33歳のおじさんが【ときメモGS-ときめきメモリアル ガールズサイド】で「大切にされたい」という感情に出会う物語
🌸ときメモGSは「遊び」ではなく「学び」だった件
…という訳であおきです。2024年に入ってから、ずーっと「ときめきメモリアル」がプレイしたいという感情が止められなかった。
僕自身の美少女ゲームとの出会いは忘れもしない高校3年生の12月24日、すなわちクリスマスイヴ。受験生シーズン真っ只中にも関わらず、高校最後のクリスマスイヴに、何かしらの思い出を残したいという気持ちに駆られ、居ても立ってもいられず中古ゲームショップへ自転車を走らせる。
そこで出会ったのがエンターブレインから発売していた「キミキス」なる美少女ゲームだった。
PS2ソフト『キミキス』
クリスマスイヴの深夜(日付的には25日になっていたのでクリスマス)、早速「キミキス」をプレイする高校3年生のあおき少年。自分の選んだ会話テーマによって、意中の女の子の好感度が上がった時には、布団の上で飛び跳ねていた。
もうなんか、ベイブレードのオレンジ色のやつくらい飛び跳ねていた。
冒頭が別ゲームの話になってしまったが、その後は「ときメモ」も含め、学生時代には美少女ゲームはおおよそ20作品ほどプレイしている。
そこからざっくり15年以上の時が流れ、もう一度あの当時の感覚を取り戻したいと思い、ネットで注文して家に届いたのがこちら
『ときめきメモリアル Girl's Side』である。
そう、おっさんが男子高校生を攻略する時代がもうそこまで来ている。
パパ活なんぞというぬるいことやってる奴らの顔面に叩きつけて言ってやりたい。これが新時代のおっさんのあるべき姿だと。
前口上も長くなってしまったが、正直ネタ半分のつもりだったこの「ときメモGS」から学びを得ることになろうとは…。
それでは33歳のおっさんがプレイするときメモGS、はじまります。
🌸「同性」の関係も大事な女の子
ここからは実際のゲーム内容に触れる為、一人称を私に変えてお話させて頂く。私が入学した高校は共学である。さーて、イケメンはどこかなーと思いきや、意外や意外、イケメンの数と同じくらいに、同性の女の子が登場してくるのである。
ほほ~ん。
ときメモ4(プレイ済み)でも確かに同姓側(男性)で親友キャラが2人ほどいるが、こちらGSではその倍の人数の同姓キャラ(女性)が登場する。
しかもなんなら、私の意中の男どもと親密になりそうな雰囲気満々である。そしてGS側の方が、圧倒的にモブ感が薄い!
この子なら、〇〇君が好きになってもおかしくないという説得力があるのだ。この泥棒猫がッ…!!!
さらに目を見張るものとしては、このライバルにもなりかない友人たちを通してこそ、磨かれるものがあるということだ。
ライバルに塩を送らなければ、届かない頂き(イケメン)がある。
これが女性社会の業なのか…。
だって男性側からしたら、同級生と馴れ合ってない子の方が魅力的にみえちゃうもん。教室の隅っこで、クラスに馴染めていない美少女がいたら、お昼ご飯を一緒に食べようって誘っちゃうもん。
あ…
美少女…
ここで気づく。
クラスで浮いているのも、流行に疎いのも、全て美少女だから許されているという世界の真理に…。
ときメモGSでは、気遣いができていないと、相手にもされないし、服装がダサいと普通にガッカリされる。
そう、私には、そのままの私を受け入れてもらえるほどの魅力がないのだ。
それまでどこかお客さん気分でいたが、あっさりと下校イベントを断られた瞬間に目が覚めた。
私は、この人たちに攻略される側じゃない、攻略する側なんだと…。
そして攻略とは、個人戦でもあり、チーム戦でもある。周りのライバルたちとの切磋琢磨が私をより高みへと導く。そうしたGS内で生き残る為のルールを理解した私は友人と過ごすコマンドを選択をした。
有沢志穂、あんただけには負けないよ。
🌸おっさんに芽生えた「大切にされたい」という気持ち
女の子の日常は大変だ。意中の相手の為に、女の子同士での情報交換を行い、積極的にトレンドを追いかけ、デートの日はその男性の好みに合わせた服を選ぶ。
そして買い物においては、圧倒的選択肢の多さ。
美少女ゲームのファッションショップといえば、「洋服屋」でひと括りにされてしまうが、GSでは複数のショップが登場する。季節やトレンド、男の趣味に合わせて最適解なショップを選ぶことは、これまさにGSの醍醐味ともいえるのではないだろうか?
