行政が「ライフジャケット」のレンタルすることについて。
「子どもたちにライジャケを!」の「ライジャケサンタ」です。
今日は「行政が『ライフジャケット』をレンタルすることについて。」というお話です。
今日の話でいう「行政」っていうのは、都道府県や市町村のこと。行政が「ライフジャケット」をレンタル?って思う方もおられると思いますが、今日はちょっとお願いもありますので、ぜひ最後まで読んでいただければ・・・と思っております。どうぞよろしくお願いします。
さて、実はここ数年で、子どもの水辺の安全を取り巻く状況については、すでに大きな変化が起こっています。
大きな変化の1つは、2012年に起こった愛媛西条・加茂川で起こった事故の裁判です。
2012年保育園のお泊り保育に参加していた吉川慎之介くん(当時5才)が増水した川に流されて亡くなってしまう・・・という事故がありました。
この事故について、2018年に終結した刑事裁判では、「『ライフジャケット』を準備して着用させる義務があった」という過失責任が認定されました。
この事故についての裁判の判例については、こちらへ。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/977/085977_hanrei.pdf
裁判で、「ライフジャケット」を準備して着用させることが「義務」であるということが認定された・・・ということは、保育園、幼稚園、小学校、子ども会など、子どもたちを水辺に連れていく行事がある時には、引率する先生には「『ライフジャケット』を準備して着用させる”義務”」があるということです。
これまでは、水辺の活動について「ライフジャケット」は努力目標でした。知らない人も多いことで、知っている人は分かるけど、可能ならそろえておいた方がいいし、着けさせれば安全性は向上する・・・って感じ。
だから、行政が主催のイベントで事故が起こったとしても、「ライフジャケット」のことはあまり話題になりませんでした。
でも、今は努力目標ではありません。絶対に準備しないといけない「義務」です。
この判決があるということは、もし事故が起こってしまった時に、「知らなかった・・・」ってことは通用しません。知っていても、知らなくても、すでに判例として、「『ライフジャケット』を準備して着用させる”義務”」があることがはっきりしているので、責任を問われることになります。
つまり、子どもたちを水辺に連れていくなら、「ライフジャケット」を準備する必要があるのです。
これは、学校や園だけの話ではなく、地域の子ども会、スポーツ少年団なども同じです。遠い話ではなく、状況によっては、自分が子どもたちを連れていく責任者になることがあるかもしれないのです。
そこで、ちょっと考えていただきたいことがあります。
それは、現実として「人数分の「ライフジャケット」はどこで準備しますか?」ってこと。
例えば、連れていく幼児や児童が10名いたとします。すると、準備するべき「ライフジャケット」は10着。30名いたとしたら30着。50名いたとしたら50着です。
サイズも身体に合わせたものが必要なので、いろんなサイズが必要になります。子どもたちを連れていく大人の分も必要になるでしょう。
ちょっとイメージしてみてください。お住まいの地域で「ライフジャケット」を準備するならどのようにされるでしょうか?
例えば、「30着借りたい」という話で考えてみましょう。みなさんのお住まいの地域でレンタルできるところはあるでしょうか?
おそらく・・・ですが、なかなか見つからないと思います。
小学校の教諭をしていたころ、行事のために50着程度の「ライフジャケット」を準備したことがありますが、一言でいうと「準備するのはホントに大変!」でした。あっちこっちで少しずつ借りて、ようやく集まった・・・という印象。
「『ライフジャケット』を着用させる”義務”」はあるけれど、「ライフジャケット」を準備するのはホントに難しい・・・っていうのが現状だと思います。
インターネットなどで調べると、借りれるところがあります。でも、レンタル料+送料が必要になることがあります。無料で借りれるところもありますが、当然ですが送料は必要です。
「30着」を送る・・・ということは、1mのサイコロのような段ボール2つ分くらいにはなります。かなりの送料になると思います。
多くの経費が必要になると、現実的に準備するのが難しいということもあるのではないでしょうか?
「ライフジャケット」は借りるのは難しいけれど、着用させる義務がある・・・という悩ましい状態なのです。だからといって、
「借りるのが難しいから仕方ないよね・・・。」
って話ではありません。仕方ないことはないのです。着けさせる義務がある・・・ということは、着けさせる準備をしておかないといけないのです。
借りるのが難しかったので揃えられませんでした・・・、そんな話を知らなくて着けさせませんでした・・・となった時に事故が起これば、間違いなく責任を問われます。
ただ、何度も言いますが、準備するのはなかなか難しいのです。
学校や園、子ども会など、行政が関わっている組織であれば、たとえ現場で子どもたちに関わる方々が「ライフジャケット」を準備できなかったとしたら、最終的に責任を問われるのは誰でしょうか?
それは、管理者である行政(都道府県や市町村)になります。本当に準備しておいてもらわないといけないのは行政ってことなんです。
行政が「ライフジャケット」を準備して、「レンタル」をしていただけたら、学校や園、子ども会などで「ライフジャケット」が必要な時に、すぐに準備することが可能になります。
水辺の行事がない・・・ということであっても、いつの日か水辺に連れて行かなくてはならない時があるかもしれないので、準備だけはしておく・・・ということは大切なことになります。
私の住んでいる香川県では、昨年「ライフジャケットレンタルステーション」を開設していただきました。このことについては、以下の記事をぜひ。
きちんと説明すれば、準備していただける可能性があります。
香川県では、急には県の予算がない・・・ということで、県内の企業に協力いただいて、寄付していただく・・・という形でスタートしていただけました。
昨年度から始まった動きですが、各種団体へのレンタルに加えて、学校での着用体験など、予防的な動きも広がっています。
なかなか予算がない・・・という行政でも、「香川県・小豆島町」が参考になるかも知れません。三木卓議員が、議会で提案していただいたことで、B&Gさんが所有している「ライフジャケット」を必要に応じて貸し出しできることが確認されたそうです。
「議会だより」No.57 P.9 三木卓議員の質問を参照
https://www.town.shodoshima.lg.jp/material/files/group/20/R0208gikaidayori.pdf
おそらく、小豆島町に限らず、お住まいの地域には、すでにまとまった数の「ライフジャケット」を所有している施設があるのではないでしょうか?ちょっとやり方を変えるだけで、子どもたちの安全性を高める動きを作ることは可能だと思います。
他にも、工夫次第で、いろんな方法が考えられると思います。いい方法があれば、ぜひ共有していきたいと思います。他にも、「こんなことしてます!」ってことがあれば、ぜひお知らせくださいね。
みなさんもぜひ、お住まいの地域の行政に「ライフジャケット」を準備してもらえるようにお願いしてみていただければ・・・と思います。その時、ぜひこの記事を印刷して読んでいただいてください。
必要でしたら、私が説明することも可能ですので、おっしゃってくださいね。こちらから、行政の担当の方に連絡させていただきますので。
もし事故があった時には、もう「知らなかった・・・。」ってことは通用しません。ただ「知らない」ってことで、大切な子どもたちの命を守ることができない・・・ってことをどうしても防ぎたいのです。どうか機会を見つけて、お住まいの行政に伝えていただけたら・・・と思います。
香川県以外にも、以下のような行政や団体で貸し出しが行われています。
すぐに・・・ということは難しくても、ちょっとずつなら動いていくことができるはず・・・。ぜひ、みんなで準備をして、シーズンを迎えたいですね。
思いはただ1つ・・・子どもたちの命を守ること。
「子どもたちにライジャケを!」
http://lifejacket-santa.com/