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無重力ファンタジア
新潟駅の新幹線構内にある待合室に、東北新幹線の車体をイメージしてデコレーションされたマッサージチェアがある。
私はマッサージというものをあまり信用していない。生業にしている人には申し訳ないけど、効果がよくわからないのだ。
マッサージチェアもそうで、やっぱりよくわからない。父が亡くなった時の葬儀会場の親族控え室にもあったので使ってみたら、使い方が悪かったのか逆に背中を痛めてしまった。
そんなある日。多分四十九日で新潟に帰って、お酒をたくさん飲んで東京に戻ることにした。土日の新潟は、アルビレックスのホームゲーム開催日や大型アーティストのコンサートなどと重なると、大変混雑するようになった。とても良いことであるとは思う。
思うけど、昔は当たり前だった、始発駅だから指定席取らなくていいのーうふふーが通用しない日があるのは、新潟を故郷としている身としてはちょっと難儀。
その日も大変混雑していて、舐めていたらグリーン車しか空いてないでやんの。アルビと大きいコンサートが複数重なったらしい。上越新幹線ごときにグリーン車(クソ失礼)…でももう、父のアレコレで疲れたのよパトラッシュ!!というわけでグリーン車の席を取ることにした。
ちょっと早めに新潟駅に着いてしまった。混雑している待合室。座れない。
そこで目が付いたマッサージチェア。だれも使っていない。ていうか、使われているところを一度も見たことがない。
お金払うし座らせてーと、東北新幹線デコのマッサージチェアに搭乗。「無重力マッサージ」とある。よくわからないけど、子供が喜びそうな遊園地の乗り物みたいにふわっと後方に傾く。
背中、腕、脚と優しく包まれほぐされていく。疲れているから意識が遠のく。
これ!めっちゃいい!!
その後もう一度おかわりして、帰路に着いた。その日のグリーン車で某元アイドルを見たという話は蛇足だ。テレビで見ると爬虫類みたいなのに、生で見ると顔が小さくて普通にかわいいお嬢さんだった。蛇足×2。
必ず次の日に旅疲れが出るものだけど、それも大してなく、世の中にはあんないいものもあるのか(そして新潟駅で動いているところを全く見ない)、完全な食わず嫌いだった…と、それからは帰省から東京に戻るタイミングで利用することにしている。
新潟駅で利用者を見ないのは、最長でも2時間程度しか乗らない新幹線なので、そこまで必要とされないのだろう。最近行った福島の郡山駅では結構人気だったので、お国柄の違いを見た気がする。
自分なりの疲労回復ポイントを得て満足していたんだけど、ある日気付いた。国分寺駅の商業施設内にもある。そして、我が家の近くのスーパーにも。すごいぞ、無重力!
ちなみに、この無重力には東北新幹線カバーは付いてなくて、ただ黒いソファにしか見えない。
つい最近、めちゃくちゃ長時間の仕事を頑張ったときに、近所のスーパーに行くならいまだと、眠たい目をこじ開けながら利用した。
……
衆人環視つら。
近所のスーパーはノジマや100円ショップもある複合施設。月曜の昼下がりになんでこんなに人が通っていくの。
とはいえ、それでも身体は楽になった気がする。ありがとう、無重力。私の頭の中では、この曲が流れている。この曲を歌うお嬢さんたちは年内で活動休止するんだけど、多分これからも思い出しながら、無重力する。