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厚生年金保険料はいつまで支払うの?注意したい点も簡単解説!

この記事では、厚生年金保険料はいつまで支払うのか。

そして、そのことに伴い注意したい点のいくつかについてお伝えします。

ところで、国民年金の強制加入は60歳までということを知っている方は多いようです。

一方、厚生年金はいつまで加入をするのか、厚生年金保険料はいつまで支払うのかについてはピンとこない方も多いようです。

この質問で一番多い回答は60歳。国民年金と同じに考えている方も多いようです。

次に多いのは65歳。確かに以前はそのとおりでした。

今はどうでしょうか。現在の厚生年金の加入期間は70歳までになっています。


厚生年金保険料はいつまで支払うの?

現在、厚生年金の加入は70歳までです。

厚生年金保険法第14条で、厚生年金の資格喪失の時期として「七十歳に達したとき」とあります。

では、70歳に達したときとはいつのことでしょうか。

ここでは民法の「到達日」の規定を使いますが、同法では誕生日の前日を到達日としています。

たとえば、1970年1月1日生まれの方の70歳の誕生日は2040年1月1日です。

ただし到達日は誕生日の前日なので、この方の70歳到達日は2039年12月31日になります。

また、1970年1月2日生まれの方の70歳の誕生日は2040年1月2日ですが、到達日は誕生日の前日なので、この方の70歳到達日は2040年1月1日です。

法律の話しを持ち出して少しわかりにくくなりましたが、身近な例でいえば学校の学年があります。

学校では誕生日が4月2日~翌年4月1日を同一学年としていますが、これも民法の規定にしたがったものです。

さて、厚生年金保険法第14条では被保険者期間の規定があります。

『被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。』

厚生年金は70歳に到達した月が資格喪失月です。そして、被保険者資格は資格を喪失した月の前月までと規定しています。

1970年1月1日生まれの方の70歳の誕生日は2040年1月1日で、70歳到達日は2039年12月31日になると書きました。

この場合、資格を喪失した月は2039年12月なので、その前月は2039年11月までになります。

つまり「厚生年金保険料はいつまで支払うの」について、この方の場合は2039年11月分までになります。

厚生年金加入で注意をしたいこと

厚生年金の加入期間は70歳までなので、厚生年金保険料の支払いも70歳までですが、特に65歳以降の厚生年金加入では注意したい点があります。

ここでは、注意しておきたい点を3つほどご紹介します。

老齢厚生年金

厚生年金の加入期間は70歳までです。一方、老齢厚生年金の支給開始は原則65歳です。

65歳以降も厚生年金に加入をしている方は、65歳からは厚生年金の加入者であり、かつ、受給者にもなります。

この方は厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受け取ることになります。

在職老齢年金

老齢厚生年金を受け取る権利のある方が、同時に厚生年金に加入することを年金法独特の用語で「在職」と言います。

老齢厚生年金は老後の所得保障という性格があります。

厚生年金の加入を続けて年収が高いのであれば、老齢厚生年金を支給しなくても問題はないということで、老齢厚生年金の額が減額されることがあります。

これを「在職老齢年金」と言います。

在職老齢年金の条件は、老齢厚生年金を受け取れる権利のある方が、同時に厚生年金に加入することです。

さきほどお伝えしたとおり、厚生年金の加入期間は70歳までなので、この条件に当てはまるのも70歳までと考えがちです。

しかし、在職老齢年金の仕組みに上限はありません。

確かに厚生年金の加入期間は70歳までですが、70歳以降も厚生年金に加入しなければいけないような条件で仕事を続けていた場合、厚生年金の加入は70歳までとしても在職老齢年金の仕組みはそのまま継続することになります。

現在、65歳以上の方に適用される在職老齢年金の基準はそれほど厳しいものではありません。

したがって、会社員で世間並みの年収で仕事を続けている方には、ほとんど影響はないと思われます。

ただ会社の役員などで年収が高い方は注意が必要です。

役員の場合、自分の意思だけでは退任できないこともありますし、年収が高い方も決して少なくありません。

在職老齢年金は働いている方の意欲を削ぐということで、将来的には要件をさらに緩和、あるいは廃止される可能性もあります。

ただし、この記事を書いている時点(2024年8月)では、在職老齢年金の仕組みは残っているので、70歳以降も適用される可能性があるということを頭の片隅に置いておいていただければと思います。

第2号被保険者と第3号被保険者

夫が会社員、妻が専業主婦。そして年上の夫と年下の妻で年齢差がそこそこある。

こんな時、ある問題が発生をします。

たとえば、64歳の夫・55歳の妻、9歳の年の差があるご夫婦がいたとします。

夫は厚生年金加入中で、70歳まで厚生年金加入を続けたいと考えています。一方、妻は結婚後はずっと第3号被保険者です。

この前提に従えば、夫は70歳まで厚生年金の加入を続けます。

夫は厚生年金加入者ですが、同時に国民年金法に規定する第2号被保険者という立場です。

妻は第3号被保険者と書きましたが、第3号被保険者は第2号被保険者に扶養される配偶者で20歳以上60歳未満と規定されています。

夫は70歳まで加入をする予定なので、合わせて第2号被保険者の資格も70歳まで続けば問題はありません。

夫が70歳になったときの妻は61歳。第3号被保険者は60歳までなので、妻は第3号被保険者として国民年金強制加入の終わりを迎えることができます。

しかし実際は異なります。

夫の厚生年金の被保険者資格は70歳まで続くものの、第2号被保険者の資格は65歳で終わります。

夫は、65歳までは厚生年金被保険者と第2号被保険者の2つの身分を有するものの、65歳以降は厚生年金被保険者の資格のみとなります。

そうすると状況が何も変わっていないとしても、夫が第2号被保険者でいられるのは65歳までなので、妻もこの時点で第3号被保険者でなくなります。

国民年金の強制加入期間は60歳です。

妻は54歳までは第3号被保険者でいられるものの、その後60歳になるまでは第1号被保険者として国民年金保険料の支払い義務が発生します。

現在の国民年金保険料は年額にして約20万円。妻は55歳から59歳までの5年間国民年金保険料を支払うとすると総額で約100万円。

この問題は、厚生年金に加入する夫、第3号被保険者である妻、さらに年の差夫婦という前提で発生するものなので、それほど多い事例ではありません。

ただ事例が少ないだけに、該当する場合でもほとんど気がつかない事例になります。

まとめ

この記事では、厚生年金保険料はいつまで支払うのか。そして、注意しておきたい点を簡単にお伝えしてきました。

年金相談でお客様の話しを伺っていると、65歳までは働くという方が一般的になってきましたし、70歳まで働くという方も少しずつ増えています。

私が相談を承るのは50歳台で、特に50歳台後半の方が多いという特徴がありました。

50歳台後半の方は70歳まで働くというご意見が多くなっていますが、それでもまだ一般的とは言えません。

でも50歳台前半の方はどうでしょうか。今後はさらに70歳まで働くという方が多くなってくるかもしれないですね。

※ 国民年金保険料については、以下の記事を参考になさってください。

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