きょう心にしみた言葉・2023年1月30日
映画「MINAMATA」は、水俣病を告発した米国の写真ジャーナリスト、ユージン・スミスの格闘を描いた作品です。ユージン・スミスの人生に感銘を受けた俳優ジョニー・デップの強い思いから制作されました。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで有名なジョニー・デップですが、社会派俳優、性格俳優としての実力には定評がありました。この作品では、その才能が見事に発揮されています。ジョニー・デップが指摘した「巨大な壁」。ユージン・スミスは、国や企業、多くの住民までが一体となってつくっていた「巨大な壁」に、カメラと写真を武器に立ち向かいました。
「巨大な壁」は、自殺対策の現場にも立ちはだかっていました。自殺は長く「個人の責任」とされ、自死遺族は言われなき偏見にもさらされてきました。しかし、自死遺児たちが勇気をもって声をあげ、「自殺は個人ではなく社会の問題」であることの理解を広げ、2006年に自殺対策基本法が成立しました。「我々は、皆、ただの一片のホコリです。我々は、同時に、小さな力なのです」。自死遺児たちひとりひとりの声が、政治を、社会を、人々を動かしたことを想起させる言葉です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?