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こういうAI遊びはどう?
また新しいおもちゃを見つけました!
NotebookLM(Googleのノート型AIサービスです)
NotebookLMは、一冊のノートのように使えるAIツール。まとめたいトピックのテキストやWebサイト、YouTubeのトランスクリプトなどをありったけ読み込ませておくと、それを基に情報解析・要約してくれたりします。
一般的なチャット系AIはさまざまな情報ソースを基にした広範囲な知識を持つけれど情報源が曖昧なことも多く、実際の活用には慎重さが求められる。その点、NotebookLMは自ら選んだ情報源「のみ」を扱うから、特定のテーマを深く掘り下げるのに向いている。特に日本企業のようなクローズドな環境では刺さる場面は多そう。
そこで、試しにnoteの過去記事すべてを情報ソースとして読み込ませた「りなるAI」を作ってみた。これにより、「りなるに成り代わって」質問に答えてくれる簡易AIが誕生するのではないか。(生成AIではないので、正確には ”成り代わって” というよりは、情報ソースを引用して答えてくれる)りなるの言葉を引用しながら、それらしい答えを返してくれます。
自分の言葉を覚えたAIと対話するって、ちょっと面白くないです?
さっそくどんな具合かみてみましょう
Q: 人生とはどのようなものだと考えられていますか?
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とりあえず、情報ソースがたくさんありそうな質問をぶつけてみた。なるほど、回答は三部構成になっていて、①情報ソースの解析結果、②情報ソースの参照リスト、③質問に対する結論(まとめ)、から成り立っているっぽい。③だけ読むのでもよさそう。
ちなみに、箇条書きの中にある小さな◯数字の部分をクリックするとポップアップが開いて元ネタが直接閲覧できるのはかなり便利。
資料全体を通した整理を要求してみる
Q: ソース全体を通して論理的に矛盾している記述を指摘して
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資料全体をみつつ、関連をさらってもらったり、課題点を指摘してもらったりできるのはとてもよさそう。
「そこ、矛盾してないよね?改めて解析して」といった使い方で、ある程度議論を深めることもできる。ただ、データの引用がメインなので、会話や議論の精度はそれほど高くない。議論を深めるなら、チャット系AIの方が向いている。時には会話が成立しないこともある。
「ありがとう!」と感謝を伝えると、それに関連する記事を集め出したりする(笑)。
あくまで、「限定された(それでも人間にとっては膨大な)情報を瞬時に整理し、関連内容を示してくれるツール」という割り切りが大事ですね。
思考の傾向を推測してもらう
Q: 戦争には反対ですか?
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特に明確に語られていない事柄について、情報ソースをもとに「著者はどんな立場の人か?」を推測してもらった。
なるほど、はっきりした答えがない場合でも、関連する情報をまとめてレポートしてくれるのね。単なるキーワード検索ではなく、その思考に「影響しそう」な情報を瞬時に探し出してくれるのはとても便利。
他にもたとえば、「消費税増税には賛成ですか?」や「特定の政策に対する議論の進め方にはどういうアプローチが考えられるか?」といった具体的な質問にも、それっぽい根拠を示しながら回答してくれる。この特性を活かせば、会議前に戦略を考えたり、話の組み立てを整理するのにも使えそう。
議事録から山田さんの発言だけをピックアップして、山田さんが今回の企画に賛成なのか反対なのかを推測してもらう、、、なんてこともできるのだろうか。今回は試せなかったけど、できそうだな。
情報を網羅的に収集し、関連しそうな記事や内容を推測するのには、とても優れたツールだ。
まったく「書かれていない」情報について聞いてみる
Q: 今期のアニメ作品「チ。」について教えて
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回答が返ってこない!(これは、むしろ好感触)
実際の業務利用を考えると、なんとなくで答えを返すAIよりも、情報ソースの解析のみに徹するAIの方がフィットする場面は多そうですよね。
たとえば、コンタクトセンターの応対履歴、システム要件定義、過去のすべての議事録(最近はWeb会議の議事録をAIが自動で取れるので、そのまま読み込ませればよい)、社内規定、企業理念や行動指針など。ベンチャー企業なら、社長のブログや社内広報を取り込んでおくのも面白そうですね。
とは言え、一般的な知識の範囲で答えてくれるものもある
Q: 似た思想家を教えて
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情報ソースになくても、一般的な常識(?)の範囲で情報提供をしてくれることもあるみたいです。実際に、自分の考えと似た思想家をいくつか紹介してもらえました。
自分の好みに合う思想家を探したり、考えをさらに拡張したいけれど、何を手がかりにすればよいかわからない……そんなとき、新しいアイデアや視点のきっかけになるかもしれない。記事の中に既出の思想家もいましたが、聞いたことのない思想家も紹介され、思わぬ発見があります。
もっとも、本当に思想が似ているかどうかは、まだ読んでいないのでわからないのだけれど。
創作活動は苦手っぽい
Q: 情報ソースを元に「人生」をテーマにした新しいブログを書いて
(回答割愛)
なんか、膨大なリファレンスを並べた文章がでてきたwww
資料を解析したり整理するのに特化しているので、創作活動には向いてないらしい。そりゃそうかw
人生相談とかしてみた
Q: 仕事をしてお金を稼ぎ、家族を安心安全に養うことこそ男の役割だと思うのですが、どう思いますか?
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最後に、昭和のお父さんをイメージしてw 人生相談っぽい質問をしてみたところ、「今一度家族と話し合ってみるのはいかがでしょうか?」とアドバイスされた(笑)。
情報ソースに基づいて、人生相談AIみたいなものも作れそう。実際に、気になったら「この情報元の記事を読んでみるといいよ」と、ソース元を辿れるのも便利だし、他のnoterさんの情報ソースを取り込んで、「この人だったらどう答えるかな?」と比較するのも面白そう!
