Gaiaxという組織に観た、未来の組織・社会像
先日、Gaiaxという会社のオフィス見学ツアーに参加してきました。
Gaiaxは、企業内でのソーシャルメディア活用や、シェアリングエコノミー事業をなどを手がけているIT企業です。
また、代表である上田社長はシェアリングエコノミー協会の代表理事もされています。
そんな背景から日本で一番シェアを体験できるビルとして2017年1月にオープンしたのがNagatacho GRiDというビルなのです。
その6階建のビルを見学することを通じて、
Gaiaxという非常にユニーク(私にとっては非常に本質的だと感じる)な
組織を垣間見ることができるというのが企画の趣旨でした。
参加者は10数人で、年齢も様々。スーツ、私服衣装も様々。
中学生くらいの息子さんを連れてきていた方もいました。
おそらく、初めてGaiaxを知ってこの場所に来た人にとっては
クエスチョンマークが何個も飛んで、
場合によっては意味がわからなすぎて
フリーズしていた人もいるのではないかと思います。
以下に聞いた特徴と普通の会社と違うと感じたところを紹介しますね。
■特徴(覚えている範囲なので数字・表現など間違っている可能性あり)
・時間ではなく成果へコミットする。そのため出社義務はない。四半期に
1回、上長ロールの人と給与面などを含めたミーティングをしている。
・出社義務はない。リモートワークではない部門もある。
(管理部、システム部)
・自分の仕事を進める上でクラウドソーシングの活用推奨
・副業推奨
・120名中、半分くらいの人がオフィスに出社している
・パソコンは自社のものを配布している
・各事業部の収支は社長が見ているが、収入は経費などは各事業部で
判断している。
・1Fのレストランでは社員は半額でランチなどご飯を食べられる
・固定電話はない。代表電話を受ける拠点は福岡。
他にもあるが、HPなどに書いてあるようなのでそちらを参照ください。
私が特に普通の会社と違うと感じたところは
社員、業務委託、共感した外部の人、
それらの境界線が限りなく曖昧である点です。
具体的には、2Fにコミュニティスペースがありますが、
社員も社長もイベントなどに参加してメアド登録したコミュニティメンバーも肩を並べて働いているのです。
(もちろんコミュニティメンバーは自分の仕事をしている)
社員さんも知らない人がいることが常態らしい。
しかも、そのコミュニティメンバーは
何かお金を払う必要があるわけではなく、
定められたエリア内であればWi-Fi無料かつ、フリーデスクなのですっ。
(それでも月4回くらいの利用が最適とのこと)
また、上の階には会議スペースなど個室もありますが、
基本的にはオープンな場所で働いているのが Gaiaxの社員なのです。
私も含めた参加者の中には
「会社といえばメインとなるオフィスがどこかにあって
社員さんは主にそこにいるんじゃないか?」という無意識の前提があって、
「それはどこだろう?」と探している人がいましたが、
Gaiaxにはありませんでした。
そういう意味では
特定の場所がオフィスなのではなくて、
社員がいる場所がオフィスというイメージなのです。
これは、「企業は場所なり!」と言わず、
「企業は人なり_と言うように企業の本質が
可視化されているように感じます。
また、この会社はGaia理論(地球は1つの生命体)を
中心概念と置いているようなのですが、
本当は境界線などない自然界と同じように、
関わり方が内と外という風に二元的なのではなくて、
グラデーションになっているところにも
理想の世界観を体現しようとする気概を感じました。
私がもう1つすごいと感じたのは
社内の他事業部への依頼は、事業部間取引として、
その事業部にお金を払っていることについてです。
例えば、GRiDのイベントスペースを利用する場合は、
GRiD事業部にお金を支払っていて、
その関係性の中で社員は、
その仕事を個人として受けてもいいそうなのですっ!
プロジェクトを進める上ではクラウドソーシングも活用できるし、
Gridはシェアオフィスも運営しているので
そこの入居者の方に依頼もできるし、
もちろん社内の人にも依頼できますが、
その時の選択肢として
会社人としてか個人としてかを選べちゃうってことなんですよ。
すごい!そう考えると、お金目的の人にとっては
Gaiaxの威を借りて稼ぎ放題にもなりえる気がしますよね。
しかし、もしそういった関わりをする人に対して自浄作用があるのであれば、そういう人は自然に淘汰されていくはずです。
また、個人としてだけ勝とうとするのではなく、
Gaiaxも勝たせた方が豊かだと気づくのかもしれません。
あるいは、すでにそのように感じている人が
社員として働いているのかもしれません。
そういう重力が中心にいけばいくほど強くなり、
損得マインドの人は一定のグラデーションを超えられないのかもしれません。
じゃぁ、一体何を以って会社との関係性について濃淡が決まっているのか?
