都会の単身者が居住地に紐づいた場・コミュニティを必要とするのはどんな時??
はじめに
昨日、中学校をリノベーションしてできたアートセンターアーツ千代田3331で開催されたイベントに参加しました。
BIOCITYという環境系雑誌のパイオニア雑誌があるのですが、その雑誌は年に1度、コミュニティデザイナーとして全国的に有名な山崎亮さん率いる、Studio-Lとコラボした号を発刊しています。
その号は、毎回Studio-Lの方々が海外のある地域で取材した記事で作られています。
イベントは、今月発売のBIOCITY81号で記事を書いた出野紀子さんと編集長の藤元さんによるトークショーでした。
モデレーターは、私がよく参加しており、今年は一緒に仕掛ける側になっていく本を読まずに参加できる読書会コミュニティ「Booked」の浦野さん。
テーマは、ニューヨーク州にあるコミュニティスクールでした。
第一部 トークショーからの学び
このスクールに通う子どもたちはヒスパニック系とアフリカ系で9割以上を占めています。いわば通常の公教育を受けられない子どもたちの受け皿なのです。
覚えている範囲でこのスクールの特徴を書くと、
といったようなことです。
この特徴を見ると、単に「学びの場」としてではなく、アメリカ社会で経済・学業面で弱者と言われている層の方々のかけこみ寺、家族のような繋がりが得られる場なのだと思いました。
個人的には
・このコミュニティスクールはシカゴとニューヨークに特に多いこと
・ニューヨークは市長がスクール数を200に増やす!目標を掲げたことで
一気に伸びたこと
などの成り立ちや特に伸びた背景や卒業した子たちの進路が気になりもっと知りたいと思いました。
第二部 学びや気づき
トークショーの中では出野さんが注目されている公民館(日本にしかないみたいです)の話題も出ました。
それを受けて第二部では質疑応答だけではなく、今必要とされる公民館はどんなものだろう?というワールドカフェなど参加型の企画も行われました。
私にとって公民館は安く会議室を借りられる場所でしかなかったのですが、
実は以下のような目的で設立されたものだったのです。
すごい意義のあるものだと感じますよね。
しかし、実際のところは私の知る限りはほとんど機能していないように思えます。
あるいは機能していてもその公民館が持つ例えば会議室などの機能を安価で利用できるという部分的メリットのためだけに思えます。
つまり、公民館はそのポテンシャルを全く活かせていない。
こうなってしまった背景は、私たちのライフ・ワークスタイルの変化が大きく影響しているでしょう。
このあたりを考えるのもすごく楽しそうですが今回は置いておきます。
ここではワールドカフェのテーマでもあった今必要とされる公民館はどんなものか?に関連した内容を書いていきます。
今必要とされる公民館はどのようなものか?
この問いを受けて私は自分だったらどうか?を考えました。
私は幼少期から今に至るまで引越しの回数が多く遊牧民的です。
その影響からか、その土地・地域への帰属意識を持ちにくいタイプですし、今のところはなくていいと思っています。
そう思っている理由は、居住地に紐づくコミュニティに対する必要性を感じていないからではないでしょうか。
だからこそ逆に、居住地に紐づいたコミュニティ・場に対して必要性があるとしたらどんな時か?を考えてみることで使われる公民館について考察したいと思います。
(1)自宅以外で作業できるスペースが欲しい
私は家は仕事や作業をする場ではなく、休む場所・寝る場所と区切っておきたいので休みの日などにしたい場合はカフェなどに行きます。
そのため、カフェのような場が居住地にあると嬉しいです。
ですので公民館にWi-Fiがあり、作業ができるスペースがあると行くでしょう。
(2)腕のいい各病院の情報が知りたい
私は単身者であり今の場所に住んで浅いので急病になった際などどこの病院がいいのか分かりません。
この前頑張って皮膚科を見つけて行きました。腕はよかったのでしょうか!?腕がいい病院に行きたいのは当然として近場にあるに越したことはありません。
しかし、 友人知人がいない場所に住んでそういった病院を知る術はネットの評判だけになります。
でも、そもそも地域の院はWEBサイトが古かったり評判もよく分からないところが多いため、半ば勘になってしまいます。
それが「昔から評判がいい病院を知ることができる」と分かっていれば私は行きます。
