五感を開く
その地の風土や風習を知る
野沢温泉村は、山・森・林・畑・天然温泉などの自然の要素と人の営みとが絶妙に一体化されているのが特徴の村。これらを構成する要素はすべてミニマムに配置されている。自らの足で歩くことによって、想像は時間へと変わっていく。その地の風土や風習を知り、地元の人々と交流する。それもまた、LIFE FARMING CAMPの楽しみの一つ。
自然電力(株)の代表取締役である磯野謙さんがLIFE FARMING CAMPの魅力を語った。
自然の変化が、感性へ与える影響
今までの観光のスタイルは、おそらく「家族や友達と雪山へ行き、スノーボードをして、地元の温泉に入って、帰る」というものだと思います。
その町のローカルの繋がり──たとえば野沢菜の歴史や湯仲間(地元の温泉を守っていく自治会)、その地域の人しか知らない領域について理解を深める場所は、今までありませんでした。「そこへ溶け込んでみたい」という想いを含め、LIFE FARMING CAMPを機会に5回ほど訪れました。
日本の良さというのは四季にあると思っています。今までに冬は5、6回訪れていて、今回は秋に行かせてもらった。ですので、次は春と夏に行ってみたいです。その場所でできた仲間と一緒に。
“野沢”の別の表情を見ることができる。それはとても価値のあることだと思います。
自然の変化を感じることは、人間の感性にとって、とても大事なことです。都会で暮らしていると、その感覚がなくなってしまいます。おそらく、“都会”という場所は、それをなくさなければ生きられない社会なのでしょう。
ワンシーズンだけでなく、一年を通して自然の変化を味わえる。「五感を開く」という意味でも、その体験はかけがえのないものです。
風土を知り、FOODを味わう
その土地が培ってきた文化は、その場所にしかない。
自然豊かな野沢温泉村は、そこで暮らす人も、カルティベイトされた衣食住などの文化も、自然抜きには語ることはできない。
常に自然と一体化し、恵みを共有してきた。そのライフスタイルやカルチャーに身を置く中で、実感するものがある。自然の表情、その機微に触れる。すると、感性が開いてゆく。豊かな恵みを味わうことで、フレキシブルな状態へとこころとからだが調ってゆく。
磯野さんのことばは、野沢温泉村には一年を通して多様な表情が息づいていることを教えてくれる。
PROFILE
磯野 謙
自然電力(株) 代表取締役
1981年生まれ。長野県、米ロサンゼルスで自然に囲まれた子ども時代を過ごす。大学4年次に30カ国を巡る旅に出て、そこで深刻な環境問題・社会問題を目の当たりにする。大学卒業後は、株式会社リクルートにて、広告営業を担当。その後、風力発電事業会社に転職し、全国の風力発電所の開発・建設・メンテナンス事業に従事。2011年6月自然電力(株)を設立し、代表取締役に就任。慶應義塾大学環境情報学部卒業