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城に、「火」を入れる時にこだわったこと




寒い・・・とにかく、冬が寒かったのだ・・・!


2020年、初めて仕事をするためだけの部屋の賃貸契約を結び、結局、コロナでお客様をお迎えすることもないまま・・・でありながらも、私の城作りは続いていた。


思い切って契約したのが3月。
そして、猛暑なのに建物の構造が幸いしたのか、室内はほぼエアコン要らずの涼しい夏を過ごし、無我夢中で春、夏、秋・・・と過ごした城は冬を迎えた。

「もともとは土足で出入りできる事務所だったらしい」ということは、たまたま知り合いの営業さんから聞いた話。その部屋は、私が入居を決める少し前にフルリフォームを済ませた、とても綺麗な物件だった。土足OKなスペースをいい感じのフローリング仕様に変え、申し訳程度のキッチンと、トイレ・お風呂をそれぞれつけ、1ルームは10畳という広さ。ただの箱状態の部屋ではあった。しかし、そこでボディワークレッスンがしたかった私にはそれで十分、と言うより、そのがらんとした感じがスタジオっぽくて逆にありがたかったのだ。


結局、賃貸契約を結んでいた2年間とコロナで世界が大騒ぎしていた期間が丸かぶりし、お客様をリアルにお招きしたのはたった一回。あとはオンラインでのレッスンや講座に工夫を凝らしていく日々となり、それはそれで集中しやすくありがたい環境になったのだった。


ヨガマットとレッスンで使う椅子(秋田木工の人気モデルNo.202)


画面に映り込むことのない死闘


オンライン全盛となると、「この10畳、欲しかったか?」というほどの十分すぎる広さ。「広々してていいね!」が、冬の「なかなかあったまんないね(暖まらないね)」に直結してしまうとは・・・!しかも、古いタイプの窓は外気の影響をもろに受けやすく、特に豪雪傾向にあった’20、’21の冬は窓枠に雪が積もったりもした。正しくは、サッシのほんのわずかな隙間から入り込む冷気が、窓枠を白く凍らせ、ブラインドやカーテンだけでは凌ぎきれない状況になった。ついに私は、コロナ対策のため誰も訪れないという状況をいいことに、引越しで大量に出ていた緩衝材のプチプチを、窓を覆うように貼る、という策に出た。「オンラインで良かった〜!」という苦肉の策を、PCカメラの死角で繰り広げていたのだった。


zoomの画面には「こんにちは〜😊」とVネックのニットで登場するも、椅子に座る下半身にはフリースブランケットをぐるぐるに巻きつけ、足元は分厚い靴下にあったかスリッパ、そして床には1畳のホットカーペット・・・。「今夜は、10年に一度の寒波です」という気象情報を22時に目にしようものなら、「城の水道の氷どめ(凍結対策)してくる」と家族に告げ、城の水道をチョロチョロと出しっぱなしにするために、吹雪のなか車を走らせた日もあった。賃貸で水道管を破裂させたら大事件になるからだ。翌日、細かな枝が全て凍って満開の桜のようになるほど冷えた朝に、ドキドキしながら〝出勤〟する。水は出ている・・・でも、蛇口から静かに流れ、シンクに飛び跳ねた雫は凍っていた・・・。もう、降参だ・・・。


「ストーブ買お・・・!」


電気ストーブでなんとかしようと思っていたけれど、もう無理だ・・・。パワーが足りない。石油ストーブを買おう。絶対買おう。今すぐ買おう。緊急事態のようではありながら、「とりあえず」のものは買いたくない。だって、〝お気に入りのものだけで揃えていく城〟にしたくてこのスペースを手に入れたのだ。これから手に入れるものに関しては妥協してはいけない。


そこで見つけたのが、アラジンストーブだ。

アラジンストーブ



・コンセント要らずだから停電しても安心

・3時間、5時間と選べるオフタイマー付きで消し忘れ防止

・見える炎で暖かさ倍増

・何よりレトロなデザインがいい



「点火!!」




「あったかぁ〜!!」


反射型、と言われるこのタイプは、温風が吹き出すわけでもなく、設定温度やおはようタイマーも備えていない。けれど、このフォルムに一目惚れなのだ。そうなると、多少の不便さなんてどうってことない。そして遠赤外線効果でいつもは氷のように冷たくなってしまうフローリングですら、結構遠くまで暖かい。そして、時々オンラインレッスンで映り込むと、そのレトロな佇まいが「かわいい」と好評だった。うん。冬の寒さ、悪くない笑。


灯油タンクもテイストを揃え、サンドベージュのタンクも給油に連れていくたびにテンションが上がる。外からは残量が全く確認できない、それでも気に入っている。スタンダードな赤いポリタンクも一応予備で一つ持っていたが、結果的にサンドベージュで全て揃えたことで不要になった。灯油タンクが透けない素材であるために中身が見えない不便さは〝時々、手で揺り動かす〟ことで、チャポチャポと鳴る音で確認することにしている。



結果的に、ずっと愛せるというものは


多少、扱いに手間がかかっても、便利機能が満載!ではなくても、気に入ったものはそれすら個性に思えて愛着が湧く。おはようタイマーや温度設定機能のないアラジンストーブも、残量が確認できない灯油タンクも、その姿が生活のなかにあるだけで、なんとなく嬉しい。


選んだもので、その人のこだわりや趣味思考が透けて見えることがある。別に誰に理解されなくても良いとは思うけれど、自分なりに満足度の高いものが、最終的にずっと使い続けられるものであり、私にとってそれは、機能や価格が最優先ではないのだな、ということがわかった。こうして城の装備を整えていく、ということが、自分の価値観とは?を知ることに繋がっていくということを実感したのである。

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