美容院が苦手だ
美容院が苦手だ。
予約日の前日からナーバスになるほど苦手だ。
厳密にいえば、苦手。というより、申し訳ないキモチになってしまう。
美への探求心が底辺みたいな私みたいなもんが、こんなキラキラなところに来て申し訳ないという感じだ。
そう思うに至る3大黒歴史を備忘録として書き残す。
共に苦笑いしていただければ幸いだ。
早く帰らせてくれ事件
大学生の頃。
アパートから一番近い美容院へ通っていた。結構大きな有名店だった。
月に1回美容院の日。
その日はアシスタントに初々しい新人の男性がついてくれた。20歳になるかならないかぐらいの子だった。
いつもとおり「清潔感のある感じで、あとはおまかせで」とぶん投げたオーダーだ。
カットとカラー、トリートメントをしてもらい、担当女性の方が「いかがですか?」と鏡を後ろから合わせて確認をしてくれたその時だ。
アシスタントの男性が興奮気味に言った。
「とってもステキです!後ろから見たら絶対ナンパされますよ!」
その瞬間、店中が凍りついた音がした。
間髪入れずに担当の方が「おい!!失礼だろ!!」と怒鳴り、広い店内にはBGMだけがただただ静かに流れた。
お会計をしているときも担当女性とアシスタントの彼、そして責任者のような男性が、深々と頭を下げて謝罪された。
いや、いいのよ。
いいの。
もう忘れて。
私も忘れるから。
それより早く帰らせて。
二度とこの美容院には行けなくなったのは言わずもがなだ。
彼、元気かな。
長澤まさみ事件
30代前半の頃も、相変わらず家から一番近い美容院に通っていた。
そして相変わらず「髪ゴムでしばれる長さで、あとはおまかせで」とぶん投げたオーダーをしていた。
仕上がりを確認する際に、担当女性の方が言った。
「長澤まさみそっくりですね!」
って。
で、その時来てた客が全員私を見るわけ。
ケープをつけた客たちがいっせいに、いかほど長澤まさみなのか見るわけ。
で、長澤まさみの要素ないわけ。
会ったことある人なら分かるけど、皆無なわけ。似てる要素が。
強いていうなら目の数が同じぐらいで、実際はいっこく堂なわけ。
本当ごめんて。
謝ればいいのかい?
土下座すればいいのかい?
そう思いながらそそくさと店を後にしました。
(見てないと思うけど)これをご覧いただいている美容師の方、仕上がりを女優・俳優に例えるのは功を奏す場合と一生のトラウマを植え付ける場合がございますので、なにとぞご注意をば。
石田ゆり子事件
30代後半ころだったか。
逃げるは恥だが役に立つというドラマが流行ったころ、石田ゆり子さんに心を射抜かれた。
こんなステキな方に髪型だけでも近づきたい!という毛に対する自我が40年近くの時を経てようやく芽生えた。
いつもはおまかせの私だったがこの日は
「石田ゆり子さんでお願いします!」
と、揚々とオーダーをした。
2時間後、いかがですか~とケープを外されたとき、がっかりだった。
全然ゆり子にはならなかったからだ。
結構腕がいいと思っていた美容師さんだったけど、ちょっと今回は失敗だなぁと。
肩を落としてお会計をしているとき、鼻がむずむずっとして顔を覆ってくしゃみをした。
その時だ。
指の間から鏡に映っていたのは、石田ゆり子だった。
そこには紛れもなく石田ゆり子がいた。
その時の写真がこれだ。
美容師さんの再現力の高さに感激した。
そして、悟った。
思ったよりゆり子じゃないのは髪型じゃなくて、顔面だったことを。
歯を食いしばっているので私を殴ってくれ。
そう猛省をし、この人に一生ついて行こうと決めた。
(引越すまで通い続けた)
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