ハンバーガーとは
本稿は無料のnoteであり、制限なく読むことができる。それにしても、私は前から疑問だったことがあり、ハンバーグとハンバーガーは何が違うのだろうかと。とにかくハンバーガーについてハンバーグとの比較も入れつつ書いて行こうと思う。楽しく読んでもらえれば幸甚である。
1. ハンバーガーの定義
ハンバーガー(hamburger)、またはバーガー(burger)はサンドイッチの一種であり、以下のように英文では定義が書かれている。
つまりハンバーガー(バーガー)とは牛ひき肉がパン(bun)に乗せてあり、時々別の素材も入れてあるサンドイッチである。ちなみに”cake”とはいわゆる洋菓子のケーキ(例:イチゴのショートケーキなど)を指すわけではなく、ここでは平らで丸く形作られた焼いたり揚げたりした食べ物を意味する。
上に日本でも世界でも最も有名なハンバーガーの一つであるビッグマック(Big Mac)の写真を載せているが、ビッグマックの組成が解説されているページがあるのでそちらを見てみることにしよう。これでハンバーガーの定義のイメージもかなりつきやすくなる。
さて、ハンバーグという料理があるが、ハンバーグとハンバーガーの違いはなんであろうか。
ハンバーグは、ひき肉を使った料理そのものを指す。通常、牛肉や豚肉のひき肉にタマネギ、パン粉、卵、調味料などを加えて成形し、フライパンやオーブンで焼いたものである。ハンバーグは単体で食べる調理された肉料理だとして、ハンバーガーはハンバーグをパンで挟んだサンドイッチタイプの料理である。
ちなみにこぼれ話でであるが、ハンバーグの英語は何であろうか。実はHamburgではない。英語でハンバーグを指すのは:
hamburger steak
Salisbury steak
つまりハンバーガーステーキとソールズベリーステーキというのである。前者はメニューで見かけることもしばしばある。英語とカタカナの単語はしばしば対応していないので注意しなければならないのである。
話が脱線したが、とにかくハンバーガーがサンドイッチの一種であることを覚えたうえで、次章でハンバーガーの歴史に入っていくことにしよう。
2. ハンバーガーの歴史
様々な仮説は出されており、一説には現ロシアにいるアジア系のタタール族のタルタルステーキが起源ではないかとも言われているが、実際のハンバーガーの起源は今の時点では不明である。
ただしイギリスにて1758年のレシピにハンバーガーソーセージ(Hamburger Sausage)という料理があり「トーストしたパンを敷き詰めた上で肉をローストして」出すように書かれていた。同様の軽食は1869年かそれ以前にハンブルクでも「Rundstück warm」(温かいロールパン)という名前で人気があり、これはアメリカに向かうドイツ系移民がよく食べたと言われている。
19世紀後半においては新聞などでハンバーグステーキについては言及されているし、ソールズベリーステーキも登場してくる。
19世紀末にシカゴの新聞がハンバーガーサンドイッチについて言及しており、「たった5セントで手に入る人気商品は、ハンバーガーステーキサンドイッチだ。その肉は小さなパティにされてガソリンレンジで『待っている間に調理』される。」と紹介していた。
ハンバーガー自体の起源は結局のところ長く論争が続いたままいまだに決着がついていない。ただし発明の主張はすべて1885年から1904年の間になされており、ハンバーガーはこの20年間のどこかで作られた可能性が高いとされている。
ちなみに少し脱線するとハンバーガーにおいて重要な材料としてケチャップが挙がるが、こちらは1869年にペンシルベニア州シャープスバーグの起業家でシェフのヘンリー・ジョン・ハインツ(Henry J. Heinz)によって発明された。Heinzのケチャップは今でも有名であるが、いかにもドイツっぽい名前なのだが、実際にはアメリカが由来なのである。またそのあたりの時期にジョン・ペンバートン(John Stith Pemberton)によりコカ・コーラも発明されていた。
そして1916シェフで起業家のウォルター・ウォルト・アンダーソンが、カンザス州ウィチタにハンバーガースタンドを開店した。そして1921年にエドガー・ウォルド・ビリー・イングラムらと初めてのハンバーガーレストランであるホワイトキャッスルが開店した。こちらが世界で最初のハンバーガーのファーストフードレストランとみなされている。20世紀前半においてはこちらのホワイトキャッスルがおおいに店舗を増やすなど躍進した。ホワイトキャッスル自体は今でも存続している(日本には進出していない)。
