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「未来につながる何か」の呪い


転職活動で不合格が続くなかハローワークに行き、自信を失っている今の自分が浮き彫りになった。​


激動の2021年、混乱やむなし。私は薄々気づいていた。自分を縛っている呪いがあることに。今の自分に合うはたらき方を見つけるためには、まずはそれを解くことが必要な気がした。

その方法はわからないが、とりあえず全てを一旦置いて、一番したいことをしよう。そう考えて最初にしたのは、お笑いのチケットを取ることだった。私は五感で、笑いを求めていた。

劇場は満席。漫才の掛け合いから伝わる臨場感と、漫才師の努力と才能が垣間見え、感動しながらも笑ってしまう。隣の席の人も、みんな笑っている。久々に生で聴く、人の笑い声の集合体。何よりも、それに癒されている自分がいた。新喜劇で目がいくのは、60代と70代の女性3人組。お互いをカバーしながら失敗も笑いに変えて、彼女たちは本当に生き生きと、楽しそうに仕事をしていた。自分を生かして働いている大人の方たちがいる。今の自分にとっては、それがとても眩しかった。私がそうなれる道も、必ずあるはずなのに。そう思って胸が熱くなる。

ただただ、自分の心を喜ばせただけの時間。贅沢しすぎたような気もした。調子に乗りすぎたかなぁ..と思いながら帰路に就く。

「仕事が決まるまで」
「抱えている問題が解決するまで」
「状況が良くなるまで」
それまでは、したいことをする資格がないような気がしていた。仕事をしていないのだから、楽しむことよりも、今は「未来につながる、意味のある何か」をしなければ、と。

私は「未来」を想いながら、「今」を縛っていた。
あまりに転職活動がうまくいかず、身動きが取れなくなり、私はそれらの呪いを解いた。ただ好きな場所へ行き、好きなことをした。もちろん、現実は何も変わってはいない。それでも心は、不思議と前を向いている。

私はお笑いを観ながら、人の生き方を見ていた。人の笑い声の暖かさと、自分にかけていた呪いにも気づいた。これはこれで、必要な時間だったのではないだろうか。

こういった呪いを、自分にいくつかけてきたのだろう。

「フルタイムで働いて、生活を安定させなければ」
「自分には仕事しかない。しっかり働かなければ」
「家族を心配させないように」「他人に迷惑をかけてはいけない」呪呪呪....

大丈夫。呪いを解く鍵はいつも自分の中にあることはわかった。何度でも解いていけばいい。自分を追い詰めて自信を失うのは、もうたくさん。

2021年7月。新しい自分として、次の居場所を探す旅の再開。

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