい、観光や地場産品の振興という分野におけるソトモノ目線での取組、地域の方々との共生から地域活性化に向けた機運の醸成が図れたらと考えていました。
ー皆さんそれぞれに地域おこし協力隊への期待をお持ちだったのですね。
採用活動にあたり、LOCAL MATCHのサポートを依頼いただいた理由などはありますか?
木村:他の採用支援団体さんとも比較検討しましたが、LOCAL MATCHは特にミッションの作り込みに対するアドバイス、ファシリテートが卓越していました。決め手としては、採用支援の実績もそうですが、スピード感を求められている中での対応の早さ、ミッションの作り方や練り上げなどもかなり深いアドバイスをいただけたことですね。希望者へ情報をいかに届けるかという視点にとどまらず、活動期間中にどのように「生業」を作り、定住へつなげていくのかという視点でミッションを作っていただけたことには非常に感謝しています。
ーまちづくり推進課や教育委員会としては何か印象をお持ちでしたか?
渡邊:LOCALMATCHのページについては、地域と移住希望者等をつなぐ地域紹介の仕方やイベント等、相談しやすい環境が整っているなと感じました。また、サイトのデザインの作りに雰囲気があり好感を持てたところも良かったですね。
廣住:当初、LIFULLさんに関してはLIFULL HOME‘Sなど住宅関係のイメージが強く、地域創生関係の事業を展開していることは知りませんでした。携わっていく中で、幅広く事業展開をされているんだなと初めて知りました。自分自身、自治体勤務ということもあり見ている世界が小さいなと感じることも多々ありましたね。
LOCAL MATCHでの採用サポート開始 移住者だけでなく民間事業者との出会いがあったオンラインイベント
2023年5月より募集開始。地域教育コーディネーター(教育委員会)と地域魅力化コーディネータ(まちづくり課)それぞれの募集ページをLOCAL MATCHに掲載しました。
その他、河内町の魅力や担当者のリアルな声を聞けるオンラインイベントの開催やスカウトで集客を進め、5月掲載開始から8月までの3ヵ月間で総エントリー数22名(教育13名、まちづくり9名)を獲得。
LOCAL MATCHのエントリーからLIFULL担当者による事前面談を実施。そこから、教育分野で6名、まちづくりで5名の応募があり、各課の担当者による一次面接、町長を含めた最終面接を経て、最終的に3名の内定が決定しました。
ー実際の採用活動準備や選考過程はいかがでしたか?
廣住:正直、他の事務を抱えているなかでの要項作成などの準備段階の作業は大変だったところもありました。オンラインイベントの参加はこれまで経験できなかった事業であり不安もありながらの参加でしたが良い経験となりました。選考等についても対応がこれで良かったのかと自問自答したときもありましたが、どちらにせよ良い経験で、もっと若い時期に経験しておきたかったです。
渡邊:募集要項の作成については、一から作るよりテンプレート等があってとても容易にできました。また、書き方についても、応募者がよりわかりやすい表現を教えていただくなど助かりました。オンラインイベントは、私は初めての経験でしたがとても楽しく参加させていただきました。担当それぞれのキャラクターが出せたことが良かったですし、移住者だけでなくオンラインイベントを通じた新しい民間事業者様との出会いがあるなど、今後に向けての収穫が多くありました。
廣住:選考の中では、河内町あるいは事業内容に興味を持っていただける方が予想以上にいたことが嬉しかったですね。LIFULLさんに対しては、募集から採用までのプロセス、フォローなど想像以上の対応をしていただけました。
3名の地域おこし協力隊員が内定 それぞれの隊員にかける期待
ー今回、3名の地域おこし協力隊員の方が内定となりましたが、一次面接ではどのような印象をお持ちでしたか?
