リバース・カルチャー体験
リバース・カルチャーショックっていう言葉があることを知りました。
海外旅行や海外生活をすることで文化の違いに触れ、ショックを受けることを「カルチャーショック」といいますが、更に自国に戻ってきたときに自国のほうに馴染めなくなってしまうことを「リバース・カルチャーショック」と言うのだそうです。
「リバース・カルチャーショック」という言葉はおおむね悪い意味で定義されているようですが、良い悪いの別なくもっと広義な意味で「リバース・カルチャー体験」としてとらえると、より文化理解についての幅が広がるのではないかと、この言葉を聞いて感じています。
言葉の定義ってとても面白いものです。定義することで、いままで意識できなかった体験が実感として体感されることがあります。
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海外生活をはじめるとき、これまで過ごしてきた日本のしがらみから逃れ、普通だと思っていた常識の枷がはずれ、まるで魂が自由に羽ばたくかのような体験を味わったことがある人は多いのではないでしょうか。自国を離れ海外で生活している海外組には、彼らにしか味わえないカルチャーショック、あるいはカルチャー体験があります。
ただ、海外にもやっぱりしがらみはあって、必ずしも完璧で理想の生活が常にそこにあるわけではありません。全ては人間関係だからです。そもそも調和しない人間の問題はどの国や地域にもあって、文化っていうのはどうにかこうにかその釣り合いを取ろうとするさまざまな努力の一端なのではないかと思います。
そのような体験を通して、狭くて窮屈でうんざり嫌気がさしていた日本の文化にも、同じような努力はあって、それが出国前には見えていなかっただけなのだと気づく瞬間があります。
だから、出戻り組といいますか、海外で暮らして「日本に戻ってくる」というイベントもまたとても衝撃的な体験がそこにはあります。日本を出る前に感じていた自国のカルチャーと、戻ってきてから改めて感じる自国のカルチャーには全く異なる意義が感じられるようになるものです。
海外生活がひそかに流行っていますが、海外体験だけでなく、その先のリバース・カルチャー体験もまた刺激的な体験であることをぜひ知って、味わってほしいし、帰国を決めた友にポジティブな期待をもって心からおかえりと迎えてあげたいのです。
りなる