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悔しい、うちは大丈夫

プロ野球選手の平均打率は3割にも満たない。
100回バッターボックスに立っても
少なくとも70回は必ず「打てなかった…」とうなだれるということだ。

「その仕事で食っている」人が、そうだ。

100回バッターボックスに立つためにはその何十倍もバットを振る。

そして、やっとだ。

専門学校で、
プロを目指す人たちのサポートをしている。
「どうしたらいいのか分からなくなって苦しい」
そう言って泣いた人がいた。

「悔しいんです!」と泣かれたら、もっともらしい顔をしながらも
「いいぞいいぞ~泣け泣け!」と思うんだけど
苦しい、って言われると言われた方も一緒に少し息が苦しくなる。
フィールドこそ違えど私も経験してきたから、その苦しさや真っ暗闇が分かる。

こんだけ頑張ってきたのに、どうしてできないんだろう。
この仕事、向いていないのかな。
才能ないのかな。

逃げ出したい気持ちが抑えきれなくなるあのヒリヒリした感じ。

そもそも「やらなきゃいけない」ことでもないのに。
他の生き方も山ほどあるのに。
わっざわざこんな気持ちにならなくてもいいのに。

のにのにのに、と
無意識に逃げ場を探す。
見当違いの方向であってもほんの少しでも明るい方を探す。

頑張ってできるようになったらいいじゃない。というのは正論で、
たいていの場合、こんな時の正論は
やる気をなくさせ、暗闇が深くなるだけだ。

正解がない世界、〇✕で結論が出ない状況では、
できなくて悔しい、と思うことさえ難しいのかもしれない。

数日後、再び顔を見ることができたその人は、
踏ん張っていい顔をしていてホッとした。

何が正解か、なんて分かることの方が少ないんだから、
自分の選択を信じること。
バットを振った回数を信じること。

そう言おうと思ったけど
よくよく考えたらこれも正論(笑)。



ま、いいか。
何かあったら言ってね。


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