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それでも地球は回っている

暇な時はAbemaでニュースを観ていることが多い。土日は再放送が多くて、その日は届いたカラーボックスを組み立てながら聴いていた。

「Abema Prime」というニュースバラエティ番組は、地上波ではなかなか見られない特集をよく配信している。ながら聴きしていたら、地球平面説を信じている人たちを取り上げていた。そんな説も、信じている人たちの存在も、その日初めて知った。

大昔は地動説が信じられていて、ガリレオが天動説を発見し、いまや人類は宇宙に飛び立てるようになったわけだけど…。

平面説を信じている人たちがVTRで何人か登場する。ニュース映像で映る宇宙から見た地球の様子などを「CG」だと言ったり、そんなことする理由を番組スタッフから問われると「隠したいなにかがあるんでしょうね」と陰謀論をチラつかせたりする。

スタジオで出演者たちの質問に答える男性も含めて、自分が見てないものや実感できてないことから、天動説に疑問を持って自分なりの仮説を持って、地球平面説にたどり着いているよう。たしかに私も宇宙に行ったことがない。学校で教わるから覚えたし、何人もの宇宙飛行士たちが宇宙からの映像を見せてくれることに、なんの疑問もない。

「普通」の私たちが触れるのは、マスコミが発信する2次情報が圧倒的に多く、当たり前のように受け取っている人の方が多数だけど、社会にはそれがもう信じられないという人たちが一定数いるんだなあと思った。自分で考え調べて知識にすることは間違っていない。

深く感心したのは、出演者たちは私と同様「天動説」で生きているので、「なぜ平面説を信じるのか」と質問を重ねる。

議論は、いま平面説を信じている人たちについて「信じたいもののために、情報を都合よく選んでいる」「信じている人たちに宇宙を実際に見せたい」という方向で終わるのだけど、集中砲火を受けるように質問されている男性が「それでも地球は平面だ」と言い出さないかとワクワクしてしまった。

ガリレオを見ている気分になった。平面説を信じるか信じないかは別として。

出演者のひとり、田村淳は最近、知性派に転身したのか知らないけど、昔だったらもっと白黒ハッキリさせて笑いに変えていたと思う。本人も「ショーにするんだったら、もっと否定して噛み付いたほうが面白くなるんだろうな」と語っている。でも、議論のためにそれは抑えたというので、テレビ番組の作り方(ネットだけど)が変わって来いることも興味深かった。

まずは、頭から否定せずに相手の話を聞いてみる。スタジオで質問に答えていた地球平面説の男性も、我が子にも自分の考えは教えるけど、学校で天動説を学ぶ時が来たときには、どちらを信じるかは子供に任せると話していた。

なんでもかんでも頭から否定していたら、争いごとや差別、偏見なんてなくならない。言葉では「話せばわかる」なんて言えるけど、実際に自分とは違う「普通」を持つ人を目の当たりにしたときに実践できるだろうか。

結構な命題を投げかけてくるので、Abemaの番組は侮れなくて好きだ。

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