『恐れのない組織』は恐ろしい
『恐れのない組織』は恐ろしい本だ。
「恐れのない『学校』」や「恐れのない『地域』」にリフレミーングしながら読み進め、やっとこさ読みおえたあとに出てきた言葉がこれ。
だってそうでしょ。
「心理的安全性があれば皆、恥ずかしい思いをするんじゃないか、仕返しされるんじゃないかといった不安なしに、懸念や間違いを話すことができる。考えを率直に述べても、恥をかくことも無視されることも非難されることもないと確信している。わからないことがあれば質問できると承知しているし、たいてい同僚を信頼し尊敬している。」(15頁)
と多様性を(同調圧力ではなく)推進力に変える上での心理的安全性の価値を強調しつつ、
「業界環境がどれほど厳しいときでも、リーダーにはどうしてもしなければならない仕事が二つある。一つは、心理的安全性をつくって学習を促進し、回避可能な失敗を避けること。もう一つは、高い基準を設定して人々の意欲を促し、その基準に到達できるようにすることだ。」(48頁)
「フィアレスな組織とは、一度目標を達成したらそれで終わりではなく、目標に向かって絶えず努力し続けるものだと言える。その旅は果てしなく、かつダイナミックに続くのである。」(134頁)
とさらりと書いてしまうのだから。
心理的安全性が高いときもそうじゃないときも経験してきたから、「土台」としての価値は身体的に理解しつつ、「ちょうどいい」をこえてきたと感じたら直感的に揺さぶりたくなる。「恐れ」をスパイスとして投入したくなる。
高さを試しているようで、その実態は本能的に壊したほうがいいと判断してるんだと思う。ダイナッミックといえばきれいだけど、やぶへびだよね。
と思ってきたけど、この本は「恐れの価値を忘れるなよ」と逆説的にぼくに訴えてきたから、恐ろしい本なんだ。恐れを恐れるな。事例から学ぶ『恐れのない学校』研究会が大事なのかもね。