ヒストリー⑱その先へー・2007年9月
自殺実態1000人調査に挑む
ライフリンクが「自死遺族支援全国キャラバン」と平行して進めていたのが「自殺実態1000人調査」でした。
弁護士や経済学者、精神科医や自死遺族支援に取り組む全国の民間団体等と共同で取り組みました。
調査対象は、自殺で亡くなった500人とそのご遺族500人のあわせて1000人です。
毎月100人を対象に聞き取りを進め、300問の第一次調査と1843問の第二次調査合わせて2143問という細部にわたる設問で自殺の実態に迫ろうというものでした。
WHOの「世界自殺予防デー」の9月10日に行われた自殺予防のフォーラムでは、それまでに終えた101人分の中間報告をしました。
判明したのは
(1)背景には複雑に絡み合った要因があり、自殺対策には相談窓口同士の連携が必要
(2)自死遺族は周囲の冷たい反応で孤立しており、支援は孤立を防ぐための工夫が必要
(3)自殺の実態に特徴があり、対象別の自殺対策が重要ーーの3点でした。
職場の勤務事情や多重債務問題でうつ病と診断されながら、その事実が医療機関から職場や家族、関係者に伝わらずに自殺に追い込まれたケースが目立っていました。
フォーラムの中で、自死遺族支援NPOのメンバーは「自死者の遺族は語ることができない部分も多い。1000人でも100人でも、その調査をすべてと思ってほしくない。焦らずに時間をかけて遺族の声を聞いてほしい」と発言しました。
ライフリンクの清水康之代表は「これがすべてとは思っていない。いただいた遺族の声を基に、責任を持って対策を考えて行きたい」と答えました。
この困難で膨大なで前人未踏の調査は、いくつもの新事実を浮かび上がらせていきます。
=続く 次回は、⑲2008年7月編「479ページの白書 1万部に」です。
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