そしていよいよ世界にとっては真打ちと言えるマクドナルドの登場は前座が1937年のことである。パトリック・マクドナルドと彼の2人の息子リチャードとモーリスは カリフォルニア州モンロビアの空港近くのハンティントン・ドライブ(ルート66)にシンプルなレストランAirdromeという名前の店を開店した。そしてその商業的な成功により1940年にカリフォルニア州サンバーナーディーノのルート66沿いにマクドナルドというレストランを開店した。売り上げを分析した結果、驚いたことに、マクドナルド兄弟は収入の80%がハンバーガーの販売によるものであった。実亜h当初のメニューには25種類の料理があり、その大部分はバーベキューでありハンバーガーが中心というわけではなかった。当初からマクドナルドはホットドッグとハンバーガーをできるだけ効率的かつ迅速に作ることに注力していた。そして1940年代にはすでにドライブイン形式で客が自分の車の中で食事ができるなど、シンプルで形成的なコンセプトがマクドナルドに根付いていったのである。その一方で、レストランはほとんどのアメリカ人が経済的に手の届くほど安価なハンバーガーの開発に努めていた。1950年代までには、ドライブイン形式のサービスのコンセプトがしっかりと定着し、ハンバーガーと車は多くのアメリカ人の心の中で密接に結びついていた。今や、客は車から降りずにハンバーガーを購入できるだけでなく、サービスを受けるのを待つ必要もなくなったのである。マクドナルド兄弟は、既存のレストランの厨房の手順を徹底的に研究し、改善に努めた。またフランチャイズ全体の各厨房を同様にほぼ標準化された方法で運営するための詳細なシステムを作成し、厨房の従業員として基本的に若者を採用した。こうして世界中どこでもマクドナルドの方式はほぼ統一されているというスタイルが出来てきたのである。そして1967年にピッツバーグのフランチャイズのジム・デリガッティによりビッグマックが発明されるのである。
ちなみに他のハンバーガーレストランとして良く知られているバーガーキングはその前身が1954年に、ウェンディーズは1969年にいずれもアメリカで設立されている。
このようにアメリカで20世紀に大いに発展したハンバーガーは今や世界中で親しまれるようになった。マクドナルドは1995年の時点で既に100か国以上の国にレストランを作り、今や40,000以上の店舗を展開しグローバリゼーションと西洋文化の象徴となり、時には世界各地で怒りや抗議の対象にもなるに至っている。各国の経済力を図る指標としてビッグマック指数(Big Mac index)が設定されている。イギリスの経済専門誌「エコノミスト」によって1986年に考案されて以来、同誌で毎年報告されている指標で、マクドナルドで販売されているビッグマック1個の価格を比較することで得られる。
最近では高級バーガーなども開発・販売されるところも出てきている。世界で一番高級と言われるハンバーガーはオランダのDe DaltonsのGolden Boyが5000ユーロであり(今の為替で82万円)、最も高い。ベルーガキャビア、タラバガニ、スペイン産のパレタ・イベリコ豚肉、白トリュフに加えてA5和牛100%の肉で作られている。ビーフに日本の和牛が採用されているのが少し興味深い。2週間前までに750ユーロ(12.3万円)の保証金を払って予約が必要ということである。
そこまで極端に高級感を現わしてはいないが、ハワイ発祥のKUA`AINA(クア・アイナ)など、日本では数千円するようなハンバーガーを出しており、かなりの人気を獲得している。
さてハンバーガーの歴史やその世界の文化への影響などいくらでも書けることはあるが、そうすると読み物としては長くなりすぎるので、次に日本におけるハンバーガーの話を書いて終わらせていくことにしよう。
3. 日本におけるハンバーガー
ハンバーガーが日本に持ち込まれたのは第二次世界大戦後であり、長崎県の佐世保に駐留した米軍を通じて行われたと考えられている。その後、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) に接収された三信ビルディングに1948年、レストラン「ニューワールドサービス」で提供されたほか、1950年には東京・六本木に「ザ・ハンバーガー・イン」が創業したと記録がある。マクドナルド自体の日本上陸は70年代に入ってからである。(沖縄を除く)日本最初のハンバーガーチェーンはドムドムバーガーである(後述)。マクドナルドは実業家である藤田田がアメリカよりフランチャイズ権を獲得。マクドナルド子会社・日本マクドナルド株式会社を設立し、1971年に、第1号店である銀座店を銀座三越の店内に開店した。
