ネットカフェの朝
つづき。
ドリンクバーがあってソフトクリームも自由に食べていいらしい。けど、そんな気分になれない深夜2時。
無人の本棚スペースを一瞥し、個室に籠った。漫画も読む気にならない。寝転がった。
漫画喫茶と呼ばれていた時代があった。ネットの普及でいつしかネットカフェになった。利用しなくなって10ウン年、そういえばネットカフェ難民という言葉を聞かなくなったけど、きっと解決しないまま当たり前の存在になってしまったのだろう。
その証拠に煌々と光るパソコン画面の片隅に、「こころの相談窓口」に繋がるアイコンがあった。
Yahoo!のトップニュースは亀田製菓のインド出身の会長が「日本は移民を増やせ」と語る記事が載っている。フォントがガタガタでなんだかノスタルジー。内容はなかなかヘビーだけど。
新潟では2人の兄とこんな話をしていた。あすからガソリン代が上がるとか、オイル交換したらかなり値上がりしていたとか。
長兄が来年還暦を迎え、いまの仕事を続けられるけどお給料は下がるからバイト必至だとか、いまは若い人の闇バイトが問題になってるけど、高齢者も狙われているとか。
ネットカフェの個室に横たわり、そもそもこの時間がお金の無駄遣いだし、タクシー代も無駄。
眠いのに眠れない頭で、将来の不安がむくむくと湧き上がる。大家さんに連絡するの面倒だなあとか、鍵を落としたと思われるバスの営業所にも問い合わせなきゃだなあとか、面倒だなあ、面倒だなあ…。
人生いろいろ面倒だ。いまの仕事もいつまで続けられるかわからない。いつまでひとりで生きていられるのだろうか。
少し寝て起きて、また寝て。起きて寝て。何度目かの目覚めにパンの焼ける香りに気付いた。朝食サービスしているらしい。ネットカフェすごい。
そういえば食事も個室内から注文できるらしい。どれもこれもコッテリとした料理が並ぶメニュー表を見た。本当にコレ食べる人いるの?
この世の面倒くささから、ドリンクバーも食パンも口に入れる気にならなくて、極限までゴロゴロして朝9時にネットカフェを出た。出る前に、バスの営業所にネットから問い合わせ、家の前から大家さんに電話して、鍵を開けてもらった。
とりあえず寝て起きて、太陽の光を浴びれば社会性は戻ってくる。
ネットカフェ、個室に約7時間滞在で約3000円。ソフトクリームが食べられるぐらい元気な時にまた利用したい。
将来への不安を、この日まですっかり忘れていた。思い出すために、また行ってもいいかもしれない。