理念の共感なのか?
いや、必ずしもそこへの共感がなくても
「プロジェクトで得られる経験が欲しいから」
という理由で関わる人もいるらしいです。
そう考えると、「理念に共感する人だけを集めたい」
という価値観が先にあるのではなく、
プロジェクトを推進する人が何を大事にしていきたいのか?
という想いに応じたチームが形成されている
ということなのかもしれません。
ドキドキするなと思ったことがあります。
「会社へのロイヤリティについてはどう考えていますか?」
と人事の方について質問してみのですが、
返ってきた答えは「会社の前に自分へのロイヤリティはどうですか?
という話になる」とのことだったんです。
つまり、会社への帰属意識を持つよりも
自分自身への帰属意識を持つことに重きが置かれているのです。
その上で、Gaiaxという会社にどう関わりたいのか?という
主体性が求められるというわけなんですね。
実際、中途で入社した方の中には、
自分の市場価値がどのくらいだと思うか?と問われた人もいるそうです。
これは事業部の上長ロールの人にもよりそうなので
どこまで共通のものなのかは分かりません。
これらを鑑みると、
この環境は、今まで「私が何をしたいのか?」を深く考えたことがない人、人生で主体性を発揮することができるとまだ気づいていない人にとっては非常に酷な環境だと思いますね。
「○○会社の」という自分ではなく「肩書きのない」
自分自身の存在が問われるからです。
多くの場合、肩書きや会社の自分以外の自覚がなかったり、
そこで発揮している自分の価値についての自覚はありません。
そういう意味ではこういう環境に飛び込むことは
映画『千と千尋の神隠し』で、
主人公の千尋が湯婆婆に名前を奪われて取り戻そうとするが如く、
奪われていたとすら気づいていない自分の名前・存在を取り戻すことであるかもしれません。
(ストーリーの大筋を忘れてしまったのでまた見てみよう。)
肩書きのない自分自身の存在を問うことなど、自分には関係ない。
そう思うかもしれませんが、私がドキドキすると思ったのは、
やがて日本自体がそういう環境になると感じるからです。
つまり、上記のドキドキは遅かれ早かれ多くの方が
向き合うことになるのだと思っています。
(このあたりは別の機会にまた書きたい)
ここまで書いてきたような特徴を見る限り、
Gaiaxは従来のピラミッド一色で、内と外が分かれている組織
というよりも、網の目のように色んな関係の線が
交わりあってできている組織のように思えます。
何かに代表の上田社長が書いていた気がしますが、
変化していくことに逆らわないことを徹底している組織のように感じるんですね。
また、機能として自然淘汰の仕組みを持っているとも思えます。
先に会社としてではなく個人としても仕事を受けることができる
と書きましたたが、この傾向が続くと会社自体が自然淘汰されていくことも当然ありえるのでしょう。
しかし、そうならないとしたら、
残したいと想う人の想いによって存続していく気がします。
そして、この想いは、ティール組織で言う存在目的のようなもので、
個人だけで所有されているものではなく、WEとかOURとかそういう感覚のものではないでしょうか。
この感覚を個人的には、○○精神と呼びたいです。
そして、個人的には今後はこの○○精神というものが、
血は水よりも濃い( 血の繋がった血縁者同士の絆は、
どれほど深い他人との関係よりも深く強いものであるということ)
という言葉の定義を変え、
○○精神は国籍よりも濃い。という風に、
従来の国の定義も変えていってしまうように妄想していたりします。
今回大盛り上がりだったラグビー日本代表は、
従来の日本人観でのチームではなく、
言うなれば「日本精神」という絆で結ばれた日本人のチームでした。
これは、未来社会の先触れなのでしょうか。
そういう意味で、Gaiax自体も未来の先触れであると感じますし、
そこには未来の国の形や組織の形など色んなことのヒントを見出すことができると思うのです。
すでにそういう社会づくりに向けて動いている方にとっては、
ここまで可視化されていることに嫉妬すら覚えるレベルなのではないでしょうか。
関わりのグラデーションはそれぞれとして、
ここまで読んでみて何か気になるものがあれば
ぜひ一度は足を運んでみてほしいです。
オフィス見学ツアーは次回は11月20日にあるみたい。
詳細はこちら。
会社HP
Nagatacho GRiDのFB
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