その後店舗をどんどん増やし、1990年には全都道府県に展開することに成功した。紆余曲折、途中、業績悪化などの苦難もありつつ、現在では約2950店舗が日本国内で展開されるまでになっている。
ロッテリアは1972年、ロッテグループのファストフード事業として創業された。1972年7月に埼玉県浦和市(現・さいたま市)のロッテ浦和工場内にパイロットショップを開店させた後、1972年9月29日に1号店を東京都日本橋の高島屋日本橋店(2014年に閉店)と東京都上野の松坂屋上野店で開店し、展開がはじまった。現在では300店舗ほどであり、また2023年までロッテグループに所属していたが、今はゼンショーホールディングスの傘下となっている。現在ではマクドナルド、ロッテリア、KFCについて4位のシェアである。
モスバーガーは日興証券(現・SMBC日興証券)を退職した櫻田慧と吉野祥が、1972年3月12日に東京都板橋区に1号店をオープンさせてはじまった。素材を厳選し、注文を受けてから作る「アフターオーダー方式」など、スローフードの要素を取り入れているのを特徴としている。現在では1400を超える店舗があり、シェアは2位になっている。世界で初めてテリヤキバーガーを発表したのはモスバーガーである(1973年)。モスバーガーは他にもライスバーガーなども開発している。
先に少し紹介したドムドムバーガーは創業者である中内㓛(なかうちいさお)が率いるダイエーが独自の研究からハンバーガーチェーンを展開するこで生み出されたものである。1970年に東京都町田市のダイエー原町田店に日本初のハンバーガーショップを出店することで始まっている。現在は、レンブラントホールディングスの傘下にある。現在はシェアでは11位(2023年)である
以上、日本で展開されているハンバーガーレストランのうち、有名なものを紹介したが、他にも前章で少し触れたクアアイナや、他にもフレッシュネスバーガーや、日本でも展開しているバーガーキングやウェンディーズなどそれなりに多数存在している。ハンバーガーは日本人にとっては大変身近なファーストフードとして誰もが知るような料理という知名度も獲得している。
本章の最後にご当地バーガーを説明する。ご当地バーガーとは、その地域の生産物や料理を使用したハンバーガーになる。いわゆる「ご当地グルメ」の一種に属する。現時点で100種類以上のご当地バーガーが存在すると言われており、代表的なのは佐世保バーガーである。佐世保は本章の最初に記述したように、日本におけるハンバーガー上陸の最初の地でもある。佐世保バーガーについてはこちらの記事を読んでいただければと思う。
4. おわりに
ハンバーガーを調べてみるといくらでも情報が見つかり、また錯綜していたり、どれが正しいのかよく分からないものも多数あり、実は本稿を書くのはかなり難航した。特に米国におけるハンバーガー自体の考案のところが情報が複雑であり、整理するのに時間を要した。しかしながら本稿を書くこと自体はかなり楽しく、大変充実した執筆活動となった。ハンバーガーの元であるハンバーグが英語ではhamburger steakとかSalisbury steakであったり、他にも上では紹介しなかったがmeat loafというものもあり、色々と勉強になった。また完全に脱線なのであるが、ハンバーガーに使われるケチャップで有名なハインツはドイツではなくアメリカにいたハインツ氏によって開発されたということを知り、本稿を書く機会がなければハインツはドイツのメーカーだと完全に勘違いしたままであったとも思う。
本稿は完全に私が好きで書いた無料noteであり、色々と好きに読んでもらえればと思うし、また誤っている部分もそれなりにあるかもしれないが、どこかしら楽しめる部分があったら大変ありがたいと思う次第である。また読者諸氏の中にはまだ読んでいない方もいるかもしれないが、私はこれまでに麺類のnoteや、ダンブリング(餃子など)のnoteやピザのnoteなども書いている。
本稿はまずはここまでとしたいと思うが、割と長いnoteになってしまい、読んでいただいた読者諸氏には御礼を申し上げたい次第である。
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