ダイバーシティの象徴的存在としての大坂なおみ選手
全豪オープンを制した、プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手。
中米・ハイチにルーツをもつアフリカン・アメリカンの父親と日本人の母の子として生まれ、小さい頃から祖父母の住むニューヨーク・ロングアイランドで育ったそうです。日本にルーツをもつミックスで、日本と米国の二重国籍の中から、選択したのは日本国籍。主に使用する言語は英語、日本語はマイナー。女性。北海道生まれの母方の祖父は、ロシアサハリン州の勇留島生まれで根室漁業組合の組合長をしておられるそうです。名前は大坂なおみ。日本を代表するプロテニスプレイヤーとして、世界の舞台で活躍し、各方面からの注目を集めています。大坂選手の属性的特徴は、多様性が一義でないことを容易に私たちに示唆してくれます。
多様性の尊重(ダイバーシティ&インクルージョン)を考える時、えてして「ジェンダー平等」「障がい者とのノーマライゼーション」「性的マイノリティ(LGBTq)問題」「移民問題」などの言葉を思い浮かべがちです。けれども、問題を属性でくくったとたん、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に枠をはめかねません。アンコンシャス・バイアスを溶解しようと思って使った言葉が、アンコンシャス・バイアスに向かう視界を固定してしまうわけです。
「ジェンダー平等」、「女性活躍」は、その影響の大きさゆえにダイバーシティ&インクルージョンの1丁目1番地であることは疑う余地はありません。この問題に正しく取り組みながら、その先の2丁目、3丁目にも目を向けていく必要があります。
それでは、大坂選手が多様性のデパートで、私たちは多様性に乏しいのでしょうか。
決してそうではないと思います。
どちらかと言えば、私たちは、自らの「内なる多様性」に目を向けることが少ない気がします。頭の中にある「普通の人(逆に言えば、マジョリティの一員としての自分)」のイメージが、個の自認を妨げている印象です。
私はダイバーシティ&インクルージョンやアンコンシャス・バイアスの払しょく、心理的に安全な組織やコミュニティについて、経営者のコーチングや企業研修も手掛けていますが、「自分の特徴」を四象限のチャートにプロットしてもらうワークで、ほんの少ししか挙げられない方が大勢おられます。
外国人受入と活躍、日本社会との融和に取り組みながら、そのための「インフラ」とも言える「心理的安全性」と、インクルーシブ(高い受容性をもつ)でダイバース(多様)な社会の実現を意味する「インクルシティ」をキーワードに据えて活動しているわけですが、属性を解体していくと、最後は「個」に行き着くと強調しています。そして、個の尊重こそが、究極のダイバーシティ&インクルージョンマインドだと考えます。
EDASは、「皆違って、皆同じ。」という意味の言葉を団体名にしました。ふたつの真逆な命題は、常に真でもあります。
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