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わかってちょうだい作業療法

老健でのひと場面。

「なんか○○さん、落ち着かはりましたねぇ」と介護士さんと看護師さん。

物盗られ妄想や興奮などの症状がある90代認知症の女性がおられました。また自分を否定する言葉もよく聞かれます。

その方へわたしたち作業療法士は生活の再構築を行っておりました。

ラジオ体操、朝の散歩、いけばな、計算、エコバッグつくり、音楽、体操、クイズ、掃除、風船バレー

運動・余暇活動・生産活動(家事・仕事)のバランスを考えながらご本人と生活を作り上げていきました。

特にエコバッグつくりでは他のご利用者と作業をしながらコミュニケーションをとられ満足度が高い様子でした。

また、「最近、いろんなことに参加してくださって嬉しいです。」「参加してくださるだけでも良いんですよ。」とお声掛けをしています。

するとどうでしょう、いつもポツンと一人で過ごされ、妄想が膨らんでいた方が他のご利用者へ自分から声掛けされているではないですか!これを見ましたとき、わたしは感動しました。また、最初は活動の誘いかけに対してオッケー率は50%でしたが、経過を追うごとに毎日参加されるようになりました。

これは大きな変化です。

と、このようにご本人にとって重要であり意味があり満足度の高い、そして手足頭を動かす習慣は大抵の場合、心身に変化をもたらします。作業療法士は作業の力を信じています。

この一連のアプローチはなかなか多職種には伝わらないんです。

「なんか落ち着いたね、○○さん」

と感覚的にとらえられます。

確かに因果関係は不明です。

この作業を提供したから、こんな生活に変わったから、ご利用者は落ち着いた、という完全な証明はできません。

しかし、ご利用者は作業=生活で変化するんです。

そこをわかってほしい、なーんていうのが小さな願いです。


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