原因は自分にある。2024生誕コンセプト【げんじぶ考察】
こんにちは、タスカットルです。
2024年3月より始まった原因は自分にある。の生誕企画は本日公開された要人を含め現時点で光咲、雅哉、空人、和人の5名が公開されています。この5作品が全てシェイクスピア戯曲の台詞がモチーフとされていることから、凌大、潤も同様に何らかの戯曲が起用されると推測しています。
〈2024.08.14 追記〉
7名共にシェイクスピア戯曲の台詞が起用されたコンセプトです。
今回はこの生誕コンセプトが今後のげんじぶにどのような影響をもたらすのか光咲と和人の気になる発言も混じえて追求していきます。
生誕コンセプト
全員の生誕コンセプトを、コンセプトフォト、起用戯曲・台詞、翻訳、解説、の順でメンバーごとにまとめました。
1.小泉光咲
『夏の夜の夢』は四角関係の男女がいたずら好きの妖精の浮気薬により4人の関係性がガラッと変わってしまうドタバタ劇です。
この台詞はヘレナの好きな男(ディミートリアス)が惚れている女(ハーミア)に嫉妬する場面で登場します。
この台詞通り光咲のコンセプトフォトも片目を隠していることから、光咲のモチーフはキューピッドであることがわかります。
ヘレナの台詞はこのように続き、キューピッドについても言及しています。
また『ロミオとジュリエット』にも恋の神としてキューピッドが登場します。
両作を扱いキューピッドに関する考察を行った文献が面白かったので以下掲載させていただきます。
『幽かな夜の夢』といえば光咲の楽曲です。そのモチーフとなった戯曲を生誕コンセプトとして起用する制作陣の強い思想と美意識が見える作品ですね。
2.桜木雅哉
『テンペスト』は、シェイクスピア単独による最後の戯曲で、ロマンス劇とも呼ばれる喜劇の復讐劇です。
この台詞は、妖精たちによる祝福の余興が物悲しげに途絶えたあと、「この地上に在るいっさいのものは、結局は溶け去って、いま消え失せた幻影と同様に、あとには一片の浮き雲も残しはしない。」に続く言葉です。その後「はかない一生の仕上げをするのは眠りなのだ」と悟るように語ります。
魔法や妖精が作り出した「幻想の世界」と同じく「地上に在るいっさいのもの」は霧すら残らず跡形もなく無くなる。「我々(人生)」と「夢」を織物・糸に例えその最後は「眠り」によって完成するといった意味です。
筆者は、「この世は舞台、人はみな役者」の考え方のようにこの台詞からも「我々」が何者かによって生涯を終える運命であると解釈しました。キリストの教義では万物は神によって作られた(創世記1章)とありますが、ここでは織物に例えています。シェイクスピアがカトリックを信仰していた可能性は濃厚とされていますが戯曲に直接的な表現が見られないのは信仰に囚われず人間の深層心理を描きたかったからかもしれません。
少々話が脱線しましたが、雅哉のコンセプトに深みのある台詞を引用したのは驚愕と興奮でした。また雅哉のみ『Act IV of The Tempest』と第4幕に絞られている点は意図でしょうか。制作陣の拘りが見えますね。
3.大倉空人
この場面は父に恋人の存在を隠そうとしたら逆手を取られ遠距離恋愛となってしまったプローテュースの台詞です。今の恋心を晴れたり曇ったり移り変わりやすい4月の天気に例えた言葉で、「恋の始まりは晴れたり曇ったりの4月のようだ」という翻訳が有名です。
天気の移り変わりやすさでいえば9月ではないか、という意見もありますが、恋の初々しさや危うさ、華やかさが感じられることから4月に例えたのではないでしょうか。4月生まれの空人に相応しいコンセプトですね。
そんなプローテュースですが、恋人を裏切り、
友人を嵌めて追放、と目的(友人の想い人)のためなら手段を選ばない男です。余談でしたが、恐らくプローテュースではなく台詞の美しさをコンセプトにしたと思います。
4.杢代和人
前回の記事でも紹介しましたが、名前や立場ではなく本質が大切であることをバラの花に例え、ロミオへの愛を訴えるジュリエットの台詞です。つまり杢代和人という人にどんな名前をつけようともその美しさに変わりはないということですね。これもまた和人に相応しい台詞です。
