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ブランディングのメモ帳-10

ブランディングの話をすると、デザイナーにロゴとマークを変えてもらいましょう。とか、パッケージのデザインを変えましょう。とか「デザイン」に関するリニューアルや変更の話になることが多いようです。
企業側から「デザイン」に関する費用について提示されて、その予算の中で何ができるのかを考えるデザイナーがほとんどだと思います。

でも「ブランディング」はデザインの話だけではありません。
「ブランディング予算」=「デザイン予算」
ではない
のです。

デザイナーとして様々なクライアントの仕事を受けてきたけれど、その頃には「予算」とその使い方にまで意識は届いていなかったように思います。

しかし、デザインを含めてブランディングというものには必ず「結果」が生じます。例えば販売のためのデザインをすれば売上そのものに結果が表れます。集客のためのデザインをすれば集客者数そのものに結果が表れます。それらがブランディングを含めて行われるものであれば長期的に見て数字を読まなくてはならないし、デザイン以外にどのような手法を使ったのか?ということまで見なくてはなりません。

販売のためのデザインは「誰」に対して作られ「どこ」で訴求し「どのように」認知されたのか?同じく集客のためのデザインは「どのような方法」で「どこまでの範囲」で広報されたのか?それらを考えた上で行うのがブランディングであり、これらの手法に対する資本の投下はデザインに対する投下よりも大きくなる可能性があります。

デザイナーはデザインをした後で「あの商品の売れ行きはその後どうなりましたか?」とか、「あのデザインにかかった費用に対して、その後利益はどのぐらい確保できましたか?」などと聞いているのを見たことがありません。

もちろん大資本を持った企業のようにデザインやブランディングに大量の資本を投下できる企業は少ないけれど、デザインにその企業の資本が投下されているのだからデザイナーやブランディングプランナーはその投下された資本に対して責任を持っています。その資本さえ手に入れば良いという考え方は仕事のやり逃げ状態でいかがなものかと思います。

また、その投下された資本に責任を持つということは、その資本がどれだけ有効に使われたか?を周知する必要があるし、効果的に使用するためにも単にデザインだけを行うのではなく、プロモーション全体を考え、どこにどれだけの資本を投下するかを考える必要があります。

ブランディングに踏み込んで考えるのならば、ユーザーに与える印象を統一し認知度を上げる方法について深く考え、さらに、長期間にわたってそのブランドをコントロールしなければなりません。

方法によっては結果が見え始めるのに時間がかかることもあります。小規模事業者が新しく立ち上げるブランドに関しては、根気よく小さな資本投下を続けながら育て、売上や認知度に変化が表れるのに3年以上かかる場合もあります。その間、並走するのならばその企業の経営にまで入り込む必要があるかもしれない。少なくとも信頼関係を構築できなければ長期間の並走は無理だと思われます。

一人のデザイナーがブランドの立ち上げまで並走できるクライアントの数は限られています。ブランドを安定させ、さらにその後に起こる変化を予測して手を打ちながら、さらにそのブランドを育て上げるのならば5年〜10年の時間が必要になるのです。

その間に売上や利益は乱高下するかもしれない。それらをコントロールする過程でデザイナーもクライアントも育ってゆくのだと考えます。

種を蒔き、水をやり、発芽させ、花を咲かせ、実がなるのにはそれなりの努力が必要だし、種を蒔いて放置するのは仕事をしたとは言えないのではないでしょうか。

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