令和5年行政書士試験 憲法の分析
憲法の学習時間60時間程度の「原理原則・条文の趣旨と基本的な意味・Aランクの判例の
インプットで28点中26点可能
YOUTUBE動画とほぼ同じ内容で、YOUTUBEは最後画像を見せる場面がありますので、もし可能なら、YOUTUBE動画でご視聴ください。
令和5年度行政書士試験 憲法の分析
https://youtu.be/ON2a8EE9wIk
令和5年の憲法は、条文判例の基礎知識と若干の現場思考で解けます。
大手予備校の評価は、今年の憲法は難しくて得点しにくいと言っていますが、本試験の問題の教材カバー率の低さが原因だと思われます。予備校の評価をうのみにせず、今年は本試験の憲法で何が問われたか、自分の目で一度しっかりと確認し分析してみることをおすすめします。
「憲法の原理原則・条文の趣旨と基本的な意味・Aランクの判例」のインプットに、60時間程度はかかることについては、最後に説明します。
問3 間接的付随的制約についての最高裁。ア~エ妥当なもの組み合わせ。
〇ア Aランク判例 戸別訪問禁止事件
〇ウ Aランク判例 寺西事件大法廷決定 ➡ 妥当なものは、2のアウ
× エ Aランク判例 よど号記事抹消事件
👨 肢がアイウエ4個しかなく、アウがピンポイントで妥当とわかるつくり
イはB~Cランク、エはAランクの判例。
但し、皆さんが持っている教材の判旨の掲載が短すぎると対応困難
📚試験委員はAランクの判例について、最高裁の思考の筋の理解を要求
➡判例を学習する教材は、最高裁の思考の筋がわかるものを使う必要
事案➡論点➡最高裁の理由➡最高裁の結論の流れ
問4 国務請求権 妥当なもの
× 1 請願の内容を審理および判定する法的義務が課される × 難問
請願権条文: 著名な学者の基本書に掲載無(ごく少数の専門書に掲載有)
×2 立法行為は国家賠償対象外×在宅投票廃止事件の判例知ってれば簡単
〇3 刑事事件:裁判所の裁判によらなければ刑罰を科せられない=自由権
32条条文素読では解けないが、条文解説本掲載の基礎知識を問う問題
👨肢3の条文知識が教材にのっていない場合は、補強しないとマズイ
× 4 少年事件不処分決定も刑事補償の対象 × Cランク判例 難
×5 純然たる訴訟事件が公開法廷でなくてよい× Aランク判例寺西事件
肢5は他の判例でも登場するが、寺西事件大法廷決定でも登場する知識
Aランクの判例はやはり最高裁の思考の筋がわかるように学習すべき
問5 罷免・解職 妥当なもの
× 1比例代表選出議員が無所属➡当選効力失効 43条の趣旨から×方向
国会議員は政党の代表でなく「全国民の代表」➡無所属でも全国民の代表
×2議員資格訴訟裁判 国会の権能× 両院で選出された議員が裁判×
条文そのまま
55条本文 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。
〇3 閣議で反対の大臣を罷免して閣議決定 全員一致の慣例 基礎知識
全員一致➡閣内不一致の状況を是正すればよい➡明らかに誤りの箇所無
×4 最高裁長官に就任した際に国民審査 A 79Ⅱ 条文そのまま
「最高裁判所の裁判官の任命は、~国民の審査に付し」≠長官に任命×
× 5 裁判官の懲戒免職処分がある前提 78条の趣旨から×方向
裁判官の罷免事由を限定した趣旨から現場思考で懲戒免職は✖方向
👨条文の趣旨か、条文の基礎知識から〇×から判断させる問題が多い
➡1~99条まで、各条文の趣旨と各条文の基礎知識は学習必要
問6 国政調査権 妥当でないもの 出典:芦部 条文基礎&原理・原則
芦部先生は通説・また学説対立問題でない限り、教科書の知識で解けばよい
👨司法権の独立のイメージがわかっていれば、〇方向か✖方向かで判別可能
司法権の独立 他の機関が裁判所(官)の仕事に圧力かけるような働きかけNG
〇1 調査は立法や行政監督目的で行われるべき 62条の趣旨から〇
× 2 裁判の批判は司法権の独立の侵害にならない 司法権の独立から×
〇3裁判内容批判目的の調査は司法権の独立を侵害する 司法権の独立から〇
肢2と3は同じような場面で、結論が逆なので、どちらかが解答になる
〇4 議院が裁判所と異なる目的での事件調査は司法権の独立を害しない
司法権の独立を害する情報が、肢4の中で見つけられないので〇方向
〇5 裁判官の法廷指揮など係属中の裁判手続を調査することは許されない
