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5日目:美しいコンクリート橋 ~93年目を迎えて~

10月10日土曜日。

今日は、大宮橋の修復完成にあたり記念式典が行われました。

大宮橋は大保木の中でも最も山奥にある限界集落、西之川にあります。
老朽化がだいぶ進み、大規模な修復が必要だったために数年前から工事の計画が立てられ、今年の9月には工事が完了し、10月にお披露目ということになりました。

いや、うん、実はね、私は今日、式典はないかと思っていた。だって朝から雨だったから…。
多分ないよなぁと思いながら公民館に行くと、
あるよー、と言われ…、え、あるんですか!? と私は明らかにないと思っていた人の反応を示した。(笑)

おお、そうなのか、了解です。まあそれなら早速動いていきましょ。
(式典はないと思って来ていたので、頭の中は今日の予定を調整し気持ちを合わせるのでいっぱいだった(笑)

事務室隣の調理室で、地域の皆さんが集まっておむすび結び中。
というわけで私も加わって、お弁当にたくあんを詰めます。

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できたー!お弁当。シールも貼って完成です。おお、今日限定という特別感。

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9時半になり、そろそろ現場に行こうということで、車で西之川まで。

実は初めてなんです西之川。石鎚山のロープウェイ乗り場までしか行ったことがなくて、まあ一応そこも西之川なんだけど、そのさらに奥へ続く道へは入ったことがなかったのです。

行ってみるとけっこうな人。
そこにいる人全員で集合写真を撮ろうということになり、みんなで並ぼうとするけども、傘がぶつかり合って後ろの人まで映らないし、おまけにマスクで…見苦しいっていうのもあるけども、これ、写真は厳しいのでは(笑)
※この後、一瞬だけ傘をたたみ、一瞬だけマスクを外し、撮影しました。

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神事の祓いの舞という太鼓に合わせて獅子舞が踊る様を見たあと、来賓の皆様のあいさつがあり、そのあとはまた、大宮橋の渡り初めの前に神事獅子舞による清めの舞が行われました。

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そしてテープカットには、副市長や大宮橋の建設を指揮した伊藤由喜三郎氏のお孫さん、橋の修繕に大きく貢献した愛媛大学の森准教授、西之川の自治会長さんなどが参加されました。

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そうして無事、参加者全員の渡り初めが終わり、西之川集会所にて講演会が催されました。
先のテープカットにも登場した、愛媛大工学部の社会基盤iセンシングセンターの森准教授による、大宮橋の修繕にかかわるとても意義深いお話を聞く時間となりました。

大宮橋は、土木学会選奨土木遺産に認定されています。

土木学会選奨土木遺産(どぼくがっかいせんしょうどぼくいさん)は、社団法人土木学会が、日本国内の歴史的建造物のうち土木構造物について、これの保存に資することを目的として構造物群を「土木遺産」に認定して顕彰する制度、及びこれにより顕彰された土木構造物群のこと。
出典:土木学会選奨土木遺産/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

遺産と認定されることで、土木学会では以下のようなことを期待しているとのことです。

(1)社会へのアピール(土木遺産の文化的価値の評価、社会への理解等)、
(2)土木技術者へのアピール(先輩技術者の仕事への敬意、将来の文化財創出への認識と責任の自覚等の喚起)、
(3)まちづくりへの活用(土木遺産は、地域の自然や歴史・文化を中心とした地域資産の核となるものであるとの認識の喚起)、
(4)失われるおそれのある土木遺産の救済 (貴重な土木遺産の保護)、などが促されることを期待しています。                出典:土木学会 選奨土木遺産/土木学会ホームページ 選奨土木遺産選考委員会

大宮橋は比較的初期の鉄筋コンクリートでできたアーチ橋。コンクリートは型に生コンを流し込んでつくるもので凹凸や曲線などを表現するのは難しい。
にもかかわらず、アーチ全体とその上部で床を支える列柱が非常に細かいところまで丁寧にデザインされている。
そのうえ強度においてデザイン性は必要ないというのに、橋の下からでなければ見えないような細かーいところまで見事に造りこまれている。
そういった部分が登録に及んだ理由のようです。