5.吉澤要人
こちらも前回の記事で紹介した「この世は舞台、人はみな役者」という有名な台詞です。スピ恋では戯曲のタイトルも歌詞として登場しました。
「七幕に別れているのだ」は、第1幕から赤ん坊、泣き虫の小学生、恋する男、軍人、裁判官、痩せこけてスリッパをはいた耄碌じじい、そして第7幕は二度目の赤ん坊、完全な忘却、歯も無く、目も無く、味も無く、何も無し。(松岡訳)です。人生を7つの階段に例えたジェイクイズの長尺な独白でこの世の全てを表現した訴えが感じられます。そんな人間の真理をつくような台詞を要人のコンセプトとして起用したようです。
6.長野凌大
〈2024.07.18 追記〉
伯爵令嬢オリヴィアに対する片想いの苦しい気持ちを美しい音楽で紛らわせながら自身の切ない恋心を語るオーシーノ公爵、幕開きの台詞です。
ここでは'food'を「恋の糧」つまり恋の食べ物と意訳しています。抽象的な音楽と恋を実体ある食べ物に例えた洒落た台詞です。この場面は、伯爵令嬢オリヴィアに振られ続けるオーシーノ公爵が、自身の苦しい気持ちを紛らわせるため、美しい音楽を嫌というほど聴けば満腹になり食欲も失せ、私を苦しめるこの恋心も無くなるだろう。と自己欺瞞しているところです。
コンセプトフォトでは音楽好きな凌大がヘッドフォンを身につけています。シェイクスピア戯曲では「天体の音楽(music of the sphere)」という言葉が多く登場するように、音楽には力があり大切にされてきました。当時の宇宙観では天動説が信じられてきたこととも関連します。
音楽を大切に生きる凌大だからこそ起用された戯曲ではないでしょうか。
7.武藤潤
〈2024.08.14 追記〉
『ソネット集』は14行詩でABAB-CDCD-EFEF-GGの押韻で成立しています。全154篇で大部分はFair Youth(貴公子/美男子)に向けた愛を綴っており、1番から17番までは貴公子の美貌を絶やさず後世に残すため結婚してほしいと助言、18番から126番までは詩人のパトロンである貴公子への愛、127番から152番まではダークレディーと呼ばれる女性への愛を詩にしています。詩人はダークレディーと交際後、貴公子と同性愛にいたったものと思われます。今回起用された18番は『ソネット集』の中でも最も有名な詩です。
「きみ」とは貴公子を指していますが、原文では'you'と'thou'で使い分けされているため高木登訳では「きみ」と「君」に使い分け翻訳されています。
18番は貴公子の美貌と夏の日を比較し永遠を綴ったものです。夏の日は風が強く、暑く、時折曇り、過ぎ去ってしまう。貴公子の美貌も夏の日のように衰え失ってしまう。しかし、この詩が読み継がれ続ける限り、貴公子の美しさは生き続け永遠になる。といった意味の詩です。
今回のコンセプトは恐らくFair Youthでしょう。武藤潤という愛する青年を夏の日に例え、詩の中で生かし永遠にしようとしたコンセプトでしょう。儚くも美しく情熱的ですね。
また以前、スピ恋の考察でも触れましたが、スピ恋ティザーもソネットを彷彿とさせるようなげんじぶオリジナルの詩がありました。
〈類似点〉
・キューピッド(恋の神)が登場する戯曲(夏の夜の夢/ロミオとジュリエット)
・劇薬により物語が展開される戯曲(夏の夜の夢/ロミオとジュリエット)
・楽曲で登場した戯曲(夏の夜の夢/ロミオとジュリエット/お気に召すまま)
・「夢」に関する戯曲(夏の夜の夢/テンペスト)
・誘導役が最後に役から下りて観客に語りかけるエピローグのある戯曲(夏の夜の夢/テンペスト)
〈相違点〉
・喜劇(光咲/空人/要人/凌大)、悲劇(和人)、ロマンス劇(雅哉)、詩集(潤)と時代や内容が異なる
・雅哉のみ戯曲の場面が絞られている
・空人起用戯曲は他戯曲との共通項がない
