ほぼ四年ぶりの日本 訪れたところ六選
一週間前、北極周辺の上空にてエメラルド色のオーロラに包まれながら長時間の飛行の末、北欧に戻って来た。
一月二日が仕事始めであったため正月の雰囲気は残念ながらほぼ皆無。皆様におかれましては日本の新年気分を存分に満喫されていらしたことを祈りつつ、浦島北欧のささやかな日本滞在ダイジェストをご紹介させて頂きたい。
一週間前までは太陽の国にて、純白の雪に覆われる富士の姿を居間から臨みながら朝のコーヒーを堪能していた。
今晩は、白い雪の積もる中庭を見下ろしながら、日本に滞在していたことは果して現実であったのか、と訝う。
さいわい、日記代わりに撮っている写真は、私が現実に日本を訪れたことを確認してくれる。
今回の六週間と言う大型日本滞在は、三週間は遠隔勤務を行うという条件付きであったため、その間は17時から02時ぐらいまで極寒の部屋にて業務を行っていた。次回、冬に帰国する機会があれば、電気毛布ワンピースのような代物を購入するつもりにあり。木造住宅は冬がつらい。室内の自然な温かさにおいてはこちらのマンションに勝旗が上がる。
パンデミック以前、日本へ帰国をした時は大概一週間前後の旅行をしていた。2020年、予約したフライトがキャンセルされてなければ、初の青森・秋田を訪れているはずであった。
今回は、日本にてどれだけ自由に移動できるかを把握できていなかったため、遠方旅行は諦め、地元と近郊の観光地を探求することにした。
まずは、
海外在住者が日本を訪れたら最低一回は訪れたいところはどこであろうか?
私の場合は温泉である。
いずれゆったりと箱根の温泉街などを訪ねてみたいが、今回はそこまで行かず鶴巻温泉にて。
「私語は慎むように」、との貼り紙の下で大音声で騒ぐ奥方たちからさりげなく遠ざかり、雨の中を背景音にしながら露天風呂にて日本滞在を実感してみた。
その後、通り掛かった高級温泉旅館、陣屋の庭園の前に、昭和のアイドル風の若い青年が昔風の傘を抱えて宿泊客を待っていた。彼のお言葉に甘えて庭園を散策させて頂いた。
もう一つ、日本で予定していたことは、人間ドックを受けることであった。
定評のあるというホテルのような瀟洒なクリニックを予約。予定していた胃カメラの検査に関しては、同意書に署名する段階になって怖気付き、これだけをドタキャンさせて頂いた。「眠っている間に終わりますよ」、と宥められたが、出来れば全身麻酔なども回避したい。
その帰りに寄ったのはこちら。
この博物館は訪れたことは無かったが、ここは期待以上であった。
350円程度(ラーメン別代金)でこれほどまでに昭和が凝縮されている。ラーメンに関する蘊蓄も深まるため、この博物館は一見の価値がある。
さて昭和と言えば、ハネムーンのメッカであった当時の昭和の面影をところどころに残している海岸の街はこちら。
伊東方面から夜間ドライブをしてくるときの夜景が非常に幻想的な街である。今回は海を臨めるホテルの部屋を取ったが、同ホテルの東館に遮られて海岸沿いの夜景は臨めなかった。
山の上の「秘宝館」はまだ存続していてくれた。一度は訪れてみたいものである。眉を顰めずに一緒に行ってくれる人がいらしたらご連絡を頂きたい。
私は決して自然派人間ではない。しかし、今回は何故か自然の澄んだ空気の中で浮世の憂慮を忘れてみたい、と感じていたところ、Noter仲間のRieさんからある名所をご紹介頂いた。
私と友人はコンビニで購入してきたおにぎりを渓流のせせらぎに包まれながら頬張っていた。
ところで何故、ランチがおにぎりになったのか。友人は、黒茶屋というレストランを予約してくれようとしていたが、この日は定休日。ついでに瀬音の湯と呼ばれる温泉施設も休館であった。
しかし、私にとっては渓流沿いのおにぎりは最高に贅沢なランチである。
しかし、自然には危険も付きものであり、河原に降りて行った私達の衣服には、夥しい数の草の棘のようなものがこびり付いてしまっていた。剝がし取るのに難儀をした。自然を舐めるべからず、ということであろう。
とういうわけで再び文明へ。
横浜駅東口にいつからか佇むこの空間。
何故か、ここで家族、あるいは友人達と食事をすることが多い。
ここにはお洒落なレストランも多いが、ブランド食品店も多少出店をしている。
レストランの近くで北欧以上に北欧っぽいインテリアショップを見掛けた。北欧にあって日本に無いものは果して何であろう、とまたもや自問を繰り返す。
そうこうしているうちに、日本を再び離れなければならない日が目前に迫って来た。
最後にどこを訪れようか、と神奈川県の地図を広げてみた。
江の島は訪れたが、ふたたび海の音が聞きたくなった。
バルト海は静かだ。
日本を去る前に太平洋の激しい波音を聞き納めて置きたかった。
地図上にて、ふと一つの島が気になり、そこを探訪することを今回最後の観光とすることに決めた。
そこは奇妙な島であった。
ようやく戻れた日本、太平洋、ふたたびさようなら。
今度この太平洋の日没を拝めるのはいつのことであろう。
こちらでは一昨日から雪が降り続いている。
一昨日、スウェーデン人の若い同僚にこう伝えた。
「日本という国は本当に不思議な国でね、あんなに小さい国なのに、いろいろな表情を持っているの。そしてどの土地にもご当地グルメとかご当地お菓子があるの」
彼は言った。
「よく知っているよ。僕は日本が大好きなんだ。四回行ったことがあるよ」
私の日本滞在ダイジェストへご訪問を下さり有難うございました。
皆様におかれましては、2023年が心身ともに安らかに過ごせる一年になりますように。