(3)家庭料理をゴミをなるべく出さない形で食べたい
私は食事が外食メインなのですがお店を回ることにも限界があります。そのため、スーパーでできたて弁当などを購入します。
しかし、毎回プラスチックの容器など、ゴミが出てしまうことが環境問題対策から言うとモヤモヤポイントなのです。
いっそのこと、弁当箱を用意するからそこに直接入れてくれと思ったことがあります。
しかし、衛生面や手間を考えると大手スーパーにそんなことができるはずもない。
そこで、近所に住む高齢者やご家族などに対価を支払い、ご飯をシェアしてもらうことができたらいいなと思ったことがあります。
ちなみに食事代を節約したいという欲求ではありません。「家庭の味を、余計なゴミを出さずに食べたい」という欲求です。
しかし、そんな方にどうやって知り合えるのでしょう。戸建てのお家にピンポンしても怪しいだけですよね。。。
「こんにちは!ご飯を分けていただけませんか?」ヤバいヤバい 笑
これがもし、公民館でそういうご飯パトロン?的な方と知り合える機会があれば行きます。
(4)防災に繋がる知恵や繋がりを得たい
単身者にとって居住地が近い人との繋がりが欲しいと思うのは災害時ではないでしょうか。
昨年、東京を直撃した大型台風の時に単身者の方は言い知れぬ不安を持っていたように思います。
私の場合は、近くに友人が住んでいるので情報交換することで不安を和らげていました。(しかし、身も蓋もない話をすると台風直撃のタイミングでは他の地域にいっていました。そういうことが自由にできる時代とも言えます。)
また、繋がりだけではなくその土地に対する安全情報も知りたいと思うもの。
自分の住んでいる場所は浸水しないのか、地盤は大丈夫なのか、火災が起きたときの風向きはどうなのか、有事の際はどこに避難すればいいのか、などなど。
これらのことを知れること、そして、できれば同世代と一緒に学べる機会があれば行ってみたいと思います。
すぐに出せるとしたらこのあたりでしょうか。
(1)はカフェやコワーキングスペースがある地域ではワークしないような気がします。逆に言えば、ない地域ではニーズがあるように思います。
(2)(3)をみると、おじいちゃんおばあちゃんの家が浮かびました。行ったらご飯を食べさせてくれる、知恵袋で病院のことなど教えてくれる。核家族、単身者で近隣に知人友人がいない人にとって気軽にこういう関わりができる場があるのは助かる気がします。
詳しくは知りませんが、子育てシェアを掲げる会社のAsMamaさんはこの役割を果たされているように思います。子育てをしているママさんにとっては居住地との関わりは必然多くなりますし、多くの助けが必要ですよね。
(4)は区役所のサイトをみる限り情報だけで言えばかなり多岐に渡ってありそうです。しかし、パっと見情報が雑多であり関連するイベントなど見つけることができませんでした。
また、相談窓口などあれども宛先が警察署だったり、無味乾燥なので連絡しにくい印象を受けました。(本気じゃないと怒られそう 汗)「気軽に相談したい」という要望に公民館の意義があるかもしれません。
なお、公民館の目的で書かれていた学習面で言うと専門性やクオリティの面で地域から学べることに対する期待値が低いのが正直なところです。
今はネットや学びの場がたくさんあるため、よりよいところで学びたいと考えるとそういう機能を公民館に求めることはないですね。
色々書き出してみましたが、公民館をアップデートしようとした時に全国一律の場にするのではなく、その地域の満たされていないニーズに合わせて最適化をしていかないと存在意義は持てないなぁと思いました。
(これは公民館に限らずだと思いますが)
また、意義のあるアップデートをするためには、施設などの箱、外見ありきで発想するのではなく
・必要な機能が何か?
・その機能を担うのに最適なのはどこか?
という視点で捉え直すことが必要ですね。
ある地域ではカフェ的な機能が求められているから、カフェ的公民館。
ある地域ではコワーキング的な機能が求められているから、コワーキング的公民館。
〜的公民館という形で個性が表現されていくのは、今の時代っぽくて面白いなぁと思います。
個人的にはそもそも近くの公民館や区役所について情報が少ないのでそれらを見てみたいと思いました。
おそらく、「え!こんなこともやってくれるの?」となるでしょう 笑
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