未完成のテクノロジーを届ける

今のテクノロジーは、完成されすぎている。完成した状態で、私たちの手元に届く。それは、定められた機能以外で使用されることの可能性を一切排除している。消費者は、永遠にテクノロジーの消費者から抜け出せない。

もっと、使用する人が、自らの創意工夫をもって、機能や用途の改変・改良を施すことのできるテクノロジーがあってしかるべきである。未完成のテクノロジーと呼んでもいいかもしれない。

例えば、ソーラーパワーで電力自給可能な、小型LEDデバイスがあるとする。基本性能は、日中に充電し、使いたい時に光らせる、というシンプルなものだ。物は軽量・小型で取扱しやすい。

これに取っ手を付ければ懐中ライトになる。
ランニングウェアに縫い付ければ、夜に走るときに便利な服ができる。
人感センサとつなげれば、玄関照明にもなる。

こうやって、自らの生活ニーズに適用させた技術は、自分のものだ。技術の消費者だったはずが、技術の生産者に変わる。

こういう改良の余地を予め織り込んだテクノロジーがもっとあっていい。きめ細かなニーズに最初から対応した製品を生み出すのではなく、基本機能と拡張可能性を装備したテクノロジーを設計すれば、後の個々のニーズは、それぞれ使う人が改良してニーズに沿うようにしていけばいい。

こういうことを考える人はいくらでもいると思うし実例もあると思うが、もっともっと、身近な生活の中に普及していくと、暮らしぶりがちょっと変わるのではないかと思う。

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