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ワンタンミー
以前こちらの記事で書いた《CROSSCUT ASIA おいしい!オンライン映画祭》もそろそろ終盤。明日で終了だと思うと何とも寂しい。
毎日1~2作品ほど観て、おいしい映画特集はなんとか制覇した。CROSSCUT ASIAアンコール上映の方はまだ2作品ほど残っている。今日明日でなんとしても観たい。
1作品くらいは観たいけれど時間的に厳しい……という人がいたらこれだけは観てほしいと私が強くおすすめするのは、以前の記事でも書いた『ワンタンミー』だ。
『アルナとその好物』や『三人姉妹』も良かったが、やはり一番印象に残っているのは『ワンタンミー』だ。私の中で、最初に観たこの作品がこの映画祭のベストである。
おすすめポイントは2つ。まず90分に満たないという上映作品のラインナップの中でも屈指の短さ。そしてその短さに凝縮されたストーリー。ドキュメンタリーでフィクションという不思議な作品で、取材シーンはまるでガイドブックを見ているようで楽しい。頑張れば仕事の合間のお昼休憩で観られるかもしれない。
ほとんどの作品は一度観たきりだったが、これだけは2回観た。ラストを知っている2回目となるとまた気づく点が多い。特にフィクションとして描かれている部分で。
映画作品はわりと若者が主人公のことが多いが、これは中年男性を主人公に据えているところが面白い。人生やキャリアについて見つめ直すということについて、様々な経験をしてきたからこその説得力がある。
この作品に限らず上映作品全般に言えることだが、東南アジア映画は家族のつながりを描いたシーンが多いように感じた。そして都会がいかに急速に発展し、そこにあった伝統が消え失せつつあるか。地方との格差が進みつつあるか。アナログからデジタルへ、移り変わっていく社会にどう順応していくか。
「バリスタはコーヒーを注ぐだけ。料理評論家も同じ。料理やレストランのことは語るが、それを支える人々には無関心だ」
開発で立ち退きを余儀なくされた地域には人々の生活があった。デジタル化によって機械に取って代わられた仕事には長年従事していた人がいた。社会が発展していくことは良いことだが、同時にそこにいる人たちの暮らしにも思いを馳せたい。