写真は打ち出された図面です。※以降の写真は講演会でのスライドを遠くから撮影したものも含まれます。              


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そんな普通の橋のデザインのレベルを遥かに上回る、手の凝った優れたデザインの橋を手掛けたのが、昭和2年(1927年)のことだという。
その当時、十分な電気も機械もなかった西之川。
そんな時代にどうしてここまで巧みな橋の建設ができたのか。

その点について森教授は、工事の陣頭指揮を務めた伊藤由喜三郎氏がアメリカのフィラデルフィア州で美しい橋に出会ったことをきっかけとして橋を造ろうと思い立ち、その橋の設計図を基にしたのではと推測している。

(このアメリカの橋の名前、聞いたのだけど…忘れました(小声)。ごめんなさい。。。大事なところなので何度も頭の中で復唱したのだけど…思い出したら追記します。)

というのは橋の途中にある列柱、とくに上部がアメリカのその橋の列柱のつくりと非常に似通うところがあるからだという。それもその橋よりもっと丁寧に手間と時間をかけてデザインを施しているという。再現性が高いだけでなく、丁寧さと建設における熱量の大きさも驚くほどのものだとこと。

写真の上が参考にした橋で、下が撮影した大宮橋。写真の角度や画質だと少々わかりずらいかもしれませんが、ご了承ください。

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今から93年前に完成した大宮橋は、近年では老朽化が目立つようになり再建設が検討されていたそうで。
調べれば調べるほどに、この橋は貴重な橋で遺産でもあるということで、愛媛大学の協力を得て大補修をすることになり、調査を進めながら少しずつ工事の準備をしてきたようです。

水を吸収するどころか、コンクリートの中から水が染み出すほどまで橋の老朽は進み、ところどころひび割れ、カビやコケが増殖、最初は柱が色とりどりだったそうだが、それもいつの間にか剥がれ…車も通る橋なのにいつ壊れてもおかしくないような状態に…。

そうして昨年19年から工事に着工。
改修前、改修中ともに、橋の至る所を透析し、構造や質を管理して、かつての橋を現代の高い技術で高度に再現していきます。

再建にあたり通常の建設業でならやらないような、いちいちの丁寧な解析や計測を行ったと聞いた時には、研究者ならではというのもそうだけれども、この橋を造った人々に寄り添っているようにも思えました。

そうして今月頭についに完成。完成
単なる橋ならわざわざ役所の人が駆けつけて、こんな仰々しいことなんてしないだろうけども、これだけ人の手、思い、そして歴史のつまった橋であったがゆえに式典が執り行われたわけです。

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まだ日本が大正の頃、当時大工だった伊藤由喜三郎という大保木出身の方がアメリカへ渡った。
彼は、そこで見た橋を再現しようと大保木で橋を造った。

きっと足りないものはいっぱいあっただろう。
当時は機械はもちろん、お金だって、その橋をつくる技術だって限られていたはずだ。
でもその橋をつくろうと決めたとき、協力してくれた仲間がいた。
こんな遺産に残るようなものなんて、とても一人じゃつくれっこない。どこかで根を上げてしまうものだ。
でも一緒につくってくれる誰かがいるから、造れたのではないかなと思う。
きっと造り上げたときの喜びはすごかったろうなあと思う。

細部までこだわって手を抜かないこと
熱意を絶やさず最後までやり遂げること
そして、一人で抱え込まずに誰かに頼って協力してもらうこと

大きなものをやり遂げるときに大切なことまで、大宮橋には教えてもらったような気がします。  

                       

ちなみにライトアップするとこんな感じだそうです。

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ぜひ、実際に見に行ってみてください~


以上、今日の大保木でした。
素敵なコンクリートの上を歩いた人より。


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