一つの愛を持ち帰った夜
ありがとうの気持ちを、ここに記しておきたい。
雪組公演『Fire Fever』S11 一つの愛。
トップコンビという概念を頭で理解しながらも、心ではよくわかっていなかった私の頬を打つかの如く、愛に溢れたデュエットダンスだった。
きらきら光る大階段、舞台上の隅々、広い東京宝塚劇場のすべてを使って表現されていたのは、紛れもなくひとつの愛だった。
広い空間いっぱいを使って、ふたりだけで、たった一つの愛。
会場を包み込むというより、むしろ手のひらで温めているような愛だった。そしてその手のひらの愛が、広い空間を使って表現されていることに感動した。
「トップコンビ」だからこそ、この愛をこんなふうに表現できるのだ、と心でわかった。
広い劇場で、きらきらした舞台で、少し目が眩んでいた。大きなものではなく、ふたりが手のひらで大切にしている愛を、私は恐れず信じて見ていればいいのだな、と思った。見ていたいな、と思った。
ふたりの表現した一つの愛が、灯火となって私の心に宿った。
それはとても温かくて穏やかで優しくて、それでいて途方もなく強くて、私に信じる勇気をくれた。
さきちゃん、きわちゃん。
あの日、あんなに素敵なデュエットダンスを見せてくれてありがとう。
だから今、私はこんなふうに言えるんだと思う。
宝塚が好きだなぁ。
そこに愛があるから。