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「作りたい!」で動き出したら、技術も未来もついてきた【慶應SFCに総合型選抜で合格】

大学入試をめぐり、いま「総合型選抜」と呼ばれる方法で受験する人が増えています。

もともとはAO入試と呼ばれ、欧米では主流の受験方法でしたが、1990年度に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で日本で初めて実施され、以降導入する大学が増加。2021年度入試からは「総合型選抜」に名称が変わり、現在は国立大の約8割、私立大では9割以上が実施しています。

さらに文科省によると、2023年度の「国公立と私立を合わせた全ての大学入学者」のうち、総合型の入学者数は全体の14.8%、学校推薦型は同35.9%。合計すると50.7%で、2人に1人以上が総合型か学校推薦型で大学に進学している状況です。

今後さらに増えていくことが予想される総合型選抜。
今回は、慶應SFCに総合型選抜で合格した布川のぞみさんにインタビュー。彼女の姿勢から、これからの学びに必要なことを考えます。


自分で書いたプログラムが自分の思い通りに動いた!

のぞみさんは中学校の時からライフイズテックに通ってくれていますよね?参加したきっかけは覚えていますか。

中2のころ、親が「楽しそうだから行ってみない?」とクリスマスキャンプの案内を見せてくれたんです。その頃すでにScratch(ビジュアルプログラミング言語)を使っていろいろ遊んでいたので勧めてくれたみたいで、まずはキャンプに参加しました。その後、「オリジナルのプログラムを作ってみたい」と思うようになって中3からスクールに通い始めました。

ちなみにScratchで遊ぶようになったきっかけは?

小さいころからお菓子作りや編み物、裁縫など、何かを作ることが好きだったんです。
ある時、母がmicro:bit(教育用の小型コンピューターボード)を買ってきて、おもしろそうだと少しやってみたんです。自分で作ったプログラムが動いたのががうれしくてハマってしまいました。

なるほど。ものづくりの一つとしてスクールに通い始めたら開発も楽しくなっていった、という感じでしょうか。

もちろん楽しかったですけど、中3から高1の頃はがっつり部活もしていたので、開発の時間がそれほど取れていませんでした。
開発にやる気が出たのは高1の秋です。教科書で一通り基礎を学んでからオリジナル作品にとりかかることになったのですが、ちょうど作りたいものがあって。その時に作ったのが、2022年のルビコン(中高生国際Rubyプログラミングコンテスト)で受賞した『Startionary』という文房具のレビューサイトです。もともと文房具を集めるのが好きで、こういうサービスが欲しいと思っていました。

ルビコン2022受賞時の様子

サービスを使う側から作る側になったという感動

それで、作りたいアプリのために技術を勉強していったということですか?

そうなんです。『Startionary』を思いついた時は作れると思っていなかったけど、メンターに相談してみたら「できるよ」と言われたんです。メンターに方法を聞いて「あっ、それでいいんだ」「こうやったらできるんだ」と思いながら少しずつ実装していきました。

ルビコンが終わって、改めて自分が作った管理者画面を見た時には、「私は管理者というレベルまで行けるんだ」「このサービス、私が運用していいんだ」とびっくりしていました(笑)
自分でいろいろな技術を扱えるようになるのがおもしろくて、そこからどんどん楽しくなっていきましたね。

「これを作りたい」というのは、誰かの言葉からひらめいたりするんですか。

いえ、自分の中から出てくることが多いです。この前は「ビジレス」という、忙しさを可視化して人に伝えるためのアプリを作りました。これは、自分が忙しいことを人に言えなくて頼みを断れない、だからどうにか解決できないかと思ったのが始まりでした。
最近は開発日記が記録できるサービスを作っていますが、それも、自分がX(旧Twitter)で書き残している開発日記を専用のアプリで記録できれば、と思ったことがきっかけです。
自分が不便に感じたことを解決したいというところから「作りたい」が出てくるのだと思いますね。

「作りたいけれども技術力が足りない」と思うことはないのですか。

思いますけど、とにかく一度「こういうものを作りたい」とメンターに相談すればアドバイスがもらえるので、そこから自分で調べまくって作ってしまう感じです。技術が足りないと思ってもやっぱり作りたいんですよ。だから頑張るんです。「まず技術力を上げよう」ではなくて、「作りたいから、この技術を使おう」と新しいものにいろいろ手を出した結果、気づいたら技術力が上がっていました。

いまは開発が大好きで、最近は一日中開発しています(笑)

途中で挫折してしまいそうですけど、「やっぱり分からない」と思ったりしないんですか。

うーん、挫折するよりどんどん作りたいじゃないですか。「やりたい」という気持ちが自分の中で一番大きいです。
それに、一度手間のかかることを経験すると、その後出会ったことに対しても「これならいままでよりもっと簡単にできそう」と思えます。

慶應SFCを総合型選抜で受験したのは、「問題解決につながるものを作りたかった」

大学受験の話にうつりますが、SFCを受験したのは開発を続けていきたいと思ったから?

はい。「技術を作る」ではなく「技術を用いて何かを作る」ことをしたかったんです。SFCでの学びは世の中の問題解決を目指すという特色があるから「自分で作ったもので問題解決をしたい」という気持ちもありました。

実は中学の時はやりたいことが特に見つからなくて、やりたいことで大学を選ぶという意識も分かりませんでした。でも開発が好きになってから、「こういうものを作りたい」という気持ちを大事にして進路や大学を選びたくなりました。逆にほかのことでは将来が選べなくなりましたね。

選考では、どんなことをアピールしたんですか。

ルビコンでの受賞エピソードや、これまでの開発のことが中心です。志望理由には、今後作りたいアプリを具体的に書きました。理由を考える上では、メンターにもたくさん相談に乗ってもらいましたね。

「作りたい!」ならまずは作ればいい

開発を続ける中で成長したなと思うことはありますか。

「作り始める前は思ってもみなかったことを実際にかたちにできた」という経験がいくつもあります。そういう経験を積むことで、この先も自分でものが作れると、自信がつきました。
あと、自分が作ったもので人が楽しんでくれることを一度知ってからは、人のために何か作りたいという思いも強くなりましたね。

中高生のメンバーにメッセージはありますか?

皆さんが作りたいものを作ってください。「ちょっと無理そうだな」と思っても、一度メンターに相談してみてください。だいたい教えてくれます。
教えてもらって自分で調べながら作っていけば、技術力も上がってきますし、理想の作品にも近づきます。プラスになることが本当に多いので、「できないかも」と思うことにも挑戦してほしいです!

やっぱり自分が作りたいものが先にあるのが一番いいですよね!のぞみさん、ありがとうございました。


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