今の日本に大切なことの1つは、「終わっていることをちゃんと終わらせること」じゃないかなぁ。
今日はこんまりプロデューサーとして知られる川原卓巳が10年以上のプロデュースキャリアのすべてを集約した書籍「川原卓巳プロデュースの学校上下」」が完成したことを祝うイベントがあり、ピンとくるものがあったので行ってきました。
その中で、彼から「今の日本」というテーマで投げかけがありました。今の日本をどう思っているか?どこに向かった方がいいと思うか?といった風に。
私に浮かんだのは、「今の日本に必要なのはちゃんと終わらせる」ということ。
どういうことでしょうか。
例えば個人において、本当はもうエネルギーが湧いてこないのにこれまで続けてきたからこれからも続けなければならないと思い込んでいるものは多いように思います。
「サンクコストバイアス」というものが言葉があり、これは、このまま投資を続けると損失が出ると分かっていても、これまでに投資した分が惜しいので、ついつい続けてしまう心理的傾向のことをいうのですが、言い換えるとこういうです。
本当はもう自分の中では終わっていることを終わらせずに続けていくことの弊害はいくつかあります。
こんまりメソッドというのは、ときめきを軸に物を整理していくので、上記のことと真逆なことが起こっていく。
私はこれは個人だけではなく、組織にも人間社会にも当てはまることだと捉えています。
言い換えれば、今の日本は終わっているものがちゃんと終わることなく、新しいものが生まれるスペースを埋め続けててしまっている。そのため、エネルギーの循環が起こらず、どんどん重たくなっている。という側面が多いように思うのです。(もちろん、現時点で素晴らしい活動をされている方が多数いるのも知っているが、割合としてはまだまだマイノリティでしょう)
「なぜ心の面では終わっているのに目に見える領域においては、ちゃんと終わらせることができないのか?」
この問いはなかなか興味深いものではないでしょうか。
私が思う答えの1つに、「長く続いている」ということがパワー(権威性)を持っている、があります。
これは「伝統」という言葉に言い換えられます。「伝統」とは無条件で価値のあるものだと、捉えてしまいがちですよね。
一方で、悪しき伝統という言葉もあるように、今の人間社会の状況・人々の幸福に即していないというものもあります。
しかし、積み重ねてきた時間が持つパワーに執着している、あるいはそのパワーがあることでゲームの勝負を対等に持ち込める、あるいは先が見えない状態でやめることに大きなリスクを感じる、といった単体での理由や、関係性の中で優位性を維持するため、高めるためといった関係性での理由から「やめることができない」と言えるのではないでしょうか。
これは伝統というパワーだけではなく、軍事や経済といったパワーにも同じことが言えるように思うんですね。
そうなってくると、そもそも「なぜパワーが必要なのか?」という話になってきますし、それは、「理想を実現するため」以上に、「相手を支配するため」「負けないように」といったニュアンスが多いようにも思います。
なぜ相手を支配すると考えてしまうのでしょうか。
それは、過去のさまざまな悲しい事件(特定の方々の実体験含む)の記憶によるところも大きいですが、さらに遡ると、本能レベルでの未知への恐れ(やられる前にやる、から生命や共同体を守ることができる)が起動する傾向が原人から進化した人類にもいまだに残っているから、と捉えています。
大昔の原人の頃は、情報が全くなかったので、致し方ないと思いますが、これだけネットが発達した昨今においても、同じ理由で恐れドリヴンから闘争本能が起動しているでしょう。
この脳や神経の持つ正常な機能をいかに超越することができるのか。
ブッダの教えとはこの問いに答えたもの、という捉え方もできるように思います。
しかしながら、ブッダの教えが生まれ、広がってから2500年以上が経つ中で一定数は成果を生んでいる個人の内面の発達にフォーカスを当てる方法の限界があるからこそ、さらなる進化・適応として日本でもベストセラーになった「ティール組織」が特に象徴的な「過去の延長線上にない協働のあり方ややり方」、「今のテクノロジーに即した集団の意思決定の仕組み」といったものがこの約50年の中で生まれ、徐々に広がってきているのではないでしょうか。
言い換えれば、大切なことは個人の意識の発達だけ、ではなく1人1人の行動の変容や文化・社会の構造・仕組みのアップグレードといった複数の視点で捉え、取り組むことだと言えます。
最初に書いた「やめる」という話からだいぶ遠いところにきてしまった感はありますが(汗)、このあたりは見立てはあるものの、具体的にどうしたらいいのか?についてはまだバラバラ考えているに過ぎず、整理・統合できていない、ということに書きながら気づくことができました。
そちらについては引き続き、取り組みたいと思います。
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