廣住:教育委員会で採用し、廃校を活用した地域教育に携わっていただいている田畑さんは、年齢を感じさせない若々しさやエネルギーを感じさせる印象で、「寺子屋」というキーワードだけで興味を持ってくださったこともあり、何かのご縁ではないかと感じました。他の応募者の皆さんも良い方ばかりでしたが、河内町にとって最初の地域おこし協力隊だからこそ、次に繋がるような、土台を作り後進を育ててくれるような方に来てもらえたらという想いは担当者として持っていました。
渡邊:まちづくり推進課では2名の隊員の方の採用が決まりました。まず、かわち夢楽の運営や特産品開発に携わる地域コーディネーターとして活動する国府田さんは、既に面識があった方で、今までは出荷者という立場でしたが、改めて話してみるとしっかりとした考えや経歴を持っていて、パワーがあるなと感じました。
また、観光交流やレンタサイクル運営に携わる地域コーディネーターとして活動する山田さんは、これまでは管理職としてルーティンワークを得意とされていたので、面接時に「これから事業を作り込むことに関してはどうですか?」と質問した際に「今から経験をしたいんです」と言っていたことが印象に残った方でした。丁寧なお答えだったり、人間性などしっかりされていて、地域に入っても受け入れてもらえる印象でしたね。
正直、私たちもはじめての面接で緊張していました(笑)
ー移住担当として木村さんも面接に同席されたんですか?
木村:自分も入れる時には同席するようにしていましたね。各課の担当者とは角度を違った質問をしたり、ミッションに関わる経験の有無を聞いて整理したりして、参考にしてもらいました。また、移住担当者としては「地域に受け入れてもらえるかな?」「コミュニケーションがなかなか取れないということはないか?」ということを重要視していましたが、今回来ていただいたお三方はその心配がないと感じました。
あとは、後藤さんに事前面談をしていただいて、その際に情報を伝えてもらっていたり、反対にどんな方かコメントをいただけたことがとても助かりましたね。まさにその通りの印象でした。
ー事前面談などでお役に立てて何よりです!では、実際に3名の地域おこし協力隊員の方が着任されてからはいかがですか?
廣住:教育委員会では、田畑さんに着任までの間にいろいろと構想を練っていただいたこともあり、既存の事業についてスムーズに担当者と連携ができたと思います。田畑さんご自身の経験値や知識の多さをうまく活かして、新しいカタチの事業へ繋げていけるかが今後の課題ですね。
渡邊:まちづくり推進課では、それぞれの人間性がはっきりと出てきていると感じています。これまでの経験等から事業の進め方がそれぞれで違いますが、前向きに取り組んでいる姿を観ることができ、また、ソトモノ目線やこれまでの経験から河内町を観て、企画案を出し実践していると感じることが多いです。
地域での変化とまではまだ感じられませんが、地域の商工関係事業者様が主体となる事業者の企画案などを進めていただいたり、これまで官が主導で行っていた部分を民が主体的に取り組める、持続可能性がある取り組みが根付いていける光を感じることができています。
ー今後の地域おこし協力隊員の活動の中で期待したいことを教えてください。
廣住:田畑さんご自身のプランを前面に出して事業展開を進めていっていただきたいです。それについては自治体としてバックアップしていければと思っています。これまでの町のスタイルとして、子どもおよび高齢者と両端にある世代を対象として企画が多かったので、中間層である「働いている世代」を対象とした事業展開をし、もっと町に関わることに興味を持ってもらうきっかけづくりをしていただければと思います。それは、参加者だけではなく指導者の育成も含めて進めていただけることを期待しています。
渡邊:地域の方々が主体的に取り組めるような持続可能な取り組みが広まっていければと考えています。また、新たな人の流れや地域住民と一緒に河内町に住んで、関わっていて楽しいと思える空間になればと考えています。新たな特産品、観光スポットや体験型の観光の創出により、交流人口等が増え、地域の活性化に繋がることを願っています。
木村:これからお三方には、もっと地域に入っていただいて、役場と住民の中間組織として核になる活動をしていただいたらいいかなと思っています。そして地域おこし協力隊という一種の「文化」を当町へ広めてもらい、住民の方に自慢してもらえるようなまち、地域を作っていってほしいです。
ー3名の地域おこし協力隊員の方が、まちの中だけでなく外に向けた地域活性化、そして今後につながる持続的な地域の魅力づくりのきっかけとなることが期待できますね。今回は貴重なお話をありがとうございました!
(終わり) インタビュー時期:2024年2月
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