バウンダリーを伝えるにも一工夫
バウンダリーは引くだけでなく相手に伝えなくてはいけません。意外と厄介なのがどうやって伝えるか。
今までバウンダリーについて書いてきましたが、最終回はそのコツ編です!
玄関先で話す(前章参照)相手にバウンダリーを伝える時
出来ない旨はクッション言葉と一緒にさらっと伝えれば大丈夫。
例:
・手伝いたいのですが今仕事が立て込んでいて、すみません。
・誘って頂いたのに残念ですが、その日用事があって参加できません。
日常よくあることなので、ここは自分が慣れ親しんだ言い方でワンクッション置いたらそれでOKです。
慣れてくれば簡単ですが、ここで難しいのは「NO」をどうやって玄関どまりの人に伝えるかではなく、その人が自分にとってどれほどの人かきちんと認識することです。
これが意識できていないと、自分にとって大切な人じゃなくても、悪い気を起こして断るのが難しくなります。
この玄関どまりがちょうどいいとしっかり分かって対応が出来ていれば、NOを伝えるコツはこの段階では特殊なことはありません。
*無理だと言っても相手が聞かない時は、相手の言うことを聞かない限り不服を言われるでしょう。大切にあなたのことを扱わない相手は放っておいて大丈夫。あなたが気に病む必要はありません。
親しい人へのバウンダリーの伝え方
「私にできることはしたいんだけど、今は本当に時間が無くて。明日時間を見つけるからその時に話を聞かせてもらえないかな?」など、大切な相手に寄り添った言葉でバウンダリーを伝えます。
ただバウンダリーを伝えるのではなく、理由や別のやり方だったら大丈夫と提案を添えるといいでしょう。
そしてここで大切なのは、自分に余裕がなくなるまで我慢しないこと。
結構日本人にありがちなのが、自分がちょっと我慢すればその場は収まると思い、我慢の許す限り相手に何も言わないパターン。
多少は自分も言っているし、親しい仲なんだから察してくれるだろうと思うのですが、もともと察しないからバウンダリーが侵されているわけで無理な話です。
相手に自分の我慢を察してもらえずにいると、我慢が怒りに転じ、強い言い方になる傾向も。YESかNOと極端な言動しか取れない結果、必ず摩擦が起きるループにはまりエネルギーを消耗することもしばし。
これだととってももったいないです。
キツイ言い方は相手に伝わるものも伝えられず、二人の間に誤解を生じてしまいます。それではバウンダリーは強くとも、バウンダリーの「質」は下がります。
我慢をしないために、強い言い方にならないようにするために、黄色、点滅信号を赤信号になる前に使うことを覚えておきましょう。
ずっと緑信号を見せられていたのにいきなりコネクションが絶たれれば誰だってちょっと、、と戸惑いや憤りを覚えます。
ゲーム中でも真剣にプレーしている中でイエローカードもレッドカードもなくいきなり「退場」を言い渡されれば誰だって納得できません。
相手にずっと緑信号(YES)だったのがいきなり赤信号(NO)に行く幼稚なバウンダリーの伝え方も同じ結果を招きます。
段階的に相手に自分のバウンダリーを知らせていくことがコツです。心の余裕があるうちに段階的に黄色信号・点滅信号を出していくことでほとんどの摩擦は避けられます。
また、自分のバウンダリーを「明瞭」に伝えるのは、はっきり言うのと違います。言っても聞かない相手にはっきりと物を言うのは自分を守るために必要です。でも、自分が十分にバウンダリーを知らせず、我慢の限界に達してはっきりとバウンダリーを言うのなら、ただのキツイ言い方になってしまうのでご注意を。
最後に、どちらのケースにも当てはまらない、断りたくても断れない。自分がバウンダリーを決めても、相手に伝えるのに強い抵抗を感じる場合について。
下記の設問をまずやってみてください。
前に書いたようにバウンダリーは自己肯定感とも密に繋がっています。
先の設問で、どんな言葉を選んでバウンダリーを伝えても悪い結果しか思いつかない。
バウンダリーを伝えても相手との距離感が適正になって満足している自分が想像できなければ、その根本には拒絶などの恐れが隠れています。
例えば、
・NOと言ったら自分が不親切だと思われたり、対立的だと思われたりするのではないかと心配になる
・NOと言ったことでその場はすっきりするけれど、後味が悪くて後悔し始める。もしくはNOと言ったら胸のつかえは取れるけれども、相手が言い返して来て言ったことを後悔する
バウンダリーの難しさは自分をどこまで通していいか、相手の気分を害してしまわないか不安が出てくるところです。自己肯定感の高低とも直結しています。
自己肯定感が低いために、相手にどう思われるかを基準に置いてしまうと、バウンダリーはすぐに壊れます。
どうして不親切だと思われるのが嫌なのか、なんで悪い想像しかできないのかもう一度ここで自分に問い返してみてください。
大体の方は自分がバウンダリーを伝えることで相手の機嫌を損ねてしまうんじゃないか、相手から拒絶されてしまうんじゃないかと言った恐怖や、相手に優しくないと思われたくない怖れが隠れています。
もし恐怖がベースにあれば、どんなに自分のバウンダリーを引けても、相手に侵されやすい弱い「質」のバウンダリーになってしまいます。
境界線を設定することに罪悪感や恐怖を感じないでください。境界線を設けることは、健康的な食事や適度な運動を心がけるのと同じ。本質的にはセルフケアの一種です。
境界線がきちんとできている人は、相手の全てのニーズを満たすことは無理があると理解しています。
自分はこう!と決めることは我が強いように聞こえて抵抗あるかもしれませんが、私達は様々な経験を通して自分がはどんな人か知っていきます。出会いと経験によって作られる私という「軸」は、私はこうと誇っていい私たち自身そのものです。
自己肯定感が高まると、バウンダリーも言いやすくなり、優しさを保ちつつ自分を我慢せずに済みます。
バウンダリーを伝えて良い結果が思い描けなかったら、自分の怖れに気づいてあげましょう。怖れの原因となっている経験にいつまでも足を取られるのを止めたら、今の自分を肯定してあげましょう。
バウンダリーを知り、相手に伝えていく中で自分自身の成長があります。^^
【まとめ】
玄関どまりの人には、手伝いたいけれど出来ないことをお詫びとともにさらっと言う。普通ならこの時点で分かってくれます。(分かってくれない場合は注意が必要な相手です)
明瞭に伝えることときつく言うことを区別して、ポジティブな言葉のクッションを挟んで無理なことを伝える
どんな結果を望むのか、バウンダリーを伝える前に自分の中でクリアにしておきましょう。自然とどんな言葉が適切か答えが浮かび上がります
もしバウンダリーを伝えた結果を想像してネガティブなものしか浮かばなかったら、自己肯定感の低さと関連しています。自分を大切にする、そのことを自分に許可し練習しましょう。