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下位クラスになったら…の不安。伸び代にフォーカスするのが吉の理由〜リケジョな子育て Vol.9〜

noteマガジン『東工大飛び級ママの「リケジョな子育て」』/第9号です。
このnoteマガジンでは、発行人・福所しのぶが日経xwoman Terraceブログに投稿したオピニオンのうち、「子育て・教育」テーマのものをピックアップし、一部再編集してお届けしています。

今回は2022年8月26日の投稿から。それでは、どうぞ!


『受験塾の下位クラスになったら通う意味はないの?』
日経xwomanのこんなタイトルの記事にドキッとしました。

確かに受験塾はビジネスであることを考えると、合格実績によって次年度以降の評判や集客が左右されるシビアな世界でもあるはず。アピールできる実績に繋がりそうな上位の生徒に手厚く…という側面があるのは理解できるのです。

「下位クラスになったら通う意味がない」というのはその裏返しで、手厚いフォローは期待できないのでは、という論理なのでしょう。

でも、フォローの手厚さだけが、メリット・デメリットの判断基準なのでしょうか。条件反射してしまう前に、その環境には本当にメリットがないと言い切れるのか、考えてみることも大切ではないかなとも思うのです。

というのは、私自身は成績上位をキープする立場でいるより、挑戦者的な立場でいるときに力を伸ばしてきたタイプなのです。中学受験こそしていないのですが、例えば…

・小学生の頃、父の仕事の都合で滞在していた米国の現地校ではレベル別クラス編成で、滞在2年目の5年生では最下位クラスに振り分け。悔しさをバネに勉強に取り組んだら、年度末にはA評価で卒業*できた(* 通っていた現地校は5年制でした)。

・大学受験では、志望校の直前模試でF判定だったものの「浪人はしないで」という家庭の方針にやるしかないと取り組み、現役で合格できた。

…という感じだったのです。
そして、これらはほんの一例であったりします。

挑戦者的な立場というのは、追うべき目標が明確で、しかも純粋に自分の力を伸ばすことにフォーカスできる立場だと思うのです。つまり、周りがどうかということよりも、自分が伸びていくためにはどうするか、の方に意識が向かいやすい環境であるともいえます。

もちろん、成績上位であればそれに越したことはないと思います。おそらく直前期の1年くらいは、どのようなポジションにあっても合格という目標に向かって脇目も振らずに突っ走っれるのでは。

ただ、長期になってくると、事情は少し変わってくるかもしれません。長期になればなるほど、今度は今のポジションをキープするように、つまり追い抜かれないようにという他人軸の不安にエネルギーを取られる可能性も出てきます。追われる側のメンタル面の対処も必要になってくるのではないでしょうか。

少し前の話で恐縮ですが、フィギュアスケートの羽生結弦選手が競技からの引退表明をした際、「羽生結弦という存在は常に重荷だった」と語られていたのが印象的でした。受験とは状況も影響力も異なりますが、トップを走り続けることのプレッシャーの壮絶さを表す一言だと感じます。

さて、そんなわけで、下位クラスは一見デメリットのように見えつつ、自分の伸び代だけにフォーカスできるポジションでもあるもいえます。状況をうまく利用して力を伸ばしていくためにはどうするか、ということを考えていくことこそが大切だと思うのです。

ところで、「ピグマリオン効果」をご存知でしょうか?
教育心理学で確認されている現象なのですが、他者から「今後伸びる!」と期待されると実際に学習や作業の成果が向上するといういうものです。

裏を返せば「これ以上は伸びない」という先入観で見てしまうと、そのとおりになってしまうということでもあります。子供にとって一番身近で信頼できる親が「下位クラスでは成績が伸びない」「下位クラスは通う意味がない」と思い込むことで、実際に子供も伸び悩み続けるとしたら…。怖いですね。

ピグマリオン効果を活用するなら、「まだまだ伸び代がある!これからどうやって伸ばしちゃう?」という期待とサポートを贈りたいものです。

ちなみに、冒頭の日経xwomanの記事はこちら。
元サピックス小学部室長の方のインタビュー記事で「下位クラスは授業のクオリティが低いということはなく、適材適所でクラスに合った講師を配置している」とのこと。また、「子供の成績は伸びるのだろうか?」と思ったときに見るべきポイントも参考になりました。


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