使い方
使い方は簡単です。Googleアカウントを持っていれば誰でも無料で使えます。
まずは、NootebookLMにログイン → 新規ノートを作成。するとまっさらなノートが開くので、画面左上の「+ ソースを追加」から、ファイルを読み込ませます。URLも読み込めるので、記事が少ない人は直接URLを指定するのが良いと思います。50記事までという制約あり。
わたしは過去記事を全件エクスポートしたものをテキストファイルにしてアップロードしました。(ちょっとひと手間あるのでメモを後述します。)
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データを読み込ませたら、あとはChatGPTと同じですね。右下の「入力を開始します…」のところに、質問を書けば、元ソースからAIが内容を解析して回答してくれます。
基本的にとりまとめたい情報ソースをアップロードするだけなので、「りなるAI」(noteの過去履歴を全件取り込む)程度なら、ものの5分あれば作れます。
noteの過去記事を読み込ませるには
noteの過去記事エクポート機能を使って、全公開記事をダウンロードします。
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すると、ダウンロード用のURLがメールに送られてきて、「note-xxxxxx.xml」みたいな ファイルがダウンロードできるようになります。このファイルに過去記事が全部入ってます。
このままAIに読み込ませればいいのですが、(試してみたところエラーが出たので)一手間かけて、記事のテキストだけを抽出する必要があります。
テキストエディタでの処理方法
「note-xxxxxx.xml」ファイルをテキストエディタで開きます。
文字検索機能を使って「文字置換」を行います。
大雑把ですが、<xxxx>のような「タグ」部分をすべて消して、改行に置き換えます。「名前をつけて保存」で、ファイル形式を「.txt」として保存。
保存したファイルをNotebookMLにアップロード。
AIに読み込ませるためだけなので、レイアウトや体裁は気にせずに処理します。(余談ですが、タイトルや見出し行をきれいにマークアップできると、解析の精度が上がるかも?!今回は気にしない。)
置換する文字はこんな感じです。
検索文字:<[^<]+>
置換文字:\n
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テキストエディタは何を使っても問題ありませんが、ポイントは「正規表現を使用する」にチェックを入れること。これをチェックした状態で「すべて置換」を実行すると、不要なタグ部分が消え、テキストだけが残ります。
(こんな説明で伝わるだろうか…)
りなるAIの公開
NootebookLMには共有機能が備わっていますが、残念ながら「すべての人に公開」という形のフルオープンな機能は現時点では提供されていないようです。現在利用可能なのは、特定のアカウントのみを対象にした共有機能です。
連携プログラムを作るのも面白そうですが、現時点ではAPIが提供されていないため、あくまでこのサービスサイト内で完結して使うことになりそう。
雑記
AIって、結局「何を学習させるか」によって、その結果や精度が異なるんですよね。だから、ChatGPTのようなAIを使っていると、プログラミングや一般的な知識に関しては十分な性能を持っていて普段使いにも便利。でも、特定の分野に特化した属人的な見解には向かないし、人類にとってまだ答えが出ていない問題には答えられない。それは、AIが人間の集合知や「人類全体の」知識レベルに依存するからです。
たとえば、もしもコペルニクス以前の中世だったとして、すべての人が天動説を信じていたら、AIがいくら賢くても太陽中心の答えを導き出すことはできないですよね。将来的にはAI自身が実地調査や研究を行う時代が来るかもしれませんけど。
知り合いのお坊さんが言っていたことがあります。仏教には膨大な数の経典があり、インド、ネパール、チベット、中国、日本などに様々な言語で眠っているそうです。2500年間、多くの覚者が人生や命をかけて吟味してきた膨大な知恵と体験です。その中には現代の量子物理学の視点にも似た記述が見られたりするのだそうです。「答えは仏典の中の ”どこか” にもう既にある(かもしれない)」という話を聞きました。ただ、これらすべてを生き字引のように覚えるのは、人間にとっては物理的にも時間的にも不可能だと残念がっておられた。
「それAIに読み込ませればよくない?」
それを聞いて、それら膨大な情報を網羅的に把握することだけなら、なにも生き字引がいなくとも、そんなに難しいことじゃないかもしれない、と正直わたしは思った。AIに読み込ませれば、膨大な情報を網羅的に把握し、必要な部分を整理・抽出してくれるかもしれません。日の目をみなかった関連テキストにフォーカスがあたり、そこから疑問に対する答えが導きだされるかもしれない。
現在のAIは、知識量を増やすことや人間ぽい振る舞いをさせることで「シンギュラリティ」だと騒がれてる。でも、人類の知恵は閉じられた世界の中にも散りばめられていて、長い歴史の中で揉まれ、それでも消えずに残ってきた知恵が存在します。それこそ、仏教だけじゃなく他の分野でも。テクノロジーは近年大きく変化してきたけれど、生物としての身体や脳、心の働きは何千年も大きく変わっていない(生物的進化のペースがテクノロジーのそれに比べて圧倒的に遅い)のですから。それらの情報にフォーカスを当てることで、AIに人間らしき振る舞いをさせるだけじゃなく、人間の体験や知恵をエンハンスすることもまた、AIの有効な使い方のひとつに思える。
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本当に、仏教秘経典AIを作ってくれたら面白いのにな。パーリー語で書かれた経典なんて、今では読むこと自体が難しいけれど、AIならそれは問題じゃなくなるかもしれない。ゆるキャラみたいな企画ものつくるの日本人好きだし。
こういうデータ横断型の解析には、チャット系AIよりも、ノート系AIの方が用途の幅が広がりそうだと感じた。
りなる