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通りすがりのちんどん屋さん

息子を保育園に送った帰り道、
帰りのバスを待っていると少し派手な格好をした、おばあさんに話しかけられた。
年は80歳前後だろうか。
真っ白でウェーブがかかった髪にバケットを深く被ってマスクをしていた。

前のバスが行ってしまった直後だったのだが、
いつもは時間ピッタリにこないのにねぇ、
足が悪いのだけど頑張って走ったのに残念だわ〜、と、こちらにお構いなく次々話しかけてくる。

私は少し面倒くさいな、と思った。
帰る手段は他にもあるので、
適当は所でそそくさと逃げてしまおうかとも思ったのだけど、なんとなくおばあさんの世間話に付き合うことにした。

その日は肌寒い日で、
話はその日の服装のことに移り
「今日の私の格好ちんどん屋みたいでしょ?ちんどん屋なんて、あなたみたいな若い人にはわからないわよね〜」
とおばあさんは言った。

私は実物は見たことないが、存在は知っている。
そして、以前西部園ゆうえんちで演者がやるちんどん屋は見たことがあった。

その事をおばあさんに伝え、ネットで適当に探した動画をおばあさんに見せると、
「あら〜、懐かしい!こんな所があるのね〜!」
と、すごく嬉しそうだった。

ひとしきり西部園ゆうえんちや昔の映画館や喜劇役者の話をした所で、次のバスが来た。

おばあさんは、
「あなたのお陰で楽しかったわ〜!今日はこのバスに乗る運命だったのね!ありがとう!」
と言った。

私はわりと、人生で起こる事には全て意味があると思ってる人間なので、なんとなくインパクトがあったその日の出来事を振り返ってみた。

そうして見えてきたのは、今の私に必要な考え方だった。

良くないと思えることも、自らの行動と思考次第で良い運命に変えられる。

私はわりと昔からクヨクヨ落ち込みやすく、ネガティブ思考が強いタイプで、最近はまた仕事やプライベートの問題にぐるぐると悩んでいた。

無理をしてまでポジティブでいる必要はないと考えてるけど、自分の捉え方次第で人生の楽しさはきっと違うんだろうな。

ありがとう、通りすがりのちんどん屋さん。

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