同じ服を着ていくものならば、またその服かぁ…とため息をつかれかねない。
つらい。女の子の日常、つらい。
私服は基本ポケモンのTシャツしか着ていないリアルおっさんの立場だと、いやいや同じ服を着ることこそがアイデンティティの表明なんだよと反論したくなる。
私だって星条旗がプリントされたスカートにGジャン(ゲーム中にショップで購入できる)を毎回着て、これが私、文句ある?と言ってやりたい。
だが、GSの世界においてそんなことができるわけもなく、夏の終わりに秋服コーデをせこせこと考えるのである。
そんな日常を過ごして、私の中で芽生えたとある感情に気づく。
「こんだけあなたのことを思って努力してるんだから、
めっちゃ大切にされたいんですけど??」
なんということだ。
点と点が線となって繋がる。
美少女ゲームを遊ぶ自分の心境は常に「大切にしてやる」側だった。すなわち受け入れる側だった。しかし、それは一見寛容な振る舞いに見えて、何の努力もしてこなかった裏返しではないだろうか?自身の無個性さを【他人の努力や個性】で穴埋めしようとしていたのではないだろうか?
無性にこれまでの美少女ゲームの中で過ごしてきた人生が恥ずかしいものに思えてきた。
しかし、今は違う。
ときメモGSにおいては、私の日々の努力と気配りの上で、意中の相手と対等な存在としてあろうとしているのだ。
だから「大切にされたい」という気持ちは至極真っ当であり、誇らしくもある。
時として現実にはこの「大切にされたい」という気持ちをイジってくる輩がいる。いつまでたっても俺様気分が抜けない痛すぎる馬鹿男だ。もし、今後そんな馬鹿男に遭遇した時は、全身全霊の右ストレートをくらわし、こう言ってやりたい。
「お前に、私の何がわかるんだよ!!!!?」
そうして私は星条旗がプリントされたスカートとGジャンをクローゼットにしまい、守村君が好きそうなエレガントな赤の洋服を颯爽と着こなし、プラネタリウムデートに出掛けた。
🌸料理の感想で「美味しい」以外のことを言ってくる男は全員極刑でいい
そんな日々努力を続ける私がぶちギレる事件が起こる。
問題はこの男、鈴鹿和馬だ。
よく言えば、裏表もなく、とっつきやすそうな男である。入学してからの高校1年生の6月、この鈴鹿と同じバスケ部に入部した。
そして土日の部活動の際、昼飯の準備を任された私は、激しい運動でのエネルギー効率も考えて、手製のミートスパゲッティーをつくって部員に振舞うことにした。
そして鈴鹿が一口食べて開口一番に言い放った言葉は…
「ふむ…」
「え、お前、今、人に飯つくってもらって、ふむ…って言った????」
※正確な言葉はおそらく「ふむ」ではないが、ざっくりしたニュアンスだけ伝わってほしい
まず思ったことは、アメリカに行ってバスケをやると意気込む男なのだから、エネルギー効率の良いパスタは最適解以外の何ものでもない。
(他の選択肢にはカップラーメンなどがあった。手製のミートスパゲッティーを否定し、カップラーメンで喜ぶ程度の男であるならば、鈴鹿の頭部にお湯を注いでいたかもしれない)
このバスケ馬鹿は、バスケのことだけを考えているような立ち振る舞いのくせに、手製の料理に文句をいう始末。バスケはチームプレイなので、相手の心を想像できない選手は大成できないであろう。バスケプレイヤーとしての未熟さも垣間見えたワンシーンであった。
さらに…
昼飯後の部活動で、プレー内容にめちゃくちゃキレちらかしてきた。
「あおきぃ!お前、全然気持ちが入ってないぞ!!」
「お前が一言【美味しかった、ありがとう】って言わないからだよ!!!!!!!!」
そうして私は翌週、バスケ部を退部した。
夏休みがあけて迎えるは、高校1年生の秋。残暑がゆっくりとしたグラデーションで消えていく9月の終わり。長袖の洋服が並ぶショップで秋の訪れを感じつつ、私のときメモGS初見プレイ第1回は幕を閉じるのであった。