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きょう心にしみた言葉・2024年11月27日

人間は、それぞれが物語を生きている。

「物語を生きる」(河合隼雄・著 小学館 岩波現代文庫)

冒頭の言葉は、臨床心理学、ユング心理学の第一人者の河合隼雄さん著書「物語を生きる」から紹介しました。この本は、「竹取物語」「宇津保物語」「落窪物語」「浜松中納言物語」「平中物語」など、9世紀から11世紀までの日本の王朝物語を心理療法の目を通して分析しています。その分析を通して、生きるために「物語」がいかに大切かを繰り返し説明しています。

河合隼雄さんは、「心理療法とは、来談者が自分にふさわしい物語をつくりあげるのを援助する仕事だ」と言います。
「それは、物語り(ものがたり)なのである。人間は自分の経験したことを、自分のものにする、あるいは自分の心に収めるには、その経験を自分の世界観や人生観のなかにうまく組み込む必要がある。その作業はすなわち、その経験を自分の納得のゆく物語にすること、そこに筋道を見い出すことになる」

河合隼雄さんは、「生きるとは、自分の物語をつくること」だと提起し、ずばりそれを題名にした本を、作家の小川洋子さんと一緒に出しています。

河合隼雄さんによると、折口信夫は「もの」とは「霊」のことだと定義し、梅原猛は「ものがたり」とは「もの」が「もの」について「語ること」だと指摘していたといいます。

「物語」の奥深さを感じます。

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