類似点と相違点をまとめたところ、生誕コンセプトに起用された台詞は一部世界観を通して類似している点もありましたが、シェイクスピアの戯曲という共通項以外見つけることはできませんでした。また、楽曲に通ずる戯曲の台詞を光咲が演じたり、恋を4月の天気に例えた台詞を4月生まれの空人が演じたり、音楽を愛する凌大が音楽に触れる台詞を演じたり、夏の日が舞台の詩を潤が演じたり、としていたことから恐らく戯曲の振り分けはメンバーの個性を優先して選択されたものです。今後、この戯曲が何らかの形で継続される可能性も考えられますが、現時点でそのような他意を見つけることはできませんでした。 (2024.08.14 シェイクスピアコンセプトの企画について言及あり)
加えて、和人は悲劇の戯曲ですが、死がなければ笑劇ともいえる『ロミオとジュリエット』であることから四大悲劇が他2名の生誕コンセプトとして登場する可能性は低いと思います。
〈2024.08.14 追記〉
悲劇の戯曲起用者は杢代和人のみ。
光咲と和人の気になる発言
今年の5月16日に行われたインスタライブにて光咲と和人が生誕コンセプトについて以下のように言及していました。
一応訂正しますが、光咲のコンセプトは『ロミオとジュリエット』ではなく『夏の夜の夢』です。
光咲の「コンセプトっていうか、どういう感じ」という発言からは現在公開されているコンセプトとは別のコンセプトが秘められている可能性が伺えます。
スタッフに確認を取りながらの発言であることや「来る、んで!楽しみに」という和人の予告から『ロミオとジュリエット』と『夏の夜の夢』が混ざり合う世界線は現在進行中の企画である可能性が高いです。
またこれらは過去に、「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」で『ロミオとジュリエット』、「幽かな夜の夢」で『夏の夜の夢』と楽曲コンセプトとして扱った戯曲で、両楽曲はラブストーリーを描いた二部構成の作品でもあります。約4年ぶりに過去作品に関連する楽曲が公開されるのか、また異なる世界線が映像・ライブとして見られるのか、想像することしかできませんが、シェイクスピア戯曲を扱った何かが始まっていると期待して良いのではないでしょうか。今後のげんじぶの活躍に期待です。
〈2024.08.04 追記〉
空人がJaMEにて今年の活動について言及しました。個人の仕事だけではなく、今年は多くの音楽番組で僕たちの実力を発揮できれば嬉しいです。とのことです。ロードマップでは11月17日までに未公開のスケジュールが2つあります。2024年後半のげんじぶに期待が高まりますね。
〈2024.08.14 追記〉
本日、ゲンジブ観測所 第七十七回 研究報告書にてシェイクスピアコンセプトが完結に向け準備段階であることが正式に言及されました。
げんじぶの詩
〈2024.08.14 追記〉
原因は自分にある。公式XにてLIVE TOUR 2023 -G=ø-の発売情報、公演情報と共に詩が掲載されていました。こちら情報提供してくださった方ありがとうございます。
ここからはシェイクスピア『ソネット集18番』を引用、参考にした文章が登場します。
加えて、『夏の夜の夢』や「スピ恋」ティザーで登場した文章に似た詩もあります。「音楽」「永遠」「夢」「夏」「思い出」「夜空」「輝く」「約束」といったキーワードが多く見られます。先程も述べましたが、『ソネット集18番』は愛する人を夏に例え、詩を通してその美しさを永遠にすると綴っています。
やはり、原因は自分にある。はシェイクスピア戯曲とかなり密接に関係しているようです。スピ恋から散りばめられたシェイクスピアシリーズがどのような結末を迎えるのか楽しみですね。
〈2024.09.28 追記〉
ゲンジブ観測所から原因は自分にある。5周年を記念した『GENJIBU Special Edition Zine』の発行が決定しました。生誕で着用した衣装での撮影風景のBGMには、2020年に仮想げんじぶ空間のティザーで公開されたスピ恋のインストが使用されています。
p.s.
個人的な願望ですが、秋頃にMuseum:0を筆頭としたアルバムが発売されることを期待しています。
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