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きょう心にしみた言葉・2022年7月20日

日の差す方角ばかり探している人に、虹は見えないのです。

テレビの天気予報で活躍し、多くの名文を残した気象エッセイスト、倉嶋厚さん(1924-2017)の言葉です。虹は、空気中の水滴に日の光が入り、反射する現象です。太陽を背にしたときに見えて、太陽とは反対の向きに現れるのが虹なのです。だから「日の差す方角ばかり探している人に、虹は見えないのです」。たった一行で、たくさんのことを教えてくれる深い言葉です。

73歳のとき、倉嶋さんは、最愛の妻・泰子さんをがんで亡くします。倉嶋さんは1人残され、うつに苦しみます。

その後の倉嶋さんの苦労は、NHK福祉情報サイトハートネット が丁寧に伝えています。引用します。

“妻を送った後、深い悲しみの底に沈んだ私をまず襲ったのは、「後を追いたい」という衝動でした。出口のないトンネルの中で私は自分自身を見失い、生きる意欲も、生きている実感もなくしかけていました。”
(著書『やまない雨はない』より)
それでも、倉嶋さんは立ち直り、90歳まで講演活動を続け、自殺予防を訴えました。

倉嶋さんが生涯愛した、雲の詩があります。

くものある日/くもはかなしい
くものない日/そらはさびしい
(八木重吉)

うつとともに生き、同じ心の病に沈む人々を支え続けた倉嶋厚さん。その笑顔は、今も多くの人の心に生き続けています。

「日本の空をみつめて」(倉嶋厚・岩波書店)



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