希望の未来しかない - Humankind
この本、今年イチおもしろかった。(いま上巻を読み終えたところ。。。)
人間は放っておけば悪さをするし、好戦的で、争いごとは絶えない。だから適切に欲望を抑制し、行動を抑制するガバナンスが大事なのだ、って言う主張を真っ向から「否定する」本です。人はだいたい善良で、放っておいたら勝手に寄り集まって協力しあってしまう。そういう習性を持っているし、長い歴史のなかそれに適した種が生き残ってきたのだ。と。
例えば、100人に1人の天才が生まれる高知能の種よりも、1000人にひとりしか天才が生まれないとしても、人懐っこく、他者から学ぶコミュニケーションの習性をもった種のほうが社会全体としての習熟レベルは格段に高くなる、みたいな話にのめり込んでしまいました。
今年最後に出会った本書には「希望」しかなかったよ。
読んでいて、学生のころの授業を思い出しています。歴史だったか倫理の授業にアウグスティヌスっていう神学者がでてきて「最も美しいものは罪を悔い改めた人の心である」みたいなことが書いてあった(うろおぼえ)。それを授業で聞いたとき、わたしは思わず、いやいやいや「最も」というのなら最上級は、むしろ「罪を犯さなかった」心の間違いじゃないか。それ、論理破綻してませんか?と、めちゃくちゃ違和感を感じたのを覚えています。先生の説明では「罪を犯さない人間など存在しない」ということだったけれど、その説明にはやっぱりどこか納得がいかなかった。
それから、わたしも大人になってピュアな心は消えていき(笑)社会人になるころには、まぁたいてい人は日々罪を犯しながら生きている生き物、ですよね、、、と考えるようになっていった。でも、よくよく振り返ってみると、「人は罪を犯すのは当然だ」なぜなら「人の性分は欲深く、闘争的で、利己的であるのだから」っていう信条はいったい、いつどこからわたしの脳に焼き付いたのだろう?
日常の中に、このような観念は深く浸透している。ニュースでは毎日のように国際競争力が云々。。。有事に備えて軍備やら防衛力が云々。。。といった報道が繰り返される。放っておけば強欲で攻撃的な人類にみんな滅ぼされてしまうから!そしてそれらの言葉は呪いのようにノセボ効果によってやがて現実になったりもする。でも、真実は逆かもしれない。
業務改善とかチームビルディングみたいな仕事をしていると、やっぱり原則として組織のガバナンスは、従業員は放っておけば悪さをする人種であると決めてかかる。お互いに競争しあって能力のある人にはより高い給料を支払うし、成果を共有することよりも個人の実績を積むことが効率的だなんていう人もいる。ねぇ、いちどマキャベリの『君主論』(いかに権力を維持し民衆を統治するかといった話)を読んでみるとすごくためになるよ、なんてアドバイスされたこともある。
真実は逆かもしれない。
そこから見えてくる組織や組織の未来の設計図は光に満ちていて、思っていた暗がりとぜんぜん違った世界が広がっている。
りなる
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