司法権の独立を害する情報が、肢5の中で見つけられるので〇方向
問7 財政 妥当なもの
×1 予算の公布は天皇の国事行為 7条そのまま
7条1号 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
〇2 現行法上、予算の増額修正を予想した規定あり 不知
財政の原則(83条)から現場思考
83条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、
これを行使しなければならない。
×3 予算成立後、法律がまだない段階で内閣は予算の執行できる
予算は法律と異なる法形式➡法律による行政の原理から×方向
×4 皇室が財産譲り受け時、国会の議決不要 8条そのまま
×5 決算は、国会の承認後、会計検査院が検査 90条の意味
思考停止状態の条文素読では解けないかも。条文の意味まで学習せよ
問41 多肢選択式 Aランク判例 北方ジャーナル事件 最高裁の判旨
ア 難しい➡通常判例教材にはのせない部分から出題しており、語群見ても、「公正な論評」か「公の批判」で迷う。マイナス2点は仕方ない。
しかし、イ・ウ・エは、この判例の重要部分を学習している人なら、
語句群から正解を探せる問題でした。Aランクの重要判例は最高裁の思考の筋を理解しておきなさいという試験委員のメッセージです。
令和5年行政書士試験の憲法の総括
令和5年で憲法の試験委員から求められていること
❶憲法の原理原則から若干の現場思考
❷憲法条文の基礎知識レベル
❸憲法判例集のAランク
今年の憲法は、上記の基礎知識があれば28点中26点可能でした。
今年憲法で22点以上とれていれば、記述抜きで170点以上になりやすく、
記述採点前でも合格安全圏に入れたと思います。
他方で、今年の憲法(択一5問×4点+多肢選択8点=28点)で、
22点未満だった受験生は、上記❶❷❸のどこかに大きな欠落がある
ということになり、現時点では憲法の得点力が不安定な状況と思われます。
お知らせ
憲法の行政書士対策の教材では、おすすめできるものがないため、私自身が3年かけて❶原理原則解説動画❷条文解説動画❸判例解説動画を完成させました。
憲法の❶原理原則・❷条文・❸判例の学習教材に不安がある方向けに、
インプット用の動画をメンバーシップの方に提供します。
メンバーシップは現在のコースに加え、さらに2コース追加します。
12月に入りましたら、メンバーシップの3コースの内容を発表します。
❶原理原則❷条文❸判例のインプットに必要な時間は50~60時間。
実際に私自身が教材を作成してみたところ、以下の学習時間が必要。
❶憲法の原理原則
(イメージで楽習シリーズ憲法 約70分動画×3回転)
❷憲法の全条文の趣旨と基礎知識
(条文早読みシリーズ憲法 約 190分動画×3回転)
❸憲法判例集のABランクのみ
(憲法判例109 約380分動画×3回転)
❶❷❸のインプットだけで1920分(約32時間です。憲法の過去問演習の時間は入れていません)。1回転目は多少立ち止まりながら勉強を進めるとして、インプット時間は約2倍の60時間程度としておきます。理想はアウトプットの時間を同じ程度50時間確保する方がよい(インプットアウトプット合計100時間程度)ですが、今年の本試験は上記❶❷❸のインプットだけでも十分26点が狙えます。もし憲法を50時間以上勉強していて、憲法で10点以下の壊滅的な点数を取ってしまったのであれば、あなたの使っている憲法教材が行政書士試験の傾向に合っていないことを証明しています。現在の予備校の行政書士用教材(憲法)は、まず❶全体像・原理・原則(基礎の基礎)を理解しようとする解説が手薄で、❷全条文の趣旨や用語を解説しておらず、❸判例もかなり有名なものに絞りすぎており、かつ、判例の事案や判旨の記載がコンパクトすぎて不足しています。これら❶❷❸を解決する教材をここ数年少しずつ作成し、❶は憲法の入門動画、❷は条文早読みシリーズ憲法、❸は憲法判例109という動画として、ついに完成させました。❶は今年の3月までにすでに無料動画としてYOUTUBEにアップ済み(今後はメンバーシップ向けになります)、❷「条文早読みシリーズ憲法」はメンバーシップ向けとして、リリースしています。❸「憲法判例109」は12月中には、新設する行政法追加コースのメンバーシップ特典としてリリースする予定です。詳細が決まりましたら、お知らせします。