バーベル速度を用いた筋力トレーニングであるVBT(Velocity Based Training)のエビデンスと効果的な活用方法
2021.7.15 (項目10の追加とその他の文章を校正しました。)
2021.9.1(項目7と項目10に追加情報を掲載しました。)
▶加圧トレーニングと速度変化(項目7)
▶グリップ幅が総トレーニング量に与える影響(項目7)
▶速度から1RMは正確に予測できない報告(項目10)
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現在のトレーニング科学において、筋肥大や筋力増強を目的とした場合に最も重要とされているトレーニング変数(反復回数、セット数、時間等)は「トレーニング・ボリューム」です。このトレーニング・ボリュームが多いほどトレーニング効果が高いと現在考えられています。
様々なセットの組み方や方法がありますが、最終的にトレーニングの効果を左右する因子はやはりトレーニングのボリュームに依存していると考えられています。
ですが、近年ではトレーニング・ボリュームにも収穫逓減ポイント(増えすぎると効果が無くなるポイント)が存在することが分かってきています。ですので、むやみにトレーニング・ボリュームを増やせばよいということでも無いのです。
この多すぎるトレーニング・ボリュームのこと(過剰なボリュームで筋肥大や筋力増強に貢献しない領域)をオーバートレーニングと表現したりします。近年、このオーバートレーニングを防止して、最適なトレーニング・ボリュームに自動調節する方法が研究で進んできています。
その方法で、恐らく私が調べた中で最も研究数が多く、妥当性や効果が高いと言われているのが
☞「RPE」による管理方法です。
このRPEがどの様な物なのかの詳細は以下のリンクで確認してください。
そして、このRPEを利用したトレーニング・ボリュームの自動調節法である「RPEストップ法」は以下のリンクで確認してください。
更に研究は進み、現在、RPEとは別のトレーニング変数によってトレーニング・ボリュームを管理する方法が注目されています。その方法が
Velocity Based Training(VBT)
です。このVBTはバーベル速度を計測することで、疲労感などを客観的に管理して、トレーニング・ボリュームを調節する方法として研究が進んできています。
単的に説明すると、バーベルの速度を計測しながらトレーニングする方法です。
これまではバーベル速度の計測には高額な機器が必要でしたが、最近、安価で精度の高い計測器が登場しており、今まで以上にバーベル速度のトレーニング応用が加速しています。
VBTを使用している有名なパワーリフターには
Tylor Atwoodなどがいます。
どの様な物を使用してバーベル速度を計測するかというと
RepOne(ワイヤー式)
BEAST(ワイヤレス式)
https://www.thisisbeast.com/en/beast-athletes
等が代表的なバーベル速度の計測器です。
今回、このVBTに関する様々な研究情報を統合して、現在考え得る効果的かつ実用性のある使用方法を提示したいと思います。尚、VBTに関しては本当に近年急速な研究が進みつつある分野ですので、ここで示す結果が今後登場する研究結果によっては変化する場合があります。その際は第2版として修正を重ねていく予定です。
1. VBTの歴史(豆知識編)
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